デストラクティヴ・コード #5
【今回のエピソードは】 ニンジャスレイヤー狩りの儀式「カリュドーン」の為に世界から集まってきた狩人のニンジャの一人、アヴァリスは、他のニンジャからジツ(術)を奪って我がものにする強く恐ろしい存在だ。
2022-03-17 21:05:54【今回のエピソードは】 このアヴァリス、何らかの儀式の妨げをしているとの咎で、儀式側ニンジャ達から襲撃を受けた。しかし全部殺った。 アヴァリスのジツ盗みはルールが細かい。 ・ジツをしっかり受けて生存する事。 ・もしくは、相手を食べる事。 ・使ったジツはしばらくグレイアウトする。
2022-03-17 21:08:38【アヴァリスのジツ盗み】 ・盗んで保持できるジツは最大8つ。 ・ジツをアヴァリスが自身に「付け替えた」瞬間、もとの使い手はそのジツを使えなくなる。 ・ジツを奪われたニンジャが死んだり発狂したり人事不省となるケースも多い。 ・どうしてアヴァリスは襲われているんだろう?
2022-03-17 21:12:39【前回のセクション】 襲撃者を全て撃破したアヴァリス。その後、ユメリンゴ交差点を臨むビルの屋上で、超自然のオリガミオブジェクトの調査を終えたブラックティアーズのもとを来訪する。 ブラックティアーズが完全にしらばっくれているので、アヴァリスは攻撃を仕掛け、肩をチョップで割った。
2022-03-17 21:17:00「グワーッ!」ブラックティアーズは長駆のアヴァリスのカラテの圧力によって抑え込まれながら、血走った目を発光させて、アヴァリスを睨んだ。悲鳴じみた澄んだ破砕音を響かせ、ハニカム構造の超自然シールドがほぐれてゆく中、アヴァリスは肉切り包丁めいてチョップをさらに押し下ろした。 1
2022-03-17 21:22:36「狩人が……!」ブラックティアーズはアヴァリスのチョップ手を掴み、心臓へ達するのを止めながら、責めた。「狩人が狩人を攻撃するとは……狂ったかアヴァリス=サン!許されんぞ!」「ははははは。刺客を送るのは許されても、直接やるのはダメか」アヴァリスは押し込みながら嘲笑した。 2
2022-03-17 21:25:34「まあそれはいい……俺はルールを守りたいからな」アヴァリスは言った。「お前の対ニンジャスレイヤー挑戦権を奪う為に、決闘を挑んだ事にする。お前の挑戦順はどうせ最後だろう。それを頂く。挑戦順を巡る決闘は許されるだろ。ああそうだ、最初からそのつもりだ、思い出した」「愚かなマネを……」 3
2022-03-17 21:29:50「俺は知能指数が高い」アヴァリスはブラックティアーズの眼光に応じるかのように、闇色に目を光らせた。「お前が始めたのだから責任を持て。俺もやりたいようにやっていいという事だ……」「イヤーッ!」その時だ!ひとりでにブラックティアーズのカタナが鞘から飛び出し、アヴァリスを斬った! 4
2022-03-17 21:35:05アヴァリスは瞬間的にチョップを引き抜き、上体を反らせて斬撃を躱していた。執着がコンマ1秒長ければ、チョップの腕は肘から先を失っていただろう。ビュルルルル、風を斬る刃は空中で風車めいて高速回転し、アヴァリスのさらなる攻撃を咎めたのち、立ち上がったブラックティアーズの左手に収まる。 5
2022-03-17 21:39:01「後悔させねばならんな」ブラックティアーズはカタナを打ち振り、刀身に塗られた黒い油めいた液体を散らす。裂けた肩にはさほど頓着していない。水晶球はリンリンと音を鳴らし、ブラックティアーズの顔の横に浮かんだ。「まだ被害者面を……」アヴァリスは訝しむ。刃に視線の焦点を合わせられない。 6
2022-03-17 21:42:28「応えよ、妖刀ベッピン。幾度でも」ブラックティアーズが呟いた。手にしたカタナの表面、ダマスカス鋼じみた刀紋の特定の層が内なる光を放つと、狩人長は影と化していた。「グワーッ!?」アヴァリスの脇腹が裂けた。避けきれない。そしてブラックティアーズが居ない!否、後ろだ!「イヤーッ!」 7
