茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの「昨日放送された『高校生クイズ』について」

脳科学者・茂木健一郎さんの9月10日の連続ツイート。 テレビ番組としての「高校生クイズ」は現代日本において稀有な存在・・・
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茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 今朝は、昨日の放送について!!

2011-09-10 06:24:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

こく(1)昨日、「高校生クイズ」が放送された。優勝した開成高校、おめでとう! そして、灘高校、よくがんばった! 参加したすべての高校生を、「知のアスリート」として讃えたい。収録の時に感じたこと、考えたことについて、書きたいとおもいます。

2011-09-10 06:26:34
茂木健一郎 @kenichiromogi

こく(2)高校生クイズに出てくる「クイズ研究会」の高校生たちの普段の鍛錬で重要なのは、コミュニケーション。クイズは、誰かが問題を出してくれないと始まらない。そこで、お互いに問題を考え、出題しあうという文化が定着している。

2011-09-10 06:27:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

こく(3)問題を解くことも大切だが、考えることはさらに深く脳を鍛える。クイズ研究会の高校生たちが、お互いに出題するに当たって問題を考えることで、世界についての無限の知識の中からどこを切り取ってくるかというメタ認知が育まれる。

2011-09-10 06:28:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

こく(4)「なぜこんな問題を」と驚くほどの知識量。高校生たちに聞くと、「それは、読んでいた本のここにあった」「授業で先生が説明した」などと、鮮明に覚えていることが多い。つまり、知識とは「出会い」であるということが、彼らとの対話から見えてくる。

2011-09-10 06:29:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

こく(5)世の中には、たくさんの知がある。生きている中で、いつかどこかでその知と出会う。その一期一会の出会いを大切にする、ということが、高校生クイズに出場する彼らの人生哲学となる。人生は限りあり、二度と繰り返さない。だから、出会ったものは必死でつかめ!

2011-09-10 06:31:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

こく(6)回答するということは、側頭連合野から前頭葉に情報を引き出すということ。「知っている」というfeeling of knowingが成立し、時間内に引き出せるかどうか。ところが、彼らは、feeling of knowingがない、あるいは曖昧な時も勝負をかける。

2011-09-10 06:32:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

こく(7)「一分間」の制限時間で回答する問題が面白かった。feeling of knowingがないのに、必死になって考えているうちに、思わぬところに糸口が見えてくる。自分が知っていると自覚していないことがよみがえる。記憶の「蜘蛛の糸」のたぐり寄せが次第に精緻化する。

2011-09-10 06:34:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

こく(8)テレビ番組としての「高校生クイズ」は、現代日本においては希有な存在。「わかりやすい」「やさしい」ものが氾濫している中で、記憶想起の超絶技巧を、目の前で見るというその生理的奇跡自体を、エンタティンメントとして成立させている。

2011-09-10 06:36:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

こく(9)イギリスにはBBCのUniversity Challengeという名物クイズ番組があり、容赦ない点では高校生クイズと同じ。ぜひ、「大学生クイズ」も見てみたい。大学の偏差値やブランドを吹き飛ばす知の下克上を、エンタティンメントとして成立させてみたい。

2011-09-10 06:37:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、昨日放送された「高校生クイズ」についての連続ツイートでした。

2011-09-10 06:38:02