ロンドン・コーリング:後編 #1

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

カラテ　の　たかまり　・・・

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【あらすじ】 サツバツナイト＝フジキドと、ドラゴン・ニンジャ＝ユカノ。二人のリアルニンジャは、大英博物館にミイラとなってなお生き続ける神話時代のニンジャ「ゴダ・ニンジャ」の助言を求めるべく、ロンドンに向かった。だが、月破砕以後のロンドンは、ケイムショが支配する死都だ。

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【あらすじ】 死者が徘徊しケイムショの手下が邪悪なカラテで侵入者を殺戮する危険地帯、それがロンドン市街である。一方、放棄された市街にある金銀デジタル財宝を狙う冒険者も後を断たない地でもある。アンブレラ、デッドアイズ、スマイターといったニンジャ達が今、各々の目的を胸に死地へ……！

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【このアカウントは】 ・「ニンジャスレイヤー」を連載している ・実況タグは　#ニンジャスレイヤー　である ・実況タグの使い方は　diehardtales.com/n/n557624ec1c30　にある ・ある日突然ニンジャになる。君もだ

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大英博物館。東側エントランスホールには南と北それぞれにアーチ門がある。球状天井に描かれた色あせた細密画の天使達は、南北の門から同じタイミングでエントリーしてきた侵入者達を、無感情に見下ろした。　1

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「奴！」フジキドとユカノを伴い先頭を進んでいたスプリガンが足を止め、唸り声をあげた。ユカノは彼の視線を追った。南アーチ門の闇の中から進み出たのは……「デッドアイズだ。俺のクソ弟子よ。野垂れ死ぬのがせいぜいと思っておったが、よりにもよって今この時、不吉なツラを俺の前に見せおるか」2

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「ブツクサ言う辛気臭いあんたの声、俺の地獄耳で全て拾っているぞ、お師匠」デッドアイズが答えた。「言っておくが、あんたの教えのおかげではなく、元来のニンジャ聴力よ。しかし妙な事だ。どうやってこの博物館に入り込んだ。大学経由のルートに、あんたの痕跡はなかったが」　3

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「カラテだ」スプリガンは勝ち誇って言い放った。「大英博物館を包囲したズンビーどもをカラテで突破し、押し通ったまで。俺のごとき腕利きの案内人は、一流の依頼人によって選ばれる。俺の客は、この地へ来るべくして来た。いつもの盗人風情とはワケが違うわい。いいか……」ユカノは咳払いした。　4

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「あれがデッドアイズだという事はわかりました。その隣は……ニンジャですね」ユカノは眉根を寄せた。そのうえで言った。「まずはこのホールの脅威を確かめねば。アレはなんです？」然り。ホールの中央、彼らに挟まれるようにして鎮座するのは、台座に飾られた紫の西洋ニンジャ甲冑。異様であった。 5

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「ユカノ」フジキドが警戒を促した。鎧兜の隙間から紫の霧が溢れ出る。「それはパラディンだ！」スプリガンより先に、遠くからデッドアイズが答えた。「じき動く。我々を見境なく襲ってくるぞ。そこの老いぼれガイドはどうでもよいが、ここはひとつ協……」「シュラアアア！」甲冑が、吠えた！　6

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鎧が垂れ流す瘴気は空気より重く、床を這うように広がってゆく。鼠たちが瘴気から逃れ、狂い走り、散っては集まり、折り重なる。さらには床に散らばっていた骸骨がカタカタと揺れ、ひとりでに起き上がり、カラテを構え、シャウトを伴ったセイケン・ツキを始めた！「イヤーッ！」「イヤーッ！」 7

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広いホールに瘴気が広がる中、一体、また一体と、散らばるガラクタに見紛う骨たちは人の形を取り戻して立ち上がり、セイケン・ツキの人数を増やしてゆく！「イヤーッ！」「イヤーッ！」ナムサン！骸骨セイケン・ツキの群れ！紫甲冑のニンジャは柱に突き刺さった巨大な槍斧を掴み、引き抜いた！　8

