西康晴氏によるSAABグリペン事例におけるアジャイル開発に関する考察

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Yasuharu NISHI @YasuharuNishi

SAABが戦闘機(グリペン)をアジャイル開発で作ったという件。日本語のまとめしか読んでないからよく分からんけど、いくつか成立した条件があるよなーと思った。そこを無視して騒ぐのはよくないかな。誰も騒いでないけど。

2022-03-12 09:51:06
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi

読んだのはこのまとめ。ありがとうございます。分かりやすかったです。 m(_)m tune.hatenadiary.jp/entry/2019/02/…

2022-03-12 09:53:00
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi

まず、広義のMBD(モデルベース開発)環境が構築されていたこと。広義の、というのはMatlabを使うという狭義のMBDではなく、物理モデルも含めてシミュレーション可能なモデルがデジタルに存在してる。マツダのMBDみたいなもんかな。このおかげで、高速に実験できる。

2022-03-12 09:55:14
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi

つまり戦闘機だと言ってるけど、アジャイル開発での一つの開発目標はデジタルモデルであって、実機ではない。まぁもう少し言うと、多分、デジタルモデルから実機までの段階を細かく実現して、そっちもアジャイルできるようにしてるとは想像する。

2022-03-12 09:56:38
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi

次に、戦闘機はそもそも生産機数が多くない。Wikipediaによるとグリペンは試作機5機、量産30機。つまり(自動車や家電のような)量産工程は無いと思われる。量産工程が無いと、生産をアジャイルに調整・変更することが容易になるから、これも高速に実験できるようになる。

2022-03-12 10:00:47
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi

グリペンは基本的にスウェーデンの国産で、顧客はスウェーデン軍。スウェーデンの兵器発注体系は知らんけど、もしかしたら軍部側がPOとして積極的に参加できるような体制が組めたのかもしれない。

2022-03-12 10:04:02
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi

Scrum of Scrum of Scrum of Scrumsミーティングがあるということは、4階層のスクラムチームが存在するということ。すげぇ!これって、みんなが想像するアジャイル開発と同じ規模ではないよね。でもすっごく参考になるだろうなぁ。

2022-03-12 10:05:31
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi

アジャイル開発を採用した(せざるを得なかったのかもしれない)のは、アビオニクスや電子戦対応でソフトの比重がすごく大きくなっている上にアップデート対応が必要というビジネス環境(?)が大きいのかもしれないね。今の車載機器みたい。

2022-03-12 10:08:58
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi

でもさ、試作初号機はプログラムのバグで墜落している。でもこれはパイロット誘導振動という、機体とパイロットのフィードバックサイクルに起因するものらしい。

2022-03-12 10:11:54
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi

墜落するものをアジャイル開発で作っていいか、という議論になりがちだけど、シミュレータの性能かもしれないし、WFで作っても結局同じバグが出てしまうのかもしれない。高速に低ダメージで実験できないものがあるドメインでのアジャイルというのは、まだ議論の余地があるね(できないとは言ってない)

2022-03-12 10:13:33
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi

そうそう、4階層で4096人が開発に従事しているんだけど、どうやら部位ごとにモジュール化すなわち「マイクロサービス化」しているから可能なんだよね多分。プロセスやマネジメントがアジャイルであるという時には、アーキテクチャ(や組織)がアジャイルに適したものであるのが必要よ。

2022-03-12 10:15:39
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi

航空機の開発ってWFで納期コスト死守みたいに言われてるけど、試験では墜落するし(試験だから墜落も十分ありうる)型式認証は取れないし、と遅延やコスト増がよくある。その意味では、もしかしたら純粋なWFじゃなくて、そもそもアジャイル風味なWFだったのかもしれない。

2022-03-12 10:17:11