【ふたりの普段詩2 母恋】宮尾節子と西原真奈美のツイッター連詩のまとめです。
🌸宮尾節子と西原真奈美の「ふたりの普段詩」第二弾始めました!お題は「母恋」10日間、写真を添えてのツイート連詩です。ふたりのことばをお楽しみ頂ければ幸いです。5月29日「文学フリマ東京」にて冊子でお披露目予定です。よろしくお願い致します🙏#宮尾節子 #西原真奈美 #ふたりの普段詩🌸 pic.twitter.com/WlHt0ecN6g
2022-04-01 07:27:16***では、はじめます***
蛇口をいっぱいに開いて 勢いよく出る水でカボチャの種を こそぎ落とす そのとき立ちのぼる強い香が 母の匂いだと 憶えておこういつまでも きっと死んだら忘れるから つよくつよく念じたのに わたしのシンデレラ もう母にもどらないカボチャが大きな口で 笑っている台所 (母恋1)#ふたりの普段詩 pic.twitter.com/EpqB4FqYvk
2022-04-01 07:06:04「温かい汁で冷や麦を食べたい」 作るねと立った台所 知ってるの あなたの中の味や温かさに行き着けないこと さい箸を握り 鍋にたっぷりの湯を沸かす それを待つふりをして わたしは動かないけれど 手をのばし続けている あなたの記憶に もどかしく身をよじりながら (母恋2)#ふたりの普段詩 pic.twitter.com/0P9lzFFkHH
2022-04-02 07:04:47こころの中は違うのに 外ではこんなに暴れる僕を抑えられない かあさん 僕は病気なの お腹の中にいた頃はきっと蹴り出す 手足をあなたはそっと撫でてくれた かあさん 僕を止めるあの歌を もう一度 眠れ良い子よ庭や牧場に どうしてモーツアルトなの 米英は敵だったの (母恋3) #ふたりの普段詩 pic.twitter.com/Oi7qrRzA14
2022-04-03 07:31:35「目覚めたら 何でもできる気がしたの」 あなたはいつも念じていたの うつつが夢に夢がうつつに うつつの荒れ野が旅の小道になることを 身体より先に心がしんでしまわないよう 夢の名残りに手をあてて 行けるところまで一緒に行こう ゆっくりと黄泉への道を踏みながら (母恋4) #ふたりの普段詩 pic.twitter.com/BCRgibBKn6
2022-04-04 07:27:40「念ずれば花開く」他はつまらないけど 詩人をこき下ろしながら 額に飾っていた言葉 好きな桜桃が艶やかに実る前に念じた花とともに 微笑んで逝った「節子ハッスル」の文字が残る 日記 風呂に入れた日の 衣装ぼくろ 気持ちが片付けられない残り香のなか 壊していく空箱 (母恋5) #ふたりの普段詩 pic.twitter.com/t7CSgV9GrW
2022-04-05 07:33:03「三年間のでなく 今年は一年のを」 そう言って日記帳を選んだ ひと月分も書ききれないと知らずに ちいさくやせて 「それでも生きたいんだよね」と あなたは鈴のように泣いた 荷ほどき 洗うことができないまま 最期に着ていた肌着が今も揺れている あなたの肩のかたちに (母恋6) #ふたりの普段詩 pic.twitter.com/ZtISrcUdIh
2022-04-06 07:30:06あなたの我儘はわらえても わたしの宿痾はわらえない 義の付く母にはわたせない ゆるせともゆるしてほしい ともおもってはいけないと じりじりといきをひそめて 背中合わせに寝た夜の ねえ、聞いてるの 篠突く雨音 寝たふりをしてしのぐ 魔の刻に、触れる鱗の 夜叉ヶ淵 (母恋7)#ふたりの普段詩 pic.twitter.com/ubva5xkuSD
2022-04-07 08:27:32「三日逢瀬」 盆の迎え火をそう詠んだあなたを 最期は父が連れ去るように迎えに来たのでしょう 身体はここに置いて (本当は抱きしめられた記憶を持たないことを 告げられないまま) 最後は光りになることを知っていたの 一面の光りになって 私がその腕をさがせるように (母恋8)#ふたりの普段詩 pic.twitter.com/Sep3dE4Eaf
2022-04-08 07:28:51「いづくへか 帰る日近きここちして」 窓を開けると 軒先で白い 短冊が 風に舞う 音がうれしいからと 仕舞わなかった 江戸硝子の 涼しい音色のほうに 線香の煙が のぼっていく 晶子の歌だったんだね 「この世のものの なつかしきころ」 春の風鈴に 笑顔が残る遺筆 (母恋9) #ふたりの普段詩 pic.twitter.com/28HyHpOEfE
2022-04-09 07:31:08あなたが 生きて生きてお終いになる その当たり前が ほんとうにこわかった 庭に溢れる花 こぼれ種も蘭の花も大切に 一つ一つ鉢を移し替えていた 巡る季節 輪唱のように もう思っていいのかもしれない あなたからの祝福だと あなたが手渡し残した 私の自身 のことも (母恋10) #ふたりの普段詩 pic.twitter.com/YfFrsr26D5
2022-04-10 07:34:49「母恋」おしまい。読んで下さってありがとうございます!
