たまたま手に入れた短刀を調べていたら

たまたま譲っていただいた短刀を調べてたら、えらいことになったよ
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トムトムさん @TomtomsanDesu

ちょっと語らせて。 僕みたいな侘び数寄者は、ガツンと名前の通った刀工の作品を買えるような余裕は無い。 でもね、感性を磨いていくと、本当に楽しめるんだよ。 そういう話をしたいんだ。 僕がこの短刀を初めて見たのは2020年。刀を始めて2年程立った時のことです。<続く> pic.twitter.com/WcIsAGNonY

2022-02-04 22:01:40
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トムトムさん @TomtomsanDesu

とある数寄者から、「もしよかったら譲るよ」と言っていただいたのが始まり。 観た瞬間に、「なんて姿の良い!」と、ガツンと来た。値段も馬鹿みたいに安い。けど普通の人がポンと出す金額でもない。 「少し考えさせてください」 と、その時は買えなかった。<続く>

2022-02-04 22:06:46
トムトムさん @TomtomsanDesu

運悪く、その次の週、岡山支部会で、本部刀の来を見た。バリバリに綺麗なその地鉄を見て、「あ、やっぱりあの短刀はよしておこう…」と買うのを躊躇った。 そこから1年。 少し目が上がった。 この短刀の「緩さ」みたいなものが、妙に心地よく感じた。 「下さい」 短刀は僕の物になった。<続く>

2022-02-04 22:09:13
トムトムさん @TomtomsanDesu

鞘当たりやツバ錆があったけど、気にしなかった。 鑑定書を開いて驚いた。「達磨正光・時代室町初期」 てっきり南北朝だと思っていた。 前の持ち主のメモがはさんである。 「紀州徳川家伝来。黒川古文化研究所 所蔵。●●県支部長。●●県副支部長。●●氏より譲り受け」<続く>

2022-02-04 22:15:37
トムトムさん @TomtomsanDesu

2021年5月。 ここから旅が始まった。 まず紀州徳川家伝来を確かめたい。 紀州徳川家の過去の売り立てを調べる。 紀州と検索するだけで、これだけの売り立てがあったことがわかる。<続く> pic.twitter.com/XTcn9MYIKC

2022-02-04 22:22:38
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トムトムさん @TomtomsanDesu

さらには清和園名義でも売り立てが。 「日本の古本屋」で、ガンガン検索するけれど、なかなか売り立て目録は出ない。<続く> pic.twitter.com/5JxjfLPjCs

2022-02-04 22:24:16
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トムトムさん @TomtomsanDesu

やっとのことで3冊の売り立て目録を集めた。 が、中に「正光」の文字は無し。 pic.twitter.com/GLtgWB1OUX

2022-02-04 22:37:06
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トムトムさん @TomtomsanDesu

東京文化財研究所に、日本最大の売り立て目録データベースがある。 tobunken.go.jp/japanese/urita… しかし中身を見るためには、金曜日に上野に行かなければならない。(今は月曜日も開いてるみたい)。こっちはサラリーマンだよ!姫路だよ! 行けるかよちくしょー!

2022-02-04 22:46:04
トムトムさん @TomtomsanDesu

方法を変える。 ダメ元で黒川古文化研究所にメールしてみた。 「貴所から出たという正光短刀が手に入りました。昔、本当に黒川にありましたか?」みたいなメールです。

2022-02-04 22:49:00
トムトムさん @TomtomsanDesu

そしたらなんとその日のうちにメールが来た。 「たしかに戦後直ぐに作られた収蔵品台帳に正光があります。現在は外に出たようです」とのこと。 ちょっと感激で声が出た。 さらに不躾にも、「その台帳の写しをいただけませんか?」と突っ込んでみる。

2022-02-04 22:52:03
トムトムさん @TomtomsanDesu

そしたらばなんと! 「施設の外には出せない資料なので、該当部分だけを」って、JPEGデータを送ってくださった!! マジですか黒川さん! 一生恩に着ます!行ったことないですけど!

2022-02-04 22:53:40
トムトムさん @TomtomsanDesu

さらにメールのやり取りをしている方の名前に、なんか見覚えがあるな~、と思っていたら、この本の著者、川見典久先生御本人!! 気づいたときには鼻血吹くかと思った。 pic.twitter.com/SucdiAzqX7

2022-02-04 23:05:17
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トムトムさん @TomtomsanDesu

ただ、黒川は、書画、茶道具についての取引記録はあるけれど、刀剣についての記録が一切ないとのこと。 実は知ってました。黒川の紀要を読んでたので…。それで紀州から攻めてたんです。 がっかりしてたら、メールの末尾に大ヒントが!

