見城こうじ氏の『コズモギャング・ザ・パズル』開発話まとめ

1992年より稼動したナムコ製業務用落ち物パズルゲーム「コズモギャング・ザ・パズル」の開発に携わった 見城こうじ( @KenjohKohji )氏による開発話をまとめました。
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見城こうじ @KenjohKohji

フリーのゲームディレクター/任天堂『カスタムロボ』シリーズ、『シナプティック・ドライブ』『コズモギャング・ザ・ビデオ』『コズモギャング・ザ・パズル』『ゼビウスアレンジメント』など

石井ぜんじ @Zenji1

元GAMEST編集長、ゲームライター。ゲーム制作にも関わる。ゲーセンの歴史を綴る『ゲームセンタークロニクル』『石井ぜんじを右に!』発売中。共著に『ライトノベルの新潮流』。『セガ・アーケードヒストリー』『シュタインズ・ゲート公式資料集』などで執筆。ゲーム関連ほか、エンタメ小説、アニメ、VTuberなどに興味あり

石井ぜんじ @Zenji1

これ何度も言っているけど、『キャメルトライ』や『コズモギャング・ザ・パズル』は僕から見ると「凄いアイデアの傑作だ」となるけど、人によっては「何やってるのかわからない意味不明なゲーム」となるらしい。わからない人の感覚がいまだにわからない。人類の分岐点?がこのあたりなのかも

2022-03-08 22:48:26
石井ぜんじ @Zenji1

なんか誤解している人がいるのだけれど、わからない人のことを非難しているわけではないですよ。感覚的にわからないので興味深い、それが知りたいと思っているのです。どのあたりが境界なんだろうかと。テトリスは大部分の人がわかるらしいんですよね。

2022-03-09 12:19:16
石井ぜんじ @Zenji1

ぼくの書き方が誤解を招きそうではあったが、ツイートだと自分はそうそう強い言葉は使わないので。よほどじゃないとあいつら意味わかんねえよ、とはあまり言わない。

2022-03-09 12:23:03
石井ぜんじ @Zenji1

コズモギャング・ザ・パズルのときは「わからない」人にお願いして詳しく聞いてみたのだけれど、たぶんコズモの存在が感覚的にわからないみたい。なぜ水で流れるのか、ブロックとどこが違うのかピンと来ないみたい。

2022-03-09 12:30:06
石井ぜんじ @Zenji1

キャメルトライの場合は、たぶんだけど日常であのような視点にならないからだと思われ。子供の頃に箱の中に迷路を作ってビー玉を転がす遊びをしていればわかりやすいんだろうけど(僕はこういうの作って遊んでました)。この箱よりさらに一段階抽象的?なので。

2022-03-09 12:33:30
石井ぜんじ @Zenji1

ゲームは日常とか現実の感覚に即していないとわかりづらいが、全くそのままだと面白くない。日常から外れた違和感をゲームで楽しむところもある。意識は必要だが、答えは出せない(意味はない)みたいな話になりそう。

2022-03-09 12:49:34
見城こうじ @KenjohKohji

@Zenji1 ありがとうございます🙂 『コズモギャング・ザ・パズル』がわかりにくいゲームだという感想もよくわかります。

2022-03-09 18:36:53
見城こうじ @KenjohKohji

石井ぜんじさんがコズモギャング・ザ・パズルのことをツイートしてくださってるのを見ました。 自分でも気に入ってるゲームなので当時の思い出を書いてみます。ちょっと長いです。興味ない人知らない人ごめんなさい。(つづく)

2022-03-10 20:51:06
見城こうじ @KenjohKohji

コズモギャング・ザ・パズルのアイデアは、属性(とでもいえばいいのか)が異なる複数のブロック(パーツ)を同時に扱う落ち物が作れないか、というところから始まりました。

2022-03-10 20:51:37
見城こうじ @KenjohKohji

たとえば、テトリスもコラムスもぷよぷよも、すべてのブロックは等価で消し方のルールが統一されています(魔法石のようなアイテムを除き)。テトリスならブロックの形は様々だけど、隙間なく埋めなさいというところは全部同じ。コラムスならどのブロックも同色を決まった数並べるために存在してます。

2022-03-10 20:52:04
見城こうじ @KenjohKohji

そこで、(特定の条件下で現れるブロックではなく)恒常的に出現するブロックに、複数の消し方・役割が混在すると、新しい遊びになるんじゃないかって考えたんです。かつ、そこに今までにない消し方もあるとなおよいなって。

