Rootport先生が語る「『ログライン』の重要性」一連ツイが物語作家必見の要素たっぷり。「ビジネスでも有用」の声も

『SAVE THE CATの法則』を読み進めてるとこだけど、また課題図書が増えた。ありがたい。
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作家・マンガ原作者。/好きな言葉は「群盲撫象」/TIME誌「世界で最も影響力のあるAI業界の100人」選出/Blog→rootport.hateblo.jp /マシュマロ→marshmallow-qa.com/rootport

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新人賞で落選しちゃった、という読切マンガをネットで見かけた。画力も高いし演出力もある。キャラも魅力的だし、ストーリーもきちんと「掴み→中盤→クライマックス→オチ」がまとまっている。これで落選するの!?と驚いた。が、反面、「ログライン」の重要性は感じた。

2022-02-05 20:34:48
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Q.「ログライン」って何? A. ストーリーを1~2行でまとめたもの。たとえば友達に好きな映画やマンガを勧めるときに、長々とあらすじを解説しても飽きられちゃうでしょう?一発で友達に「見たい!読みたい!」と感じさせるような一言の紹介。「何をするお話なのか」が分かるもの。それがログライン。

2022-02-05 20:36:53
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たとえば『鬼滅の刃』なら「心優しい少年が、家族を鬼に皆殺しにされてしまうが、鬼化した妹を人間に戻すために親の親分を倒しに行くお話」だ。『ヒロアカ』なら「誰もが超能力を持ちヒーローが当たり前に存在している時代に、何一つ能力を持たない男の子がスーパーヒーローを目指すお話」だ。

2022-02-05 20:40:22
鬼滅の刃

吾峠呼世晴

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良いログラインは「誰が何をするお話」なのか明快だ。また、興味をくすぐられる〝皮肉〟がある。「心優しい少年なのに、鬼の親分を倒すの?」「能力を持っていないのに、スーパーヒーローを目指すの?」こういう皮肉やギャップを目の前にすると、誰でもこう感じるはずだ。「一体、どうやって!?」

2022-02-05 20:43:20

ログラインの優れたマンガとして『ほうしょうぶしゃくらいいこ』

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最近読んだ読切マンガでは『ほうしょうぶしゃくらいいこ』が優れていた。この作品のログラインは「不登校になるほど滑舌の悪さにコンプレックスを抱いていた少女が、放送部員になるお話」みたいな感じになるだろう。 「滑舌が悪いのに放送部?何が起きるの?」って感じる。 shonenjumpplus.com/episode/326975…

2022-02-05 20:49:06
リンク 少年ジャンプ+ ほうしょうぶしゃくらいいこ - 安芸勘谷 | 少年ジャンプ+ 滑舌が悪いことがコンプレックスで、人前で話すのが苦手な高校生・桜井りこ。ある日、ラジオ好きの阿出川に放送部に入らないかと誘われる。阿出川と放送部で活動するうちに、りこも放送で喋ってみないかと誘われるが…。 685 users 281

良い「ログライン」を作る上で大事な2つのこと

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重要なことは2つ。①ストーリーのすべての要素はログラインを実現するために存在すること。そして、②ログラインと関係のない要素は極力削ることだ。 いやまあ、100話を超えるような長期連載の大河ドラマなら、ログラインと関係ない「息抜きの回」があってもいいんだけど…。

2022-02-05 20:52:01
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50p前後の読み切りでは、ログラインに関係ない要素を盛り込むことはかなり難しいと思う。文字書きにも分かりやすいように喩えると、マンガ約50pは、小説で言えばざっくり5000~1万字程度の短編ぐらいの尺しかない。遊びを盛り込むよりは、削りの技術が問われる世界だ。

2022-02-05 20:54:44
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ログラインが決まるとクライマックスが決まる。ストーリーの一番〝エモくなる瞬間〟に、どんなエモさを読者に提供したいのかが決まる。『ほうしょうぶしゃくらいいこ』なら、滑舌の悪さというコンプレックスを乗り越える瞬間の〝あの感じ〟だ。作者が、読者に感じさせたかった〝エモさ〟だ。

2022-02-05 20:59:11
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〝あの感じ〟〝あのエモさ〟を読者に感じさせるにはどうすればいいか?を考えていけば、クライマックスシーンが決まるはずだ。

2022-02-05 21:00:53
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ログラインが決まれば、クライマックスが決まる。 クライマックスが決まれば、エピローグが決まる。 エピローグが決まれば、冒頭の〝掴み〟が決まる。 あとは物語上の必要な情報を整理して残りの〝尺〟に組み込めば、プロットができる。物語作りは本質的にパズルだ。

2022-02-05 21:02:29

「ログライン」が弱いと話がとっちらかる

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で、くだんの落選しちゃったマンガに戻ると(俺は)お話がとっちらかっている印象を受けた。審査員が何を考えたかは分からないけれど、「何をしたいマンガなのか」がぼやけているように感じた。 (つっても、もっとヒドい完成度で連載しているWEBマンガなんて山ほどあると思うけど)

2022-02-05 21:07:57
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お話がとっちらかった印象になったのは、おそらくログラインが弱いからだ。「これは何をするお話なのか」を言語化せずに、ネームを切っているうちに「やりたいこと」を全部詰め込んでしまったのだろう。料理で例えれば、チョコレート寿司カレーパフェみたいな感じである。

2022-02-05 21:09:55
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とはいえ、世の中には「カレーハンバーグドリア」みたいな、やりたいことを全部詰め込んだ上できちんとまとまった作品もあるので、一概には言えないのですけれども。

2022-02-05 21:11:22

物語の冒頭は「疑問形で描かれた結末」

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Q. エピローグが決まると冒頭の〝掴み〟が決まるのはなぜですか? A. 物語の冒頭とは「疑問形で描かれた結末」だからですよ……フフフ……(意味深な微笑み)

2022-02-05 21:20:18
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物語の冒頭部分は、ただ読者の興味を引く〝掴み〟があればいいわけではない。物語全体を暗示するようなものであるほうがいい。 (まあマンガでは〝掴みの強さ〟が優先されがちなのだけど)

2022-02-05 21:22:37
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物語とは「変化を描くもの」だ。誰かの/何かの時間的変化を描いたものが、物語である。 そして、冒頭と結末が対になるようなよく似たシーンだと、読者はその変化をより強く、より明快に感じ取ることができる。物語を読んだぞ!という満足感が高まる。

2022-02-05 21:24:35
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たとえば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の冒頭と結末では、マーティの家族がどれほど変化したのかが対比されている。マーティが30年前の過去で経験した冒険の結果が分かる。観客は「あのタイムトラベルには何の意味があったのか」をハッキリと認識できる。タイムトラベルしてよかった、と思える。

2022-02-05 21:27:36
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