旧日本陸軍の歩兵用対戦車兵器のお話:未投入兵器編

少し前に話した「@Nyarlathotep_44氏による旧日本陸軍の歩兵用対戦車兵器のお話」(http://togetter.com/li/173281)の続きに当たる話です。 日本が開発した噴進砲や無反動砲、その他紹介できなかった携行型対戦車兵器を紹介しています。
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這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

今日は簡単に前回の歩兵の対戦車兵器で出せなかった兵器、採用される前に終戦を迎えた噴進砲などをサラリと紹介。

2011-08-16 23:00:03
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

三式対戦車手榴弾:制式採用時の詳細などは不明ですが、時期的に考えて本土決戦を見越して製造された一品。 http://t.co/N871DoA

2011-08-16 23:06:22
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這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

恐らくは1942年のドイツの成形炸薬弾の技術が輸入されたときに、同対戦車手榴弾のノウハウも輸入されたのでしょう。甲・乙・丙の3種類があり、それぞれ炸薬の種類が違います。

2011-08-16 23:06:29
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

戦争末期では陶製手榴弾ですら対戦車兵器として使われた、という話も聞いたことがあるのですが、これは確認がとれていないのでただいま調査中です。折角この間「日本の陶製兵器」なんてものが手に入ったんだし、今度コレで調べてみよう……

2011-08-16 23:14:05
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

陶製の対戦車兵器というと、三式地雷の存在も忘れちゃいけませんね。

2011-08-16 23:20:57
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

昭和18(1943)年に制式採用された三式地雷は、敵戦車の大型・重装甲化に伴い、既存の九三式地雷を大型化、TNT火薬をそれまでの900gから3000gまで増加し、威力を倍増させたものです。 http://t.co/jg5GVdD

2011-08-16 23:21:06
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這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

この地雷は金属探知機で発見されないように、それまで金属で整形していた部分を非金属部品に変え、信管部分をベークライト樹脂で作成したものです。本体は前写真にある、信楽焼(陶製)の甲型ともう一つ、木製の乙型が作られたようです。

2011-08-16 23:24:02
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

更に乙型地雷をそれまでの加圧式から時限・有線による遠隔操作する信管に変えた「四式地雷」なんかも採用されています。

2011-08-16 23:25:30
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

多分四式地雷は、実戦だと末期戦で使われた箱爆弾と似た様な使い方(箱爆弾がコレそのものなのかも知れないけど)をしたのでしょうか。ちょっと詳細は私はわからないです。

2011-08-16 23:29:56
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

とまあ、実際に使われた可能性があって、尚且つ前回で紹介してない兵器はここらへんでしょうか。次は大戦に間に合わなかった噴進砲の紹介に参りましょう。

2011-08-16 23:30:58
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

7cm試製四式噴進砲:第一陸軍研究所が開発した個人携帯型噴進砲です。通常は前後に分解されて持ち運ばれ、砲身前部に照星と九九式軽機の物を流用した足、後部に照門、グリップ、発火装置があり、それぞれを接合ボルトで連結して使用します。 http://t.co/7H2H4PO

2011-08-16 23:40:58
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這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

照星には2つの窓があり、上が射距離50m、下が100mの照準となっており、照門で狙いをつけます。機構は単純な撃発式となっており、グリップを握る右手で引き金リングを引くと、銅線で繋がった発火装置の撃針が装弾の推進剤を激発しました。

2011-08-16 23:45:05
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

すると7本の7.4cm試製四式穿甲榴弾の推進剤が点火、弾低にある6つの噴射口から角度30度でガスが吹き出し、弾体は旋回しながら飛んでいきます。目標に当たると試製四式着発信管が起動、600gの炸薬を爆破……とあります。

2011-08-16 23:49:11
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

恐らく米軍の「バズーカ」を一部参考にしつつ、日本独自の設計で作り上げたものなんでしょうが…旧式な撃発式の発射機構、発車時に旋回させる弾頭、長期の使用に持たない機構などと、個人的には少しだけ実用に向いたのか疑問に思わざるをえない兵器です。