2022-03-17 21:49:22「イヤーッ!」間一髪、アヴァリスは横に転がり、背後からの第二の斬撃を回避していた。「我がイアイドーのひとつ、ムーンシャドウ。よくぞ躱したな」ブラックティアーズは刃を構え直す。刀身が脈打ち、アヴァリスの血を柄本へ送り込むと、ブラックティアーズの肩の傷口が歓喜に震え、塞がってゆく。 8
2022-03-17 21:52:45「治すのがジツか?」アヴァリスは舌なめずりした。「そのカタナは何だ……ニンジャスレイヤーに使った刃は粉々だろ」「妖刀ベッピンの破片は幾度でも応える」ブラックティアーズは刀身に手を添わせた。「ゆえに、我が手にするカタナ、名品・なまくら、ことごとく魔剣なり。挑めば死の翼触れるべし」 9
2022-03-17 21:57:38アヴァリスは焦点を合わせられぬ刃の存在を感じ取ろうとする。ブラックティアーズの力を把握しようとする。かつて、ブラックティアーズのカタナはニンジャスレイヤーに「狩」の漢字を刻んで砕け、失われた。あの時、カタナに纏わせ、ノロイに用いたのは狩人たちの血だ。刃の本質は血と……破片? 10
2022-03-17 22:03:25「イヤーッ!」ブラックティアーズが動いた。アヴァリスは彼の動きの先を読み、対応し、掴みかかろうとした。だが……ナムサン……ブラックティアーズの動きはずっと遅かった。彼は殆ど動いていなかった。勢い余ったアヴァリスの横へブラックティアーズが回り込み、攻撃した。「イヤーッ!」 11
2022-03-17 22:09:00ブンシン、あるいはゲン・ジツめいて、粘りつくような虚の動きだった。アヴァリスは咄嗟に床を蹴り、キリモミ回転しながら、踵を狙った下段斬撃を跳んで躱した。ブラックティアーズは下段斬りの動きのままに中段の斬撃を繰り出した。「イヤーッ!」「イヤーッ!」アヴァリスは刃を蹴り、跳ねた! 12
2022-03-17 22:13:00間合いを取ろうとするアヴァリスに、水晶球が追い迫った。リリリン!澄んだ音が鳴ると、アヴァリスの背後にハニカム構造の壁が生じ、背中を受け止め、それ以上の離脱を阻んだ。「イヤーッ!」ブラックティアーズが追って跳んだ!空中、逆手に構えたカタナで、執拗に突く!「イイイイヤアアーッ!」 13
2022-03-17 22:16:50ブラックティアーズはアヴァリスをザクザクと刺した。アヴァリスは捌き切ろうとしたが、ブラックティアーズの攻撃速度はそれを上回っていた。カタナの表面がドクドクと脈打ち、ブラックティアーズの肩の傷が完全に塞がった。狩人長は余分の攻撃に出ず、アヴァリスを蹴って離れ、着地した。 14
2022-03-17 22:20:55「もはやジツは盗めんぞ」ブラックティアーズは水晶力場の壁に貼り付けられたままのアヴァリスを見上げ、呟いた。「ペリアプト・オブ・ノロイの力が、お前の力に枷を噛ませている」「やっと白状したな」アヴァリスはブラックティアーズを見下ろした。彼は水晶力場に爪を立て、あえて留まっている。 15
2022-03-17 22:25:18「お前の口から聞きたかった。確かめておきたかった。くだらん連中を差し向けたのがお前だッて事をな」「妙な事に拘るものだ」ブラックティアーズは目をすがめた。「然り、その通りだ。どのみち、お前が辿る運命は変わらぬぞ。我はノロイの枷を以て、儀式の妨げを排除する」 16
2022-03-17 22:30:54「俺は儀式のルールに従ってきた。だからずっと考えてきたぜ」アヴァリスは言った。「体が痒くて仕方ねえ!」アヴァリスはジツを解放した。瞬時に肉体がアンバランスなシルエットに変じ、刺し傷をかりそめに塞ぎながら、ハイエナと人間の合いの子じみた特徴を生じた。ヘンゲヨーカイ・ジツだ! 17
2022-03-17 22:38:03「GRRROWL!」背後の水晶を蹴り壊し、流星めいて、アヴァリスはブラックティアーズに襲いかかった!空中で回転した勢いを乗せ、両手の爪を切り下ろす!ブラックティアーズはカタナで爪攻撃を弾き、イアイを放つ!「イヤーッ!」「まだ途中だ!」アヴァリスは身体を捻じり、尻尾で殴りつける! 18
2022-03-17 22:42:48