デストラクティヴ・コード ＃4

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

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黒い三角帽（トリコーン）を被ったニンジャは、ニューロン速度で跳ぶ銃弾に、アイサツを込めた。『ドーモ。ハイウェイマンです』アヴァリスは眉間に銃弾を受け、後ろに吹き飛びながら、彼の名乗りをニューロンで聞いた。時間が極限圧縮され、アヴァリスは後ろに倒れる自分を無重力めいて感じた。

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「グ！」アヴァリスは背中からアスファルトに倒れ込んだ。カツ。カツ。カツ。狙撃姿勢を解いたハイウェイマンが近づいてくる。「ウ！」アヴァリスは海老反りに身体を跳ね上げ苦悶した。カツ。カツ。ハイウェイマンが近づく。「ア！……アア！」のたうつ。「アアアア！」ハイウェイマンが近づく！

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カツ。カツ。シャコン。鉄靴の音。歩きながら、用心深い弾薬装填の音。アヴァリスは震える。頭蓋が銃弾をくわえ込み、脳直前で止めている。アヴァリスは額から噴き出す血を血管収縮の力で止めようと苦悶。やられたな。彼は呟き、上体を起こす。ハイウェイマンは灰色の目で冷たくアヴァリスを見た。

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「やられたな」アヴァリスが呟き、起き上がろうとするのを、ハイウェイマンは少しの驚きをもって受け止め、カイシャクを留まった。脳天を撃ち抜かれる瞬間に、仰け反って貫通を防いだとでもいうのか。どちらにせよ、よほどのニンジャ耐久力の為せる技だ。　1

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ハイウェイマンはLAN直結ライフルを構え、冷静に待機する。先走ったところで、よい事はなにもない。起き上がりざまのあらゆる攻撃可能性を警戒。アヴァリスは震える手で地を掴む。「貴様は……うまいジツを……」BLAMN！網膜に映る光がアヴァリスの致命部位を捉えた時、彼は引き金を引いた。　2

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「……！」アヴァリスはかざした掌で第二の銃弾を握り込んでいた。衝撃が腕を伝わり、肘先から血が噴き出した。ハイウェイマンは既に次の動きに出ている。手にしたアミュレット、「ペリアプト・オブ・ノロイ」の鎖を掴み、突き出した。これの力を正しく用いる為、この位置まで近づく必要があった。 3

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アミュレットを当初持たされていたデスロールはアヴァリスの力を見誤り、失敗して死んだ。いや……あるいは、その死をもってアヴァリスを見定める為に、持たされていたのか。ハイウェイマンは爆発四散痕からこれを回収し使うよう指示されていた。オカルトは嫌いだが。「イヤーッ！」「グワーッ！？」 4

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アミュレットがこの世ならぬスペクトルの光で満たされ、同じ光がアヴァリスの輪郭を浮かび上がらせた。アヴァリスの目が光った。「ヌウウウ……しつこいぞ……！」「……」ハイウェイマンは慎重に間合いを維持している。苦し紛れの攻撃が行われたとしても、この距離ならば即座に対処可能。 5

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ペリアプト・オブ・ノロイはハイウェイマンの理解の及ばぬ神秘の品。恐らくその大本を辿れば、ダークカラテエンパイアのリアルニンジャが下げ渡した品なのだろう。理解できぬものは理解する必要がない。ただ有利に働き、イクサを助ければ。陰謀を巡らすのは上の者の仕事だ。儀式などどうでもよい。 6

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「AAAARGH！」拘束を振り払うようにアヴァリスは跳ね起き、その身を仰け反らせる。ハイウェイマンは首から下げたアミュレットから手を離した。既に光を失っている。込められた力を発揮し終えたのだ。『見事だ、ハイウェイマン＝サン』彼のニューロンに声が響いた。生体LAN通信とは異質なチャネルだ。 7

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『そして懸念は確かめられた。やはりこの狩人はカリュドーンの異物。術式を破壊するコードだ。排除せよ』「殺しても構わんな」『ペリアプト・オブ・ノロイはオヒガンの位相より、奴の力の結びを乱す。奴が適応するのを待たず決着せよ……』「イヤーッ！」アヴァリスが跳んだ！　8

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ハイウェイマンは既に動いていた。「BAR：悲しい街」のネオン看板をトライアングル・リープした先は、アヴァリスの跳躍方向。行く手を遮り、ライフルの引き金を引く！BLAMN！「イヤーッ！」アヴァリスは払いのけるようにして銃弾を防いだ。だがハイウェイマンは銃口を前に突き出す！「イヤーッ！」　9

