「懸念されるSARS-CoV-2変異株に関連する病原性の年齢別変化」influenzer先生による抄訳

「「ウイルスは弱毒化するように進化する」という主張(伝説)が、少なくともデルタ株までは間違っていたという事を明確なエビデンスとして示した報告」
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influenzer @influenzer3

いずれもデルタ株のORはN501Y陽性株よりも1.5~2倍ほど大きく、より強毒化していた事実を示しています。 pic.twitter.com/xYkFsqP01h

2022-03-20 18:07:46
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influenzer @influenzer3

・デルタ株感染 vs 非VOC株感染の各イベントリスクの比較 上記のN501Y陽性株感染とほぼ同様の結果です。 年齢層毎の各イベントの相対リスク増大は、ここでも若年層ほど大きい印象があります。 Random effect modelでのORは、入院2.69、ICU管理5.04、死亡3.11です。

2022-03-20 18:07:45
influenzer @influenzer3

ただし、年齢層毎の各イベントの相対リスク増大は、若年層ほど大きい印象があります。 Random effect modelでのORは、入院1.73、ICU管理2.38、死亡1.70です。 pic.twitter.com/qQSeftpYya

2022-03-20 18:07:44
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influenzer @influenzer3

・N501Y陽性株感染 vs 非VOC株感染の各イベントリスクの比較 年齢別に上から入院、ICU管理、死亡のリスクを示しています。 全イベントともにほぼすべての年齢層において、N501Y陽性株での有意なリスク増加が見られています。

2022-03-20 18:07:43

※VOC=懸念される変異株

influenzer @influenzer3

・注目すべきは、デルタ株感染において小児における入院リスクが有意に増加している事である。これはイギリスおよび米国で見られている小児入院患者急増の事実と一致する。 -----

2022-03-20 18:07:42
influenzer @influenzer3

(結論、考察) ・今回の検討で、デルタ株感染は、N501Y陽性株および非VOC株感染よりも病原性が高い事が示された。デルタ株の病原性増加は、若年者で統計学的有意差を示していなかったが、これらの群ではイベント数が少ないため、推定値の精度が低くなる事が原因であると考えられる。

2022-03-20 18:07:41
influenzer @influenzer3

年齢とデルタ株感染による死亡リスクの相対増加の間には、有意な逆相関が認められた。つまり、若年者は高齢者よりもデルタ株感染による死亡リスクの相対増加が大きかった。

2022-03-20 18:07:41
influenzer @influenzer3

・デルタ株感染は、10-19歳を除く全年齢層で入院リスクを有意に増大させていた。10歳未満の入院リスクは非VOC感染と比較して2.5倍(aOR 1.3- 5.0)の増加だった。20歳未満ではデルタ株による死亡リスクのオッズ比が推定できなかったが、30歳以上ではデルタ株感染は死亡リスク増加と関連していた。

2022-03-20 18:07:40
influenzer @influenzer3

・N501Y陽性株感染は、非VOC感染例と比較して、20歳以上の全年齢における入院リスクを有意に増加させ、ICU管理リスクを30歳以上の全グループで増加させ、40-49歳および60歳以上における死亡リスクを有意に上昇させていた。

2022-03-20 18:07:39
influenzer @influenzer3

(結果) ・VOC感染による入院、ICU管理患者は、非VOC感染者と比較して有意に若く、基礎疾患の保有率も低かった。

2022-03-20 18:07:39
influenzer @influenzer3

・入院、ICU管理、死亡を転帰変数として用いた、N501Y陽性株あるいはデルタ株感染と重症度との関連を評価するための年齢別ロジスティック回帰モデルを構築した。モデルは性別、基礎疾患、ワクチン接種状況、および時間で調整した。

2022-03-20 18:07:38
influenzer @influenzer3

2021年2月7日から10月31日の間に、オンタリオ州でSARS-CoV-2感染を診断され、かつVOCのスクリーニングを受けた259,984人を対象とした後ろ向きコホートを作成した。対象はN501Y陽性株、デルタ株疑い、非VOC感染に分類した。

2022-03-20 18:07:37
influenzer @influenzer3

・今回、1) 非VOC株と比較した、N501Y陽性変異株とデルタ株の年齢別推定重症化率、2) 重症化リスクの変化の年齢別の違い、3) リスク変化の違いの要因の推定、を目的として検討を行った。

2022-03-20 18:07:37
influenzer @influenzer3

・カナダのオンタリオ州では2021年4月までに、N501Yを有するVOC(アルファ株、ベータ株、ガンマ株を含む)が、これまでの従来株を駆逐した。しかし、これらのVOCも、その後に出現したデルタ株によって駆逐されてきており、2021年7月にはデルタ株が同州の優勢株となっている。

2022-03-20 18:07:36
influenzer @influenzer3

新規VOC変異株における病原性増強がすべての年齢層で起こっているのか、あるいは一部の年齢層に限られているのかどうかについては、まだ良く分かっていない。

2022-03-20 18:07:35
influenzer @influenzer3

しかし、2021年夏にイギリスおよび米国において、SARS-CoV-2感染による小児の入院例が急増が見られている。これは小児における病原性の増加が起こっている可能性もあるが、単に感染力増強による患者数増加を反映しているだけかもしれない。

2022-03-20 18:07:34
influenzer @influenzer3

・SARS-CoV-2の病原性は年齢に密接に関連している。パンデミックは世界に深刻な健康被害と経済的損失をもたらしてきたが、疫学上の安心材料の一つとして、本疾患が小児において毒性が低く、感染小児の50%が無症状であるという事実があった。

2022-03-20 18:07:34
influenzer @influenzer3

------ ・SARS-CoV-2の懸念される変異株(VOC)の出現は、パンデミック初期の流行株と比較して、感染力および病原性の増加を伴ってきた。特に高い感染力を持ち、病原性の高いデルタ株の出現は、今後のパンデミックの深刻さと持続期間に関して、予測の修正を迫るものだったと言える。

2022-03-20 18:07:33
influenzer @influenzer3

Age-Specific Changes in Virulence Associated with SARS-CoV-2 Variants of Concern academic.oup.com/cid/advance-ar…

2022-03-20 18:07:32
influenzer @influenzer3

もしも、spike領域以外の遺伝子でコードされているウイルス由来蛋白が関連しているとすれば、デルタ株由来遺伝子を持つ組み換え型デルタミクロン株が、オミクロン株の感染性とデルタ株の毒性を持つ形で流行拡大する可能性はゼロではないという事になります。

2022-03-20 18:07:32
influenzer @influenzer3

今回の検討では、デルタ株の全年齢における強毒性が示されています。 この病原性の高さが何に起因するのかはまだ明確にされていないと認識しています。

2022-03-20 18:07:31
influenzer @influenzer3

特に発症前にすでに多くの感染伝播を起こす本疾患では、発症後の宿主への病原性が流行拡大へ与える影響は比較的少ないだろうとも予測可能です。

2022-03-20 18:07:30
influenzer @influenzer3

先日紹介したnatureの記事のように、病原性はウイルス側の因子だけでは決定できない複数の要因が絡むため、基本的に未来予測は困難であり、少なくともウイルスがランダムにしか変異しない以上、その結果として弱毒化するかどうかは、確率によってしか決まりません。

2022-03-20 18:07:29
influenzer @influenzer3

オミクロン株のデルタ株と比較した病原性低下はコンセンサスの得られている事実ですが、優勢株の変化により弱毒化が起こったのはこれが初めてだという事です。

2022-03-20 18:07:29