***おまけ***
@m_a31354363 まあ姉、おはよう。 「ふたりの普段2」お題は「母恋」です。10日間のおつきあいよろしくお願いいたします。今朝の、出来立てあげました!おつぎよろしく♪楽しんでやりましょう。😊
2022-04-01 07:10:54「母恋」沁みるお題です。 【ふたりの普段詩1】の最後に「わたしに詩があってよかった 幸せです」 と書いたけれど その思いをあらたに思う朝です。 ありがとうございます、10日間、詩を楽しみに読んで書いて交わして行きたいです。 宜しくお願いします! twitter.com/sechanco/statu…
2022-04-01 07:33:30宮尾さんの詩を読む。なんて良いんだろう。 かぼちゃの香りと水音がいっぱいに立ちのぼり 圧倒されながら、胸が熱く滲む朝です。 長く遠距離看病の日々だったけれど 手を伸ばせば、こんな素敵な言葉の世界があり、また戻れたことがほんとうに嬉しいです。 明日は私からの詩を! twitter.com/sechanco/statu…
2022-04-01 08:34:43@sechanco おはようございます。 「ふたりの普段2」 (母恋2)あげました。 母に食事を作るのがとても好きでした。病が進むにつれ、母の記憶の味をリクエストされることが増えて。 そんな台所からの詩です。 10日間とても楽しみです。宜しくお願いします!
2022-04-02 07:11:41「温かい汁で冷や麦を食べたい」このお願いが、すでに切ない。温かくて冷たいの文字の連なりが。嫁ぎたくなくて求婚者に難題を課す、かぐや姫のよう。それに嫁がせたくない思いのまま、応えようと「さい箸を握り 鍋にたっぷりの湯を沸かす」あなたの姿。絶品です。泣きました。ありがとう! twitter.com/m_a31354363/st…
2022-04-02 08:40:58愚かな人たちは地上に火の花を咲かせて、街やひとの命や滅ぼしていくけれど。黄色い花、赤い花、青い花、人以外の地上は、春の命が満開です。そして、詩というこころの花も、美しいことを、あなたが咲かせて見せてくれました。詩はことばじゃない、行為だ。そう思う朝です。はい、楽しみましょう!😊 twitter.com/m_a31354363/st…
2022-04-02 09:01:17@m_a31354363 おはようございます。母恋3、あげました。手をのばす、身をよじる、そんなアクションからつないでみましたかな。病気じゃないかと思うPさんのことや…。おしゃれな子守唄を歌う義母の、おどろきの理由なども。あれやこれやが、するすると出てくる、連詩のたのしさ。では、よろしく!
2022-04-03 07:44:20おはようございます。 おお、こうきましたか! う〜ん、嬉しい驚きです。 つながりと、転調。ほんとうに楽しい! 違うようで共に奏でる連弾。わたしも楽しんで響かせたいです。 twitter.com/sechanco/statu…
2022-04-03 07:54:24宮尾さんとの連詩の開始と共に 書き切り、偶然詩作のツバメノートが新しくなったから 久しぶりにカフェでも行こうか。 咲くのも散るのも、どちらもいいね と思いながら。 一度スタバにも行こう、と誘っていたけど、母を連れて行けなかったな。 午後からは紘ちゃんと小さなオクラの苗を植えます。 pic.twitter.com/kUiTbxmCgt
2022-04-03 09:48:10@sechanco おはようございます。 (母恋4)あげました。 旅が好きな母でしたが、コロナや、病による衰弱で旅らしい旅もしないままでした。 母が眠るたびに夢に託した思いがどんなだったのか、 そんな思いで。 よろしくお願いします!
2022-04-04 07:35:21「夢の名残りに手をあてて 行けるところまで一緒に行こう ゆっくりと黄泉への道を踏みながら」 緑の葉が、紅葉するように どんどん、思いが詩に染まっていく 「詩は間に合うのだ」命に間に合わなくても、きっと 魂に――今朝の雨のように、貴女の詩が、貴女を癒し、彼女を新しい目覚めへと、芽吹かせる twitter.com/m_a31354363/st…
2022-04-04 08:04:35