スウェーデン発クトゥルフ神話モチーフのTRPG「Kutulu」キーパー(GM)目線からの解説。

ヤネウラさん(https://twitter.com/yanegann)によるスウェーデン発クトゥルフ神話モチーフのTRPG「Kutulu」のキーパー(GM)目線からの解説です。
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ヤネウラ @yanegann

『kutulu』のキーパーをしたい人が増えてきているので、このあいだ遊んだセッションのことをキーパー目線から振り返ってみようと思う。 #kutulu

2022-02-12 12:43:19
ヤネウラ @yanegann

セッションは、PC2人が銃撃戦から逃げてきたところから始めた。 PCには違法病院の調査中に、そこを運営しているギャングと撃ち合いになったと説明した。しかし、本当は撃ち合いになった相手はミ=ゴ。PCは恐怖と狂気から記憶を捻じ曲げていたという設定。

2022-02-12 12:46:22
ヤネウラ @yanegann

KUTULUでは、キーパーは信頼できない語り手になる。その特徴を初めから使った導入にしてみた。撃たれたのも電撃銃。 もし自分たちの包帯をはがしてみたら、そこには銃創ではなく、電撃による火傷があるという設定になっていた。

2022-02-12 12:48:29
ヤネウラ @yanegann

PCは包帯をはがさなかった。しかし、現場に戻って、電撃でやけどした死体を見つけて、疑問を持ったので、問題はなかった。 現場の調査をすると、自分たちの記憶との齟齬が発見される。これはKUTULUでセッションをする時の定番の流れになると思う。 自分の記憶を疑う。これはKUTULUならではの楽しみだ。

2022-02-12 12:53:42
ヤネウラ @yanegann

KUTULUでは夢を見るのが重要だ。そこでプレイヤーに、夢を見てほしいから今日の調査はいったん終わりにしてほしいとお願いした。 急いで調査をしなかったから悪いことが起きるという展開にはしない、だから安心してほしいとも言った。 この信頼関係がないとプレイヤーはたぶん調査を急ぐと思う。

2022-02-12 12:56:50
ヤネウラ @yanegann

信頼関係ができたので、プレイヤーはその日の調査を打ち切ってくれた。ありがたいことだ。 家に帰って休んだPCは夢を見た。夢はPCに事件の真相のヒントを比喩的に与えられる素晴らしいチャンスだ。 この時の夢は、森の中の病院に行ったら電撃銃で撃たれるという夢にした。

2022-02-12 13:00:44
ヤネウラ @yanegann

電撃銃というのは直接的なヒントだ。 病院は、このあとも病院が重要だというヒント。 シナリオの最後に森に行くので、さりげなくその要素も入れた。

2022-02-12 13:02:20
ヤネウラ @yanegann

シナリオに出す神話生物を決めるときに、その神話生物をどのような象徴で表現するかを決めておくと良い。 私はこの時は、ミ=ゴの象徴を電撃と病院にしてみた。ミ=ゴが持つ科学的な要素を押し出した象徴である。

2022-02-12 13:04:33
ヤネウラ @yanegann

次の目的地は、二つ目の違法病院である。どうやってそこにたどり着くかは、プレイヤーの提案に任せた。良い提案が出てきたら、情報を与える形式だ。 プレイヤーの調査は的確で、問題なく二つ目の病院を得ることができていた。

2022-02-12 13:08:09
ヤネウラ @yanegann

この時は使わなかったが、プレイヤーが情報を得る手段を思いつかなかった場合の手段は考えていた。公文書館に行って病院の所有者を調べるというものだ。 答えの例を作っておくが、それを押し付けないというのが良いと思う。 KUTULUのPCは調査能力を確実に持っているので、それでなんとかするだろう。

2022-02-12 13:12:01
ヤネウラ @yanegann

二つ目の病院に行き、PCはミ=ゴと再び直接の遭遇をする。これは狂気の段階が上昇する重要なイベントだ。KUTULUでは、狂気が段階的に進んでいく。だから、複数回にわけて、神話生物に会うなどのイベントをする必要がある。