2011-08-16 23:55:28
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

恐らく米軍の「バズーカ」を一部参考にしつつ、日本独自の設計で作り上げたものなんでしょうが…旧式な撃発式の発射機構、発車時に旋回させる弾頭、長期の使用に持たない機構などと、個人的には少しだけ実用に向いたのか疑問に思わざるをえない兵器です。

2011-08-16 23:55:28
山猫男爵 @baron_yamaneko

@Nyarlathotep_44 直接的には伊29潜が持ち帰ったドイツのパンツァーシュレックを模倣したものらしいです。いわばバズーカの孫コピー。バズーカみたいな有翼弾でなく、弾丸が旋回するのもパンツァーシュレックと共通(機構は若干違う)。

2011-08-17 02:40:11
日野カツヒコ @hino_katuhiko

@baron_yamaneko @Nyarlathotep_44 伊29潜は撃沈前に持ち出せた資料は厳谷中佐の物以外はあまり聞いた事が無いのですが実際はほかにもあったのでしょうか?

2011-08-17 03:24:14
山猫男爵 @baron_yamaneko

@hino_katuhiko 遣独時ではなく、チャンドラ・ボースを受け取ったUボートとのインド洋上会合の際に、設計図をもらっていました。紛らわしい書き方でスイマセン。

2011-08-18 01:10:10
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

@baron_yamaneko なるほど、アレはパンツァーシュレックの模倣でしたか。有翼弾じゃなくて通常弾頭だから回転させてるのですね……個人的には日本が有翼弾頭を開発できなかったから安定性を得るために独自で回転させたと思ってましたが。

2011-08-17 14:44:49
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

そしてこの「試製四式噴進砲」を大型化したものが「9cm試製空挺隊用噴進砲」です。機構としては前者と全く同じで、大型化に伴い、砲身後部に駐鋤(ちゅうじょ:砲の設置固定装置)を追加、射撃の安定性を向上させています。 http://t.co/PZFA5YX

2011-08-16 23:59:59
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這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

これは厚さ12cmの鋼板を抜くように開発され、実際1944年、伊良湖射場において試作型が射撃実験に参加しています。結果はどうだったのかは分かりませんが、戦況が逼迫していた日本は既存兵器の製造で手一杯であり、実際製造されることは無かったようです。

2011-08-17 00:02:35
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

最後の歩兵携行型の対戦車兵器は「4.5cm試製五式簡易無反動砲」です。これは口径4.5cmの砲身に外形8cmの穿甲榴弾を外装した無反動砲として開発されました。 http://t.co/GSa7IGt http://t.co/G9L3ne2

2011-08-17 00:09:33
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這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

これは噴進砲とは違う無反動砲であり、ドイツの「パンツァーファウスト」を参考にした兵器の一つでしょうが、こちらの砲身は弾薬を再装填することで再度使用することが出来、性質上は戦後ソ連で開発された「RPG-2」無反動砲に近い兵器と言えます。

2011-08-17 00:13:19
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

大阪工廠で1944年の10月末にⅠ型とⅡ型が開発され、そのうちⅠ型は少ない反動ながら初速45m/sで発射でき、試製穿甲榴弾成型炸薬弾により12cmの鋼板を破壊。試験良好と判断され、その後Ⅲ型、Ⅳ型と改良試作された後、1945年6月に試製五式対戦車無反動砲として仮採用されました。

2011-08-17 00:17:00
這い寄る混沌@おえかき練習ちう @Nyarlathotep_44

砲と装弾3発を1人で運用し、砲を組み立てたあとに角度を45度(射程150m)から6度(射程30m)で、敵に合わせて引き金を引くと、九九式小銃薬莢を改良した点火薬莢を引き金前部に装填し、撃鉄によって点火、発射されました。ちなみに燃焼ガスの危険範囲は5mとされています。

2011-08-17 00:21:20