2022-02-04 23:10:28
トムトムさん @TomtomsanDesu

「もし紀州徳川家でしたら、福永酔剣先生の、”皇室・将軍家・大名家刀剣目録”を読まれてはいかがでしょうか」とのアドバイス。 アマゾン見たら、復刻版が出てる! 川見先生神すぎる! 瞬時に本をポチる。 pic.twitter.com/cTs2iwoITX

2022-02-04 23:14:08
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トムトムさん @TomtomsanDesu

索引をガリガリ探して「正光」を見つける! さぁ!出てきてくれ! 本に出ている「正光」は3か所。 祈る気持ちで一つ一つ読んでいく。頼む…頼む…! …結局、最後まで目当ての「正光」は出なかった。

2022-02-04 23:19:54
トムトムさん @TomtomsanDesu

ここまででも、実は結構時間が経ってるんですが、一直線に進んできた感じでした。 しかしここで、ぷっつり糸が切れた気がした。 …物語は、少し時間をおいて再開し始めます。 僕も疲れたので、続きは明日~。

2022-02-04 23:20:48
トムトムさん @TomtomsanDesu

さて今日も始めていきます。 お付き合いいただければ。 日本美術刀剣保存協会岡山支部長の小池哲先生に撮っていただいた正光です。 お手元で観られると、こんな感じになります。(写真は無断で拝借。来週お会いするので謝っておこう) pic.twitter.com/vq16gid8XX

2022-02-05 19:34:23
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トムトムさん @TomtomsanDesu

ご覧のように、板目が流れています。最初譲っていただいた時には白けうつりのようなものもありました。 達磨は重光から始まって正光で美濃加茂に移住したとありますから、関物と捉えて、そんなものかなと思っておりましたが、オカムラの油と極上打ち粉(研ぎ師さんにもらうやつ)で白けは消えました。 pic.twitter.com/DmCAaers5d

2022-02-05 19:40:13
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トムトムさん @TomtomsanDesu

むしろ大和気質を感じる状態になっているのですが、これは手に入れてから半年程たった状態。 丁寧に手入れをして、きちんと表面の垢が落ちたら浮いてきた姿です。 それまでは、達磨を追いかけていました。もちろん最初はネットで! で、出てきた銘を見て驚いた。

2022-02-05 19:44:30
トムトムさん @TomtomsanDesu

…違い過ぎるじゃない…。一枚目が達磨正光(二代とか)。二枚目が僕の正光(モノクロにしました)。 達磨は、まるで文字が無い人が刻んだような鏨跡。対して僕の正光は端正な行書です。これで同じ達磨って、そんなことある? pic.twitter.com/cBjHgvxwzd

2022-02-05 19:50:35
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トムトムさん @TomtomsanDesu

いやいやしかし、南北朝の動乱から室町時代。 関に移住する前は、まともな字を彫っていたのかもしれない。 お願い…初代正光は僕と同じ草書であって下さい!

2022-02-05 19:57:38
トムトムさん @TomtomsanDesu

ああ…違った。 写真は日本刀工辞典:古刀編から。 南北朝から字は下手だった…。 pic.twitter.com/rySDUpcBYr

2022-02-05 19:59:40
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トムトムさん @TomtomsanDesu

いや、何かつかめるはず! と、こんな本を買ってみました。 …押型無し。 「濃州住正光」蜂屋住と、文章でちょっと解説してあるだけでした。 …この本のほうが、短刀よりよっぽど武器として通用しそう。 pic.twitter.com/I5792mHVlD

2022-02-05 20:10:34
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トムトムさん @TomtomsanDesu

蜂屋は今の美濃加茂市! 何かあるかも!ってこんな本も買っちゃった。 …ビニールがかかっているのでお分かりの通り、開いてません。 pic.twitter.com/HkQSNJJPji

2022-02-05 20:16:37
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トムトムさん @TomtomsanDesu

ちなみに、二代正光として銘を挙げた刀。 物凄く良い刀です。 資料を添付します。 僕の正光とは違うというだけ。 pic.twitter.com/GXbgFtHD8z

2022-02-05 20:22:39
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