ツイッター小説お気に入りセレクト 2011/09/06“ 星新一生誕85周年祭り の日”

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ついのべ書きの皆様、昨日は突発祭りにご参加いただきましてありがとうございました。まとめることができたものだけでもなんと199作品！ http://t.co/ffMXM2w さすがの瞬発力ですね(笑)　またのちほど特に面白かった作品をいくつかセレクトしてみたいと思います。

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今から、ついのべをRTしながら感想をツイートしてまいります。うぜえって人はミュートしといてください。

ぐるぐる @hitoriguruguru

#twnovel ノックの音がした。僕の胸の中からだ。つるつるの胸にはノブがない。蝶番もない。仕方ないから錐で強引にこじ開ける。心臓さんがいた。こんにちは、と挨拶してからぶっ倒れた。心臓さんは心配そうに蠢いたが、僕が返事しないのを見てすぐに黙った。静寂が訪れ、部屋が赤く染まった。

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たっちの幽体離脱のように自意識が遊離し、肉体を観察しているようなイメージでしょうか。不思議なお話ですが印象に残りました。

ゆえ @sakuyue

ノックの音がした。動きたくないから無視。またノックの音がする。やっぱり無視した。いい加減諦めてくれないかなと思っていたら、これでもかというほど強く大きな音。なんでそっとしておいてくれないんだ、ドアを蹴破るなよ、と思わず泣いてしまった。「元気な男の子ですよ」 #twnovel

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ショートショート的にすとんと落ちるオチとはまた別に、この女性の「産むこと」に対する姿勢が気になりました。あまり望んでいなかった懐妊だったのかなと背景を想像してしまいます。それとも単なる畏れなのかな。穿った見方でしょうか？

リオ @urufffayn

ノックの音がした。音の数だけ、こんぺいとうを並べた。夕焼け色、露草色、半月色。ノックの音がした。向日葵色、入道雲色まで並べたところで手が滑った。明るい音をたてて色とりどりのこんぺいとうが跳ね回る。あの日のかけらが弾んで転がって砕けた。もう舌にのせるには鋭すぎた。 #twnovel

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詩的なついのべですね。星さんとこんぺいとうを掛けた意図もあるのでしょうか。個人的に僕は色のボキャブラリーが少ないので、「入道雲色」なんて色の表現にときめいてしまいました。甘いだけではなくて最後には棘があるのもいいですね。

たきてあまひか @amahika

エヌ氏とエル氏、エム氏が打ち合わせをしている。そこへエス氏とエフ氏が合流した。エイ氏はまだ待ち合わせ場所に向っている途中だ。エイチ氏とエックス市が、仲間になりたそうにこちらを見ている。 #twnovel

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これは言葉遊びで楽しいですね。さいごだけ「エックス市」になっているのはおそらくタイポでしょうが、一人だけどでかい「市」を想像すると笑ってしまいました。

ゆらぎじゅん @yuragijun

#twnovel ノックの音がした。「トントン　トトント　トトント　トトトト」ノックの音が合図だ。しかし、一箇所間違っていた。最後のトトトトがトトトトトでなければならない。何度もチャレンジしているが正解はなかった。開ることはできない。あれから一年、今もまだノックの音が続いている…

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これもオノマトペが楽しいですね。不条理ネタですが分かりやすかったので選ばせていただきました。

@K_Ichida

#twnovel 20年ぶりに初恋の彼女、エミリーと会うことになった。彼女以外には誰にも知らせていない秘密の山荘。現れたエミリーは見違えるように美しくなっていた。楽しいひとときを過ごしていると、ノックの音がした。「エミリーよ。開けてちょうだい」

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短い中でもしっかり伏線が張られていて、お手本のようなショートショートですね。シンプルなネタですがさすがです。

140字物語 @shortshortshot

ノックの音がした。その音には聞き覚えがあった。十年前別れた恋人との秘密の合図。その記憶が蘇ると共に背筋がゾクリと震える。彼女は数年前亡くなったからだ。誰だ。覗き穴から外を伺う。小学生位の少女が見えた。何だ、偶然か。ドアを開けると少女が言った。「こんにちは、パパ」 #twnovel

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こちらもショートショートらしいお話です。構成要素の多いネタなのに、無理なく140字で収まっているのは見事だと思います。

tokoya @tokoya

#twnovel ノックの音がした。僕は本を置いて立ち上がり、玄関の宅配ボックスを開けた。そこには焼きたてのピザが入っていた。支払いはクレジットだから、配達人と顔を合わせた事はない。バニーガール姿だったら面白いのにな。と思いながら僕はピザを頬張る。天窓に浮かぶ地球を見上げながら。

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一見いかにもなにも起こらなそうな平和な日常の光景ですが、最後の一行で世界がひっくり返ります。さほど伏線がなくても納得できるまとまりの良さですね。

四方山 @yama_y0m0

ノックの音がした。｢はい！｣とエヌ氏は応えた。再びノックの音がした。｢入ってくれ！｣とエヌ氏は言った。またもやノックの音がした。｢ドアを開けろ！｣とエヌ氏は叫んだ。ノックの音は止んだ。部屋の中央でエヌ氏は途方にくれた。この部屋の扉は一体どこにあるのだろうか。 #twnovel

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おそろしくリズムのいい文章ですね。音読するとよく分かると思います。ネタ的には小粒でも書き方で良作になり得る良い例だと思います。エヌ氏のとぼけたキャラクターもいい味を出してます。

いでゆのまち @ideimachi

#twnovel ノックの音がした。いばりん坊のくせに、引っかくようなか細い音。殿のご帰還だ。はいはい、と鍵を開ける。ずかずか部屋に入り「メシ」。はいはい、お皿をさし出す。満腹すると「寝る」。はいはい、寝床を用意。丸くなった彼の背をなでながら、私は読みかけの本をとる。秋の夜長に。

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ああ、ねこのお話だな、とすぐにピンときますが、それでも十分に楽しめる作品ですね。きまぐれなねこの描写が旦那さまとかぶる人も多いのではないでしょうか(笑)　人肌恋しくなる秋にはぴったりのお話です。

Hiroyuki inoue @hiro_kinako

#twnovel 友人や親戚達が帰ると、家の中は私と彼だけが残された。時計の針に目をやり、私は先刻までひっきりなしに出入りのあった玄関扉を閉めた。今夜はもう尋ねてくる人もいないだろう。彼と私の二人だけの長い夜のはじまりだ。ふいにノックの音がした。彼が眠る、柩の内側から。

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きっちりと書かれたショートショートですね。ネタバレしないように情報を小出しにしつつ伏線を張り、オチに持っていくところがテクニカルです。

瀬口 @an2a_09

ノックの音がした。遠慮がちにドアを開き、こちらを覗く少女。私は笑顔で手招きし、彼女にとっては異国の菓子を分け合った。親に怒られた時、友達を呼んだ時。彼女はいつもやって来た。時は過ぎ、もうノックの音はしない。開けっ放しのドアの向こうから今日も笑顔が飛び込んでくる。 #twnovel