「仮定の過去」の物語-『長門有希ちゃんの消失』第3巻を読んで
カワイイ。(ニコッ RT @smithnagano: 『長門有希ちゃんの消失』を帰りの電車内で読むなど…いかん、ニヤニヤが抑えられない…w
2011-09-07 21:30:33しかしそれだけで終わらないのが私だ。すこし『長門有希ちゃんの消失』に向けての「語り」をいれよう。 RT @kalxuen7 カワイイ。
2011-09-07 21:47:31『長門有希ちゃんの消失』は、『涼宮ハルヒの消失』からのスピンアウトだ。そこには、「キョンが全てを受け入れた後に訪れたかもしれない、12/18以後の世界」が描かれる。
2011-09-07 21:49:21ここで『涼宮ハルヒの消失』に描かれた「消失世界」に就いて考えてみる。「消失世界」は、キョンの居心地の悪さを除けば、実は誰も傷ついていない世界であり、真っ当な世界でもある。
2011-09-07 21:52:10”それでも、なお”キョンは「消失世界」を是をせず、元の世界への帰還を図る。「元の世界のあいつらに会いたい」という、彼自身の欲望によって。
2011-09-07 21:56:15キョンは、「ハルヒとの出会いによって色の与えられたこの世界」に対して愛着を持ち、「その世界で」ハルヒ達といたいと欲望している。だからこの点において、「消失」での元の世界への帰還と「憂鬱」における閉鎖空間からの帰還は、「元の世界への愛着と欲望」という点において同質だ。
2011-09-07 21:59:24しかし「憂鬱」における帰還がハルヒの説得によって為されたものであるのに対し、「消失」での帰還は、キョンのキョン自身の選択によってのみ達成される。
2011-09-07 22:01:02”だから”、自身の選択によって一つの世界を閉ざそうとするキョンは、長い長い独白の世界を巡る。劇場版『消失』における、キョンの、キョン自身に対する暴力的な詰問と、「自動改札」に暗示される「世界を閉ざす(捨てる)」という選択は、キョン自身の葛藤を表している。
2011-09-07 22:04:39キョンに着目すれば『消失』は、<この世界か、あの世界か>という選択の物語となるだろう。しかし、「消失世界」を生み出した張本人である長門にとって、『消失』は「消失世界」に殉じようとする物語だ。
2011-09-07 22:06:45というのも、長門は『消失』において、世界を復旧するための術をキョンの選択に預けてしまう。長門にとって、「消失世界」に生きるか「元の世界に生きるか」は、「どちらでもよい」し、キョンの選択次第なのだ。
2011-09-07 22:12:37劇場版『消失』において、「消失」以前の長門が読んでいる本が、皆が皆狂気に陥っている「虚航船団」であり、「消失以後」の長門が読んでいるのが「もう一つの世界」で死に至る男を描いた『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』である、というのも象徴的だろう。
2011-09-07 22:15:09『長門有希ちゃんの消失』は、この「消失世界」が永続した可能性を描いている。それは、長門が「消失世界」に殉じた可能性であり、キョンは「誰も傷つかない、真っ当な世界」を選んだ可能性である。
2011-09-07 22:18:46メタ的には、『長門有希ちゃんの消失』は、キョン・長門にとっての「仮定の過去」なのだと捉えることができる。あの時、キョンが消失世界に留まっていれば、あるいは長門が復旧手段を残さなければ……あり得たかもしれない「過去」だ。
2011-09-07 22:21:09そうしてまた、私たち読者にとって『長門有希ちゃんの消失』は、「あり得たかもしれない青春時代(高校時代)」をも同時に描く。文化系部活動の、何をするでもない放課後の、放課後の空気を。
2011-09-07 22:23:42しかしやはり、『消失』の影がある以上、どうあっても『長門有希ちゃんの消失』の世界は、迫り来る終わり……破綻の可能性を常に孕んでいる。この世界は仮構のものである、という想定がぬぐいされないからだ。
2011-09-07 22:27:02仮定された世界で展開される「仮定の過去」の物語、それが『長門有希ちゃんの消失』だ。入れ子になった仮定の中に広がる「長門有希」の笑顔は、甘く、儚く、だから哀しい。
2011-09-07 22:31:10twitterだと、どうやっても一回の最大発言文字数140字、という制約があるから「まずアウトプットする」→「それを承けて」→「それを承けて」……という「自分自身のと対話」みたいになる側面があるよな。
2011-09-07 22:45:45