ジャンプ愛好家による『火ノ丸相撲』がプロ編まで続いた理由についての解説

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。チヒロ。出てくる漫画を間違えた作中最強の天才。マジで総合格闘家として世界に通用する器があって、その天才が修業の一つとして相撲を選んだので、その間この漫画に参加してます、みたいな趣。

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。チヒロ。ぽっと出の主人公チームに説得力を持たせるために団体戦の勝ち頭がもう一人欲しいけど主人公のライバルになりすぎても困る、というニーズに完全に応えた「総合格闘王」というキャラ付け。誰にでも勝ちうるが、力士になるという主人公の夢の先にはいないので、物語を邪魔しない

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。チヒロ。マジのマジな天才なので「国宝（作中の天才高校生力士に与えられる称号）」を倒せる逸材。「国宝に勝てるのは国宝だけ」みたいな先入観（某キセキなバスケ漫画読者には特に刷り込まれている）を裏切ってくるので、作品のサプライズを演出する

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。蛍。地味にやべーやつ。フルート吹いてただけの文化系小柄ショタでなんの背景もないやつが「主人公に憧れた」だけで血反吐を吐きながら練習についていき、団体戦の人数合わせを脱却するために恥辱や罵声を浴びることと厭わず突き進む。君なんなの？

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。蛍。この作品はひたすらにストイックなので、どんなに練習しようが覚悟決まってようが、ダメなものはダメ、な結末が蛍を待っている。でも彼の物語は暗いものにはならない。そういう明るさが作品の芯にはある。

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。レイナさん、ちょっと遅れてヒロイン（女）加入。派手め美人勝ち気腹黒ブラコンツンデレと過搭載なのだが、第一部ではジャンプスポーツ漫画ヒロインの伝統を踏襲し、活躍は控え目。物語を通しで読むと適切なさじ加減だとわかる。

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。草薙。大横綱の息子。プロの世界のチラ見せ&初期に登場し主人公を倒す役割、をパーフェクトにこなす。そんな強い設定出しちゃって後どうするのよ？という疑問にパーフェクトに応えてくれた。

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。スポーツマ漫画では避けられない敗北イベント&修業イベント。本作はそこに「監督ポジションの投入」を充てがった。桐仁、主人公の旧友で持病持ちで監督をやる。ジャンプ伝統、三杉くんや藤真のポジションだ。

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。桐仁。お前どしたの？ってくらい主人公に執着してる旧友ポジション。隠れた実力者ながら、選手としては想定以上に出番が控えめだった。普通のスポーツ漫画の感覚なら県大会決勝とかで出すやろ。一日一番なら最強格なんだから。

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。主人公の負けが、スポーツマンガの中でもトップクラスに重い。主人公の道が閉ざされるような暗雲感が強い。だからそれを祓おうとする仲間たちの心意気が尊い。

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。早い段階で「大人の介入」「相撲部屋での特訓」があるのが相撲漫画らしさ。柴木山部屋の厳しくもフィクションならではの優しい人たちが火ノ丸を認めていく姿は暖かい。いいじゃん、ジャンプ作品なんだしさ。

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。火ノ丸。父親が早逝しているので、物語における「父性」を柴木山親方ら大人キャラが与えてくれる。グッとくる。

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。テニプリと違い個人戦もスルーしない。それどころか、個人戦を団体戦の前後に配置することで、チームメイトとの死闘や、火ノ丸の負けイベントを効率的に。加えて、個人戦で童子切と草薙、高校編ラスボス決定戦まで仕込んできた

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。高校横綱天王寺。デカくて研究家で陽気でストイックで主人公に一度勝利して、と文句なし最強キャラの格なんだけど、その彼が主人公に負ける前に草薙に敗北してラスボスの座から転げ落ちるとか、欠片も予想してなかった。でも彼の格は落ちない

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。堀ちゃん。地味メガネマネジ。火ノ丸に惚れてるが態度に出さず、恋愛的にはレイナさんのケツを遠回しに叩くだけのポジション。ラブコメやらないんすね。

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。大典太。全国のライバル&未熟な部分あり&火ノ丸の全国第一の壁&チヒロの噛ませ、と役割が多い。しかし草試合のみで火ノ丸との団体戦スカしたのは驚いたな。

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸。数珠丸。相撲漫画でシンプルにでかいデブが出ないとしたらそれは不誠実だよね、みたいなアリバイ要員。なのだが、彼が一人いることで物語のリアル感、説得力が大きく違う。気の良い人なので物語を壊さない。

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。相撲の技術論は全然わからないので、相撲描写は「すげえ！」くらいの感想になる。相撲、シンプルなルールなので、ルールがわからないから楽しめない、なんて読者は皆無

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。団体戦で全国優勝、火ノ丸はプロへの切符をつかみ、仲間との別れを済ませ、さあグランドフィナーレだ・・・と見せかけ、まさかの大相撲編開始。これにはみんな驚いた。ジャンプの掲載順もあくまで中堅作品のそれであり、プロ編やる余裕なんてないやろ・・・

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。第二部プロ編。①メインを一場所に限定②刃皇のキャラが図抜けて優秀③テーマを「相撲と人生」へとシフト④第一部の余白を上手く掘り下げている。あたりが成功の理由。

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。第二部。プロ編の難点として、物語の区切りがないことがある。高校は３年間、大会で上級生が必ず引退するので、区切りが明確。プロはそうもいかない。毎年リーグ戦があるし同じ相手との戦いが続く。

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。第二部。そこで、火ノ丸の負傷イベントからの復帰&横綱刃皇の引退宣言を入れ、火ノ丸が上位陣と総当たり可能な番付に復帰した九月場所を決戦の場所に限定した。上手い状況設定

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。ラスボス、横綱刃皇のキャラ完成度が高すぎた。神格すら有する圧倒的強さ。脳内に沢山の自分を飼う多面的な強さ。圧倒的強さゆえの孤独。横綱の品格ガン無視なヤンチャ言動にお茶目な発言。主人公より一回り近く上の世代でここまで魅力的なラスボス作るの、めちゃ難しい

鈴木宏 @saxblue13

火ノ丸相撲。刃皇。ここまでヤンチャなキャラをモンゴル人横綱として登場させられるの、明らかにあの人（強すぎていろいろ物議）やあの人（サッカー好き）やあの人（ノーコメント）のおかげ。何なら事実より美化してるんだから問題ねえだろみたいな。現横綱照ノ富士のことではありませんので