独裁者とニーチェ・・・「プーチンの戦争」を契機に振り返る

3
浅井ラボ@されど罪人は竜と踊る24(2023年2月17日発売) @AsaiLabot2

相模原事件で、犯人はとくにファシズムやナチズム、優生思想は知らなかったそうだ。医師二人による嘱託殺人事件ではさすがに医師なら知っていたと思いたいが、怪しい。 が、知らずともこの手の思想に行き着く人が出てくる。

2020-07-26 22:19:34
浅井ラボ@されど罪人は竜と踊る24(2023年2月17日発売) @AsaiLabot2

それらは厳密には違うし、ケインズが言ったように「虚空に声を聞く狂気の権力者たちも、実は、数年前のヘボ学者の書いたものを種本としている。」で、なにかを曲解したものである。 が、犯人たちにとってはどうでもいいことで、犯行前に違いを教えても、たぶん止まらなかっただろう。

2020-07-26 22:28:46
浅井ラボ@されど罪人は竜と踊る24(2023年2月17日発売) @AsaiLabot2

ピンカーの調査をまた引用するが、人道主義と対立するのは「有神論的道徳」そして「ロマン主義的ヒロイズム」とされる。権威主義やナショナリズム、ポピュリズム、反動的思想に、ファシズムまで、この思想を背景にもつ子孫である。派生は多いが、最大影響力はニーチェ思想だろうとする。

2020-07-26 22:43:37
浅井ラボ@されど罪人は竜と踊る24(2023年2月17日発売) @AsaiLabot2

まーニーチェ思想を要約すれば「人生で重要なのは、善悪を超越し、意志を力に変え、英雄的栄光を手にする超人となること」というヒロイズム。 ニーチェ的ヒロイズムが言う英雄的栄光とは、病人を治療し、飢えた人々に食を与え、平和をもたらすことではない。芸術上の傑作や軍事的征服である。

2020-07-26 22:46:33
浅井ラボ@されど罪人は竜と踊る24(2023年2月17日発売) @AsaiLabot2

ロマン主義的ヒロイズムはロマン主義的軍国主義という広がりを見せて、19,20世紀に悲惨な戦争をもたらした。 そして、この主義は独裁者と知識人や芸術家に超都合がいい。芸術家や知識人を理解しない大衆を侮蔑できるし、それらを保護できて独裁者は自分の理論強化ができる。

2020-07-26 22:53:27
浅井ラボ@されど罪人は竜と踊る24(2023年2月17日発売) @AsaiLabot2

そしてロマン主義的ヒロイズムは創作の主題になりやすい。古代の英雄でなくても、力を持つ超人たちが敵を倒す。このニーチェ的強き善と欠点がある病的で劣った悪の構図に、先に言ったロマン主義的ヒロイズムの子供たちである各種主義に思想の人たちが嵌まっていく。

2020-07-26 22:57:25
浅井ラボ@されど罪人は竜と踊る24(2023年2月17日発売) @AsaiLabot2

最初に言った相模原事件の犯人は、自分を善悪を越えた超人と思っているのか、偉業をなしたような気で供述をしている。嘱託殺人の医師たちも同じように「難病患者を苦しみから救ったのだ」と言うだろう。他の救い方や、死より生き方を示すということを、彼らはしない。

2020-07-26 23:01:02
浅井ラボ@されど罪人は竜と踊る24(2023年2月17日発売) @AsaiLabot2

デイモン・リンカーがネオコンサバティズム(俗に言うネオコン、新保守主)はもうテオコンサバティズム(神権保守主義)になっていると皮肉った。1960年代の極左が極右となってできたが、イスラム原理主義と激突して強化された。マーク・リラの指摘のように二つの反動主義は、とてもよく似ている。

2020-07-26 23:10:26
浅井ラボ@されど罪人は竜と踊る24(2023年2月17日発売) @AsaiLabot2

べつにそういった思想の潮流や曲解、合流や転向を知らなくても、現代社会にそれらの思想的影響は出ている。世界的に権威的ポピュリズムの政権が増えているが、それは一部の人々の不安や不満から生まれたものだ。極端な個人においては、相模原や嘱託殺人事件のように発現するのであろう。

2020-07-26 23:16:06
kemofure @kemohure

>最大影響力はニーチェ思想だろうとする 知性の無力さを感じますね...。今回のことは小規模に繰返されてきたことの巨大化した惨劇なので(これ自体が歴史的繰り返しである)、ある程度、ちゃんと学んできた人はみんな無力感を感じていると思います...。 twitter.com/AsaiLabot2/sta…

2022-03-27 00:54:39