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「シュラアアアアア！」のけぞり叫ぶ声にホールが鳴動！巨大槍斧を足元に叩きつけ、紫甲冑のニンジャはアイサツした。「ドーモ。ヘリオトロープです」生者達はアイサツを返す。「ドーモ。ドラゴン・ニンジャです」「サツバツナイトです」「スプリガンです」「アンブレラです」「デッドアイズです」　9

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デッドアイズの隣、アイサツを行うアンブレラの心中で、サツバツナイトという聞き捨てならぬ名がニューロンを反響した。そしてドラゴン・ニンジャ。アマクダリ・セクトが崩壊し、国家が消滅してからの混乱期、彼らの名はネオサイタマの市民勢力と紐付いて浮かび消えた。なんにせよ、大昔の事だ。　10

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「共闘が最善策だ！」デッドアイズは全ての生者に向けて叫んだ。そしてアンブレラを見た。「残念ながら、このパラディンをスルーする事はできん。奴は大英博物館の完全攻略をケイムショに命じられた重要存在。ゴダが出て来れんように、奴のようなパラディンが入れ代わり立ち代わり圧をかけている」　11

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「イヤーッ！」「イヤーッ！」骸骨の半数が床板を剥がして持ち上げると、もう半数がその床板にセイケン・ツキを繰り出して打ち砕いた。恐るべきカラテ・デモンストレーションだ！デッドアイズは囁く。「ゴダが支配する内奥へ至るには、奴を倒し、封印領域の一部を無力化せねば」「難儀なことだ！」　12

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「イヤーッ！イヤーッ！イヤーッ！」骸骨の一体が連続側転でサツバツナイトの眼前へ飛び出し、床板を自身の頭に打ちつけて叩き割った。そして挑発的にカラテを構えた。サツバツナイトは進み出た。「イヤーッ！」「アバーッ！」決断的なチョップが頭蓋骨を破壊した！イクサの火蓋が切られた！　13

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「イヤーッ！」「イヤーッ！」雪崩を打って襲いかかるカラテスケルトン！応戦するニンジャ達！たちまちこの大ホールは死地と化した！「イヤーッ！」「アバーッ！」「イヤーッ！」「アバーッ！」サツバツナイトとドラゴン・ニンジャは鋭いカラテで眼前の敵を倒し、突き進む！一方、ヘリオトロープ！　14

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「シュラアアアア！」ヘリオトロープの槍斧の凄まじい長リーチが狙う先はアンブレラだ！「ヌウーッ！」叩きつけられる大質量を、閉じた鉄傘で防ぐ！衝撃で後ろに滑ったアンブレラの背中を、デッドアイズがなぎ倒されまいと受け止めた。「気をつけろ！油断するな。片付けろ。奴らの事が気がかりか？」15

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デッドアイズはアンブレラの肩越し、カラテスケルトンを打ち倒すサツバツナイトとドラゴン・ニンジャを見ながら言った。「俺は気になる。老いぼれのスプリガンが一緒だからな」「師とか言ったか」「極めて個人的かつ不愉快な人間関係の縺れがあってな」「フン」「行け」デッドアイズが背中を押した。16

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「イヤーッ！」ヘリオトロープの攻撃を、アンブレラは前転して躱した。思いがけず、甲冑ニンジャは次の動きでデッドアイズを狙った！「イヤーッ！」「グワーッ！」アンブレラはデッドアイズを蹴飛ばして致命的な斬撃から救った。さらにその反動を利用して高く宙返りした！「イヤーッ！」　17

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「シュラアアア！」ヘリオトロープは対空斬撃で迎え撃った。だがアンブレラは空中で鉄傘を開き、落下速度を減じて、ヘリオトロープの目測を狂わせた。真下を通過する槍斧の刃をアンブレラは踏みしめ、更に跳んだ！「イヤーッ！」「グワーッ！」ヘリオトロープの西洋フルヘルム側頭部に蹴りが命中！ 18

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兜がひしゃげ、覗き穴から視神経でつながった眼球が垂れた。よろめくヘリオトロープをめがけ、カラテスケルトンを蹴散らしながらサツバツナイトとドラゴン・ニンジャが迫る。アンブレラは目を眇める。十数年前の「ニチョーム戦争」。ニチョーム自治会に加担した、当時のパブリックエネミー。　19