佐藤秀峰「僕の収入は町工場の社長くらい」漫画家として生きるには?

漫画家の佐藤秀峰氏がツイートした、原稿料、作画スタッフの人件費など、漫画家として生きていく話をトゥギャッターでまとめさせて頂きました。 ブログにまとめ記事を書きました。 http://netafull.net/comic/038516.html
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@shuhosato

んじゃ、数字だけ。 累計発行部数は 海猿 約500万部 ブラックジャックによろしく 約1700万部 特攻の島 約65万部 原稿料は1万~4万円 こんな感じです。

2011-09-03 22:47:34
@shuhosato

ちなみに、「海猿」連載開始時は原稿料1万円。月商80万円。不眠不休で働いて、人件費を払うと、単行本が出るまでの半年間で約200万円の赤字でした。

2011-09-04 00:13:54
@shuhosato

「ブラックジャックによろしく」は、連載開始時の原稿料は1万4000円。 単行本が売れたので、原稿料の値上げを要求したら、「印税を貰ってるのに、まだ欲しいの?」 と言われました。 当時のモーニングの平均原稿料は3万数千円。 ストライキを起こしたら、3万2千円に値上がりしました。

2011-09-04 00:19:21
@shuhosato

「特攻の島」は、原稿料1万7000円スタートだったかな? 現在は3万円。 隔週連載でスタッフのお給料を支払って、画材費などを差し引くと一応、僕の給料もちょっと出る感じです。 1日平均12時間勤務、週休1.5日で、人間らしい暮らしができるようになりました。

2011-09-04 00:33:41
@shuhosato

実質的には、ベテランでない限り原稿料で生活するのは難しく、単行本の印税のみが漫画家の収入になるのですが、単行本が出るのは、全体で言えばメジャー紙で連載しているごく一部の漫画家です。 単行本の出ない作家さんは、実家暮らしの人や兼業が多いです。 スタッフを違法に働かせてる人もいるな。

2011-09-04 00:44:04
@shuhosato

漫画家は個人事業主の場合、スタッフを労働者として雇うことはできませんし、会社として労働者を雇うのであれば、労働基準法に従わなければいけないワケですが、法律を守れるだけの原稿料をなかなか貰えないのが実際だと思います。

2011-09-04 00:50:14
@shuhosato

僕の場合、作画スタッフ一人につき、大体月給17.5万円〜25万円、昇給年2回、賞与年4ヶ月分を支払っています。 週5日、1日12時間勤務という過酷な勤務をお願いするの代わりに、3~4ヶ月ごとに1ヶ月程度の有給をとってもらいます。

2011-09-04 00:55:58
@shuhosato

一方、単行本の印税は、単行本の売り上げトップの100人の平均が7000万円。 他の人は280万円です。 単行本を出せる漫画家は年間5000人くらいなので、単行本を出せない大多数の漫画家は、印税無しで原稿料のみで生活しています。

2011-09-04 01:03:44
@shuhosato

単行本を出せるのは年間5000人程度と言いましたが、完全版とか、過去の復刻版もあるので、実際には5000人もいません。 激しい競争を勝ち抜いて、やっと単行本の発売にこぎ着けても、年収280万以下というのが、漫画家の姿です。 全サラリーマンの平均年収は400数十万円ですよね。

2011-09-04 01:11:23
@shuhosato

実際のことを言えば、僕自身は生活に困る程の収入ではありません。 でも、六本木にマンションを買える様な収入でもありません。 町工場の社長くらいかな? だけど、どうして単行本を2000万部以上も売り上げながら、このくらいなのかなぁ、と考えるんですよね。

2011-09-04 01:16:58
@shuhosato

出版社の社員が給料をもらい過ぎなんじゃないか、とは思います。 小学館の全社員の平均年収は1600万円ですからね。 でも、それ以外に、漫画家である先人達が闘ってこなかった結果じゃないかと思っています。 後進達の為に、なぜバブルの時代に闘ってくれなかったんだろう?って。