2022-03-10 20:52:42
見城こうじ @KenjohKohji

最初は漠然と、カラーブロックを並べると岩のようなものに変化し、それが下へ落ちて、点在するお邪魔キャラクターをつぶすようなゲームが作れないか、と考えていました。何となくディグダグのような遊びが頭のなかにありました(絵は最初からコズモで考えていました。前作のリソースもあったので)。

2022-03-10 20:53:06
見城こうじ @KenjohKohji

でも、これだけのアイデアだと、いくら考えてもまったく成り立たないんですね。複数のブロックを揃えたらそのまますべてが岩になるのか、それともまとまった1個の岩になるのか? 前者だと大味すぎるし、後者だとその岩がどの位置に生成されるのか、わかりやすい法則が作れない。

2022-03-10 20:53:41
見城こうじ @KenjohKohji

そもそも、真下にお邪魔キャラがいる状況を狙って色を揃えるなんて、パズル的に無理があるだろうと。もっとロジカルな攻略ができる仕組みじゃないとダメだってところで数週間ぐらいずっと行き詰まっていました。

2022-03-10 20:54:04
見城こうじ @KenjohKohji

その一方で、まとめ(大量)消しのような概念は絶対必要だと思ったので、岩を強力にできないかというのはずっと考えてて、すべてのブロックを貫通して下まで落ちていったらとか、広範囲に爆発を起こすとか考え始めたらもうドツボで、絶対大味で訳わからないものにしかならないって想像がつく。

2022-03-10 20:54:33
見城こうじ @KenjohKohji

それで、あるときハタと、落下するから単純なのであって、岩なら転がるという発想もあるんじゃないかって気づいたんです。そうすれば縦横の動きが生まれて、単純じゃなくなるんじゃないかって。

2022-03-10 20:54:56
見城こうじ @KenjohKohji

でも、そのときはまだフィールドに重力があるという発想に行き着かなかったのと、揃えたブロックが岩に変化するアイデアのままだったので、ブロックの山のなかに発生した岩が、何らかの法則でお邪魔キャラをたどって“上下左右に”くねくねと転がっていく、みたいなイメージでした。

2022-03-10 20:55:21
見城こうじ @KenjohKohji

これもちょっと考えるとわかるのですが、お邪魔キャラの並びが分岐したり団子になっていたときにどっちに転がればいいか、説得力のある法則性が作れない。

2022-03-10 20:55:43
見城こうじ @KenjohKohji

そこでやっと初めてそこに重力があれば転がる方向に明快な法則性が作れるんじゃないかってところに行き着きました。でも重力に従って転がるということは、そこに何らかの足場が必要だ。いや、既にブロックという足場があるだろって気づいて、コズモがジグザグにつながった画面がイメージできました。

2022-03-10 20:56:11
見城こうじ @KenjohKohji

たぶんこの辺りで、このゲームにカラーブロックは不要なのではと気づいて1種類のコンテナにして、岩も落ちてくるパーツのなかにそのまま含めばいいじゃないかってなりました。で、世界観的に岩というよりボールかなってことでビジュアル案も(ボウリングっぽいイメージ)変えて。

2022-03-10 20:56:42
見城こうじ @KenjohKohji

じゃあコンテナはどうやって消すんだろうって考えると、横一列にコンテナが並んでいたら、その下にボールが届かない。消去法でテトリスのように横一列に揃ったら消えるルールしかあり得ないってところに帰結しました。ここまで来てルールが整いました。

2022-03-10 20:57:07
見城こうじ @KenjohKohji

ボールが降ってくる法則に確率(乱数)要素を入れるかどうかもここで考えたのですが、ボールがないと詰むゲームなので、必ず一定周期で規則的に降ってくるようにし、戦略が立てられるようにして、その周期自体を難易度パラメータに使うことにしました。これも理屈としてほぼ他の選択肢があり得ない。

2022-03-10 20:57:36
見城こうじ @KenjohKohji

それでこの通りの企画案をプログラマに作ってもらったら、一発でゲームとして成り立って、しかも面白かったので本当にうれしかったですね。あくまで落ち物の枠組みに乗っかった仕組みですが、正直、自分の仕事で後にも先にもここまでワンアイデアがきれいにハマって気持ちよかった企画は他にないです。

2022-03-10 20:58:01