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その瞬間、ライフルにLAN直結したハイウェイマンのニューロンに反応し、銃口に仕込まれた刃が飛び出しナイフめいて現れた。ハイウェイマンは銃をヤリめいて突き出し、アヴァリスの胸を貫きにゆく！バヨネット・ドー奥義、ダブルアサルト・ツキ！銃反動に抗うニンジャ膂力を要する大技だ！　10

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「グワーッ！」狙うは心の臓！アヴァリスは闇色に光る目を見開き、苦悶する。厄介なジツの発動なし！妨害が効いているのだ。ここで決めきる！ハイウェイマンはアヴァリスを強引に着地せしめた。銃剣の切っ先が胸板に沈み込む。ハイウェイマンは肘先のサイバネ・シリンダー機構をアクティベート！　11

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「銃身ごと味わうか！」ハイウェイマンは叫んだ。KBAM！肘先の炸薬が爆発し、ヤリめいた銃を前に押し込む！「イヤーッ！」アヴァリスは吠えた。横からの強引な殴打！突き刺されながらも、銃剣の刃を根本から殴り折った！「ヌウッ！」「イヤーッ！」アヴァリスが逆の手でチョップを振り下ろす！　12

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「イヤーッ！」ハイウェイマンは刺突を逸らされた勢いを利用し、自ら横に身体を倒して、コンパクトな横転でチョップを躱した。アヴァリスのチョップが地を砕いた。ハイウェイマンはさらにフリップジャンプし、構えたライフルを着地と同時に発砲した。BLAMN！「グワーッ！」アヴァリスは肩に被弾！　13

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「チッ」だがハイウェイマンは舌打ちしながらバックステップを繰り返し、間合いを取りながら銃をリロードした。どの攻撃も致命部位を破壊するに至らない。まずは額。あれは防がれたに等しい。そして身体の真芯にある心臓にも届かなかった。コンマ一秒のアヴァリスのカラテが致命を回避している。　14

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肩の被弾、これなど、もはや盾で受けたようなものだ。アヴァリスは秀でた体格をしている。それを活かす動きに長けている。アヴァリスは攻撃を敢えて受けるそぶりすら見せている。……慣れているのだ。ならば、より研ぎ澄まされた、より洗練された攻撃を以て倒さねばならない。　15

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「おまえ……」アヴァリスはゆっくりと腕を上げ、ハイウェイマンを指差した。「……ジツを、持っているな」ハイウェイマンは息を深く吸い、指先に引き金のディテールを感じる。「……見せて、もらわんとな」アヴァリスは前に踏み出し、よろめいた。……否。よろめいたのではない。動きの揺らぎだ。　16

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揺らいだ、と感じた時、アヴァリスはうねる力の波めいて、不規則な渦を生じながら、瞬時に間合いを詰めてきていた。ハイウェイマンの強化された照準能力を持ってしても、その動きを撃ち抜く事は不可能だ。跳び下がり、懐から予備刃を取り出し銃口に装着。その時にはワン・インチ距離！「イヤーッ！」17

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ハイウェイマンは掬い上げる銃剣斬撃を繰り出す。アヴァリスは貪欲に笑い、半身になって刃を躱しながら、ハイウェイマンの脇腹に拳を叩き込んだ。「イヤーッ！」「グワーッ！」ハイウェイマンは身体をくの字に曲げ、回転しながら吹き飛ぶ！壁を蹴って受け身！アヴァリスがさらに迫る！「イヤーッ！」18

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ハイウェイマンは目を細める。アヴァリスは驚くべき、そして恐るべきカラテの持ち主だ。ジツに耽溺するさまが、ともすれば対手の判断の誤りをさそう。やはりカラテなのだ。だが、アヴァリスは逸っている。アミュレットのノロイが焦りを駆り立てているか。ゆえに……「イヤーッ！」「グワーッ！」19

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ハイウェイマンは壁を垂直に踏みしめ、横向きになりながら、銃剣を突き出した。追撃を待ち構えての一撃だ！通った！肋骨の隙間に刃が入り込み、肉を抉る！心臓は逸れた。心臓を狙ったのだ。アヴァリスはなおも厄介！「ゴボッ！」アヴァリスは血を吐いた。吐きながら笑う。「ハハ、ハハハハ！」　20