デストラクティヴ・コード #2
【このニンジャは】 神話を創り、平安時代をカラテで支配した闇の種族、ニンジャ。 2050年代のネオサイタマで今、ニンジャスレイヤーを狩るべく送り込まれた悪のニンジャたち。おそるべき儀式「カリュドーン」が始まったのだ! 現在は、その第5話が連載中だ!
2022-02-24 20:48:59【ニンジャとは】 ・カラテで戦う ・ジツ(術)を使う ・寿命がながい ・平均寿命が短い ・修行してニンジャになる ・ある日突然ニンジャになる ・あなたもニンジャになる
2022-02-24 20:52:26【ニンジャスレイヤーとは】 1:サイバーパンクニンジャアクション小説。Twitterで連載中。 2:「ニンジャスレイヤー」の主人公、ニンジャスレイヤー。太古の怨念「ナラク」をその身に宿し、ニンジャを殺す。赤黒の装束と忍殺のメンポが恐ろしい。現在のニンジャスレイヤーは青年マスラダ・カイ。
2022-02-24 20:58:13🍣SALE急げ!🍣ニンジャスレイヤー物理書籍シリーズの電子版全巻が現在KindleやBookwalkerなどで最大70%オフのセール中。今日いっぱいなのでこの機会にネオサイタマにダイヴしよう! 🔰ニンジャどこから入門すればいい?その答えはここ!! amazon.co.jp/dp/B00V5SXXLY/
2022-02-24 21:02:15ニンジャスレイヤーとザナドゥは言葉をかわすことなく、アブストラクト・オリガミと桃のネオングラフィティを前に、ウメ・オカカのオニギリを食べた。空は異常な紫の色彩を変化させ続けていた。やがてザナドゥが立ち上がった。そしてニンジャスレイヤーを見た。「他に幾つあるのか、わかるか?」1
2022-02-24 21:13:06「全部で四つだ」ニンジャスレイヤーは答えた。「……恐らくはな」「ヤバいものじゃないんだろ」「おれにはわからん」「……」ザナドゥは腕組みして、オリガミを凝視した。やがて頷いた。「俺は、わかるぜ。あれはヤバいものじゃねえよ。俺のカンは鋭い。アーティストだからな」「なら、いい」 2
2022-02-24 21:17:26「あのよォ」ザナドゥは少し迷ってから切り出した。「他のオリガミ、探しに行かねえか」「何だと?」「これも多分、なにかのラッキーだ。生み出した本人が、こうしてその場に居たんだからな」「見つけて、どうするつもりだ。ここのようにボムするのか?」「そういう事」 3
2022-02-24 21:21:00「バカな」ニンジャスレイヤーは首を横に振ろうとして……振らなかった。「まあ、いいだろう」「マ?」ザナドゥはやや緊張した。「ホントは腹立ててねえか?」「何故だ」「いや……だってさ。まあ、アンタがいいなら、頼みてえよ」「ならば、行くぞ」ニンジャスレイヤーは立ち上がった。 4
2022-02-24 21:24:27「フーッ……」ザナドゥは息を吐いた。こめかみを汗の粒が流れ落ちた。ニンジャスレイヤーは無言で首を振った。ザナドゥは相当にビビっていた。それは……そうだろう。ニンジャスレイヤーは己の手を見た。なぜザナドゥの提案に乗ったのか、彼は自問自答する。……インスピレーションだ。 5
2022-02-24 21:26:46オリガミは戦いの中でおのずと生じた。彼自身が作ったものだ。壊れもせず、消えもせず、ただ留まるもの。どう扱うべきか、決めかねていた。オリガミは過去に捨ててきたもの。では、忌まわしいもの、目を背けるべきものか。違うような気がしていた。流れに任せて動けば、何かわかるかも知れなかった。 6
2022-02-24 21:29:17暗号化された座標に到着したナンシー・リンは、雪のひとひらめいて、ゆっくりと降ってきた物体を手のひらで受け止めた。それはツルのオリガミ・メールであった。その名の通り、手紙をオリガミに折ったもので、平安時代より伝わる奥ゆかしい通信手段として、電子の時代にも生き続けている。 8
