基本は歴史共同研究のどこに問題点があるかを、論理的に明らかにすること。但し、会議録等の資料がある訳でもなく、また、個人的な内容を明らかにすることもできないので、資料に頼って書くことは出来ない。従って、問題の構造を論理的に組み立て、随所に断片的な事実をはめ込むことしか出来ない。
2010-05-04 01:49:17で、その問題点。共同研究において、参加者全員の誰の目にも明らかな問題は、余りにも多くの時間が、「何を研究するか」を決めることに取られること。結果として、肝心の研究の為の時間が少なくなり、学術的に意義のあるちゃんとした研究ができない。
2010-05-04 01:52:10で、何で、研究テーマの確定に手間取るか。一つの理由は、研究テーマを何にするかで共同研究の政治的等々の意味合いが決まるから。例えば、竹島/独島問題を取り上げれば、韓国側にとってはこの問題が「紛争化」していることを認めてしまうことになりかねない(だから今回、彼等はこれを避した)。
2010-05-04 01:54:49もう一つの、小さな、しかし、研究者自身にとって重要な問題は、研究テーマと研究者の専門性の問題。当然のことながら、共同研究に参加している各研究者は各々の専門を持っている。そして、日韓双方の研究者の選抜は、相互にすり合せをしている訳ではないから、研究者の専門にずれが生じる。
2010-05-04 01:57:45当然のことながら、研究者は自分の専門と異なる研究はしたくないし、何よりも「できない」。にも拘らず、異なる専門の研究者が「共同研究」をしようとするので、当然のことながら葛藤が生じる。テーマを自分の専門に近いところに決めれば、議論も有利に展開でき、自らの研究にも有効に使える。
2010-05-04 02:00:22ということは、根本的な問題は、そもそも研究テーマが何かも決まっていないにも拘らず、委員だけが先に決まっており、その委員に研究遂行(論文執筆)の義務が課せられていることだ。
2010-05-04 02:18:23以上を論理的に整理すれば、本来、この共同研究には二つの段階が必要だということになる。即ち、研究テーマを決める段階と、研究そのものを遂行する段階。そして、前者と後者はできれば明確に分けられたほうが良い。前者の委員が、後者の委員を兼務すると、先の二つ目の問題が生じる。
2010-05-04 02:20:25@trinh_JP 韓国の研究者は「日本の歪曲された歴史観を是正させるのが共同研究だ」という一致した理解を持っている。韓国の場合は、それは共同研究に対する社会的理解の反映。対して、日本側はばらばら。学術的な研究に専念すべきという人も入れば、「国家」を意識した議論をする人もいる。
2010-05-04 02:56:49(研究ノート続き)組織的な問題の一つは、研究協力者を上手く使えていない、ということだ。第一次の時にはその協力者だったので、慣行ができた経緯は明らかでないが、何故か共同研究では、協力者は委員より「格下」に位置づけられている。
2010-05-04 03:03:08何故か韓国側の委員は、この点、極めて強硬で、うちの分科会では、日本側の協力者は韓国側の委員からのコメントに直接反論することさえ許されなかった(だから論文への再反論が委員が協力者の意見を代弁する形になっている)。これでは協力者の研究に対する意欲が失われるのは当然だ。
2010-05-04 03:05:18組織的問題のもう一つは「支援委員会」の位置づけだ。余り知られていないが、共同研究にはそのものの委員会の上(?)に、「支援委員会」が存在する。http://ow.ly/1GoTi 構成者は政府関係者と有識者。有識者は基本的に委員のなかから選抜されている。
2010-05-04 03:34:32問題はこの支援委員会の役割が(少なくとも一人の委員の目には)よくわからない、ということだ。第二期の委員会の場合、驚くべきことに、第一回の支援委員会は、第一回の全体会合の前日に行われている。従って、支援委員会が大きな方向性を決めて、全体会議に反映されるという形をとることも難しい。
2010-05-04 03:37:47根本的な問題は、そもそもこの共同研究が何の為に行われるのか、明確なコンセンサスが存在しないことだ。「正確な歴史認識を踏まえた上で、双方の歴史認識に関する相互理解を促進させることが重要であるとの認識」という政府見解だけでは、研究の方向性や具体的な内容を決めることができない。
2010-05-04 03:43:47更に大きな問題は、共同研究で扱われるべきが、単なる歴史的「事実」に留まるのか、それとも歴史的「認識」や、あるべき教育内容まで含むのか、決まっていないということだ。仮に共同研究に後者を含むのであれば、それは明らかに歴史学の範疇を超えている。
2010-05-04 03:47:36例えば、教育システムや「あるべき」内容について議論したいのなら、教育学者や社会学者(更には政治学者や哲学者)を呼ぶべきだろう。何れにせよ、まず議論すべき内容が決まってから、その専門家が選ばれるべきで、専門家を先に選んでおいて、内容を議論させるというのは本末転倒だ。
2010-05-04 03:51:28大体、今の歴史共同研究は、政治や外交の側が自らが責任を持って解決すべき問題を専門家に投げて、責任回避をしているようにも思える。
2010-05-04 03:54:18とすると、落とし所は次のようになるか。1)まず政治・外交レベルで共同研究の目標を明確に決める。2)幅広い専門分野の専門家を集めて「組織委員会」を作り、適切な研究者を選抜する、3)課題に合致した専門分野の研究者が学術的な研究に専念する。
2010-05-04 03:56:30まあ考えてみれば、どんな研究会だって普通、先に課題が(何となく)決まっていて、それに併せて人が集まってくる/を集める。やることが「韓国史の研究」ということしか決まっていない段階で、論文を書く人が集められている、ということ自体がそもそも異常なのかも知れない。
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