相思社・水俣病歴史考証館 永野三智さんによる水俣病の歴史解説ツイートまとめ（2022.1.1作成）

永野三智 @nagano_michi

今日は何の日。1959年12月25日、水俣病対策に乗り出した通産省の指導を受けたチッソが、嘘ものの水銀浄化装置を完成させた日。チッソ社長が完成披露で熊本県知事立会の元、「装置から出た排水」といって飲んだのは、ただの水道水。チッソが人々を騙し毒を食わせると、自然や生物を殺し続けると決めた日

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この浄化装置＝サイクレーターは、今もチッソの敷地内にあり、別の用途で稼働しています。まち案内でも紹介します。機会を作って見に来てね。 pic.twitter.com/dwsDktaHTc

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1959年12月30日、チッソが水俣病患者を騙し、見舞金契約を結んだ。前の月、患者78人が「水俣病が貴工場の排水によって発病したことは社会的事実」としてチッソに補償要求をした。チッソは「水俣病の原因が工場排水かは確認されていないため補償は出せない」と回答。患者はチッソ正門前に座り込む。

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政府、自治体、学者、マスメディア、市民は、日本の経済成長を支えるチッソを擁護、患者を抑圧。孤立無援のなか、漁民と患者は追い込まれた。 職場の相談業務で出会った、当時11歳だった患者家庭の女性は語った。それまで漁業で暮らしていた患者家庭には金がない。建築の現場で現金収入を得ても、

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患者の治療費で現金はすぐに飛んでいく。借金をするしかない。年末の患者家庭には、借金取りが取り立てに来ていた。このままでは年を越せない。、47家庭の患者たちはやむにやまれず契約を結んだ。水俣病は国家と企業による傷害・殺人事件だが、当時患者に支払われたのは補償でなく「お見舞い」だった。

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謝罪も因果関係の説明もなく、金額も不当に低い。 その後、新潟水俣病が起きて、彼らと連帯するまでの間の９年間、水俣の患者たちは、身を潜めるようにひっそりと暮らした。契約は第一次訴訟判決で公序良俗に反するため無効とされるが、それまでこの契約は効力を発揮し、多くの患者の口を封じた。

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見舞金契約を交わした当時のチッソと患者の状況は、その後も、政治決着の形で1995年、2009年と繰り返された。そして水俣だけでなく各問題で、このやり方は継承された。 水俣に帰ってきた頃、「なんでこんな安いお金と理不尽な契約で納得したか」と近所の女性に聞きに行った。

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「だって、字が読めんやったもんね」「弁護士さんでもおらったら違ったよ」「『支援者』て言われる人がきたのは、見舞金契約の10年後でしょうが」と言われ、自分の愚問を恥じた。 女性は、「水俣病を隠そうと思ったことはない」「うったち（私たち）は何も悪かことはしとらん」とも言っていた。

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その信念に、どれだけの人が勇気づけられ、社会が動いたか。彼女は弱い立場に追いやられがちな人とそれを囲む社会を見つめ、人々に声をかけた。一度は見舞金契約で、水俣病の被害と無念を飲み込んだ彼女の、二度と同じ思いをしない、させないための、行為だったのではないか。

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正月は、見舞金契約の対象になった患者と、当時の患者と似た状況におかれている人びとに心を向けて過ごすんだ。越冬する野宿の人たちや、声を奪われている人たちや、それでも声をあげる人たちや、他にもいろんな人たちと心をともに。1959年12月30日、チッソが水俣病患者を騙し、見舞金契約を結んだ日。