2011-09-04 01:21:10
@shuhosato

強者は権利を主張した方が良いと思っています。 じゃないと、後の人が苦労するので。

2011-09-04 01:29:27
@shuhosato

僕はモーニング編集部に対して、「今後はモーニングで連載する全ての作家に対して、作品の製作費を考慮して、原稿料を設定する」という覚え書きを締結させたけど、実際は守られていないみたいです。 力足らず。

2011-09-04 01:32:49
@shuhosato

昨日の原稿料に関するツイートについて、ちょっと補足。 漫画の原稿料だけで、漫画家が生活できるかどうかという話については、作画スタッフを雇うかどうかが1つの分岐点になると思います。

2011-09-04 14:23:57
@shuhosato

僕の場合、作画スタッフに月給制で17.5~25万円を支払っていますが、現在は作画スタッフが3名おり、人件費として毎月65万円程がかかっています。 また、賞与や食事代なども含めると、スタッフ1人につき年間400万円程が必要です。

2011-09-04 14:32:26
@shuhosato

つまり、人件費は400万円×3人=1200万円。 僕はこの人件費について、高いとは全く思っていません。 彼らの職人としての能力や、仕事の特殊性を考えると、サラリーマンの平均的な年収を下回る給料しか支払えない台所事情を、恥ずかしく思っています。

2011-09-04 14:36:26
@shuhosato

現在は「特攻の島」を年間単行本2冊(400~500ページ)ペースで描いているので、原稿料は×3万円で年間1200~1500万円です。

2011-09-04 14:40:27
@shuhosato

つまり、人件費と事務所の維持費等のランニングコストを差し引くと、原稿料では僕の生活費はほとんど捻出できません。 印税や映像化のロイヤリティなどから、僕の報酬は支払われています。 会社にお金を残しつつ、役員報酬を受け取る形になるので、「町工場の社長さん」くらいの生活になります。

2011-09-04 14:46:51
@shuhosato

もしも、漫画家が原稿料だけで生活をしようとしたら、どのような方法が考えられるでしょうか?   一番簡単なのは、スタッフを使わないことです。 スタッフを雇わず、1人で漫画を描けば、原稿料はすべて自分、あるいは会社の物になります。

2011-09-04 14:51:32
@shuhosato

月刊連載を1本、仮にスタッフを雇わずに1人で20ページ描いた場合、僕の原稿料で計算すると、毎月60万円の収入があることになります。 原稿の製作費を差し引いても、40~50万円は手元に残るでしょう。 事務所もいらなくなるので、年1冊単行本が出れば悪くない商売です。

2011-09-04 15:00:21
@shuhosato

しかしながら、単行本の発刊ペースと、作画の密度が落ちるので、単行本の売り上げは恐らく下がるでしょう。 それに、僕はいっぱい描きたいのです…。 頭の中にイメージは溢れていますので。

2011-09-04 15:05:27
@shuhosato

一般論に戻しますと、漫画家が月刊誌1本で生活していくことは不可能ではありません。 新人さんの場合、原稿料は1万円前後ですので、家賃7万円のアパートに閉じこもり、ひたすら漫画を描き続ければ、貯金はできずとも、生活はなんとかなります。 若い頃はそういう生活も楽しい物です。

2011-09-04 15:12:05
@shuhosato

では次に、作画ペースを落とさず、原稿料で黒字を出すにはどうすれば良いでしょうか? これも方法は簡単です。 人件費をカットすればいいのです。 スタッフにタダ働きをさせればいいのです。

2011-09-04 15:15:38
@shuhosato

自分(漫画家)を先生と呼ばせ、スタッフ=弟子にすれば、給料を支払う必要はありません。 「教えてやってるんだから、逆にこっちが金をもらいたいくらいだよ」とでも言っていれば、原稿料は全て漫画家の物になります。 スタッフが逃げ出さないように、たまに焼き肉をおごりましょう。

2011-09-04 15:20:27
@shuhosato

タダ働きは極端ですが、日給3000円とか5000円で、泊まり込みでスタッフに徹夜仕事をさせる漫画家は数多くいます。 僕はいろいろな漫画家さんの職場でヘルプスタッフをしたことがありますが、最も賃金の安い所は時給200円でした。 そこから食事代を引かれるので、腰痛しか残りません。

2011-09-04 15:25:31