2022-02-24 21:38:48オリガミは力強く折られており、送り手の実直さを感じさせて余りある。彼女は少し微笑む。破かず開く際、指先に若干の軋み感があった。なにしろ、使っていたボディは先日破壊され、新しいものを用意したばかりだ。差異のない少女型のフレームを入手できたが、キャリブレーションが充分ではない。 9
2022-02-24 21:44:26キュイイン。体内の微細なモーター駆動を感じ、この路地裏周囲の移動物の脅威可能性レベルを立体的に察知、安全を確かめながら、ナンシーはオリガミに書かれた文書に目を通した。そして、食べてしまった。彼女はそのまま、迷いのない足取りで、路地に溶け込むバラックの入り口に向かった。 10
2022-02-24 21:49:12垂れ下がった電子配線が火花を散らし、水溜まりにシュッと音を立てる。異色の空に似た色彩のオイルが浮いた水面に、「電話王子様」のネオン看板が逆さまに映り込んでいる。「マブ。マァブ」道端に座り込んだサイコ殺人鬼が指先のドリルを駆動させながら見上げる。ナンシーは無造作に額に接触した。 11
2022-02-24 21:52:18「マ……ブ……」サイコのこめかみにパリパリとノイズ音が生じ、黒白反転UNIXアイに「限界」の漢字が踊ると、そのまま昏睡した。ナンシーは捨て置き、バラックの扉を開いた。「時間極」「業界を挑戦」の力強い文言。中に進むと、カウンターのマネキネコが腕を振った。ミャオーウー。 12
2022-02-24 21:54:46ナンシーはマネキネコの手に指を当て、決済を済ませた。キャバアーン。マネキネコが歓迎した。ここはお誂え向きのUNIX房だった。適度な治安最悪地域に位置しており、適度に房のセキュリティが確立されており、無関心が保たれている。磨り減った世界だった。ナンシーは緑灯の光る個室に入る。 13
2022-02-24 21:57:55個室の幅は椅子ぐらいしかない。背もたれを跨ぐようにして椅子に座ったナンシーはUNIXデッキにアクセスし、タイピングを開始した。網膜記録をリコールし、先程入手したオリガミメールに書かれた文言を反芻する。カリュドーンの儀式の内側に入り込み、探りを入れている「秘密の内通者」からの報告を。14
2022-02-24 22:01:33タイピングを行いながら、ナンシーは眉間に皺寄せる。決して楽観できる報告ではなかった。推測通り、カリュドーンは何もかもが、ゲームの親に都合のよいように構築された儀式だ。主催者たるセトは、ニンジャスレヤーに対し、無限にダークカラテエンパイアの狩人を送り込ませる事が可能となっている。15
2022-02-24 22:08:31ニンジャスレイヤーは狩人を返り討ちにし続けている。これまでのところは。……いつまで戦いを続ける事ができる?否、勝ち続けたとして、その先に待つものは?既に空はまともな空ではなく、黄金立方体が出現し、誰もその影響を判断する事ができていない。儀式が進み、目に見える異常が現れたのだ。 16
2022-02-24 22:11:34やはり、何処かの時点で儀式を破壊しなければならない。では、どうすべきか。明確な答えはまだ掴めていない。「内通者」はいつまで留まる事ができるか。それもわからない。リアルニンジャは気まぐれで己が欲望に忠実な、古代の邪悪。決して背中を安心して預けられる交渉相手ではない。 17
2022-02-24 22:15:36「内通者」の電撃的かつ強引な手段には、ナンシーですらも僅かに目眩がした。同時に、高揚もした。「キョートを思い出すわね」彼女は呟いた。「力押しで勝てるイクサではない」……狩人選定や戦闘処理、領域支配等、多岐にわたって、儀式はIRCとコトダマを融合させている。ハッキングの余地がある。 18
2022-02-24 22:20:34儀式を崩し、セトの目論見を阻止し、さらにはケイトー・ニンジャの陰謀を叩き潰す……「こちらの調査と下準備が整うまで、あと少し」……ナンシーはほつれた前髪を撫で付けた。「それまで、マスラダ君に耐え続けてもらう事になる……。凌げるかしら。彼も随分無茶をする子のようだから……」 19
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