2022-02-12 13:16:10
ヤネウラ @yanegann

この時のセッションでは、狂気の段階を3つまでは行ってほしいと考えていた。そのためにはオープニングも含めて、神話生物と3回会う必要があった。 神話生物に2回目に会う時には、調査は進展するけど、まだ解決まではいかないように調整するのが、難しかった。

2022-02-12 13:21:01
ヤネウラ @yanegann

しかし、加減を間違えると、プレイヤーは徒労感を覚えてしまう。引き延ばしていると思われれば、ゲームの面白さは消えてしまう。 そこで、病院を調査するパートをここで終了とし、これ以降は森での話にした。ロケーションを変えることは、一区切りついたことを示す良い表現になったと思う。

2022-02-12 13:24:10
ヤネウラ @yanegann

このセッションには、病院を舞台にしたホラーと、森を舞台にしたホラーの、2つのストーリーが含まれている。 KUTULUは、段階的に狂気を進めるシステムである。また、途中で寝て夢を見るのも重要だ。だから、時間をかけて進めるシナリオが、システムに合っている。

2022-02-12 13:29:07
ヤネウラ @yanegann

1つのシナリオの中に、複数のストーリーラインを入れることは、有効だと思う。連続している短編を遊ぶような感じだ。特にシナリオの舞台を変えることは有効そうだ。移動によってゲーム内の時間を稼げる。

2022-02-12 13:31:23
ヤネウラ @yanegann

ここから、ミ=ゴの本拠地であるバーモント州の国有林に行く話がスタートする。 これまでは犯人を捜すお話だったが、ここからは犯人のもとにどうやってたどり着くかのお話に変わる。 お話の形式を変えるのも気分展開には良い。

2022-02-12 13:38:00
ヤネウラ @yanegann

風景も、町から自然に変わる。ロードムービー的でもある。状況が変わると、気分がリフレッシュされる。 KUTULUでは神話生物に会うなどのホラーイベントを複数回こなす必要がある。同じ条件で何度もやると飽きる。状況を変えるのは飽きを防ぐのに、非常に有効なようだ。

2022-02-12 13:45:51
ヤネウラ @yanegann

森の中に入ってからの調査はテンポよく進める。地道で時間のかかる調査は病院パートでやったので、変化をつけた。 そうしてミ=ゴの本拠地に到着。3回目の神話生物との遭遇をして、ノルマクリアだ。

2022-02-12 13:56:37
ヤネウラ @yanegann

さてここで、2回目の遭遇の時に神話生物を見たPCと、見ていないPCがいるので、事態の認識が異なるという状況が起こる。 そこでミ=ゴの缶詰を出す。あるPCは段階が進んでいるので頭部の入った缶を認識できるが、もう片方のPCはそれを受け入れられず、普通に生きている人間がいるものと認識する。

2022-02-12 14:04:39
ヤネウラ @yanegann

この認識の差異はドラマを生み出す。 だからPCの狂気の段階がずれたら、それを把握しておくと良い。ただ、これはキーパーにとってかなりの負担になるので、慣れないうちはセッションに参加するPCの人数を2人までにしておいたほうが無難だ。3人分の認識をおりこんでセッションを回すのは、かなり大変。

2022-02-12 14:07:43
ヤネウラ @yanegann

クトゥルフ神話的な真実を理解している狂人と、事態を受け入れられない狂人が、最後に激突してシナリオ終了。 KUTULUにおける狂気は、理解できない叫びをあげて奇妙な行動をとることではないということが、よくわかるエンドとなった。狂っている精神の中にも譲れない論理や正義がある。

2022-02-12 14:21:55
ヤネウラ @yanegann

キャラクター作成と基本ルール説明で1時間、ゲーム本体が3時間で、計4時間のセッションとなった。 これは分割してもよいと思う。シナリオの骨子を決めて、それを説明してキャラクター作成してもらい、そのデータを見て得意な調査方法を確認してから、シナリオ細部を詰めると安定しそうだ。

2022-02-12 14:30:51