大尾侑子『地下出版のメディア史』読書メモ集

大尾侑子『地下出版のメディア史―—エロ・グロ、珍書屋、教養主義』(慶應義塾大学出版会、2022年)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

早くも今年ベストと噂される話題の本を買ってきたぞ。 pic.twitter.com/jKniFQosDG

2022-03-31 17:41:39
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荒木優太 @arishima_takeo

「戦後、戦前昭和の「エロ本」「珍書」を取り巻く文化圏の資料を蒐集・整理してきたのが、大学の外部で趣味として古書蒐集をおこなってきた斎藤夜居や城市郎ら、在野の研究者であった。彼らの貢献がなければ、現在の研究は大きく後退していただろう(大尾侑子『地下出版のメディア史』16)。へぇー。

2022-03-31 18:15:11
荒木優太 @arishima_takeo

「最初に「岩波文化」という言葉を使い、これに「講談社文化」を対比させて論じたのは、梅原北明が主幹を務めた雑誌『文藝市場』にも寄稿した評論家の蔵原惟人だった」(大尾侑子『地下出版のメディア史』22)。え、お前が最初だったん?

2022-03-31 18:26:17
荒木優太 @arishima_takeo

「「同人雑誌」という言葉は、一九一九年から一九二〇年頃にかけて登場した比較的新しい用語であった」(大尾侑子『地下出版のメディア史』55)。へぇー。

2022-04-04 14:45:14
荒木優太 @arishima_takeo

大尾侑子『地下出版のメディア史』。p56の谷崎精二の引用とまったく同じ文章を注42で引いてるけどなんで?

2022-04-04 14:49:43
荒木優太 @arishima_takeo

「戦前昭和の「知的エロ/高級エロ」出版において、北明がトリックスターとして「表舞台」で活躍したとすれば、その「舞台裏」にはいつも出版者としての伊藤竹酔がいた」(大尾侑子『地下出版のメディア史』88)。なるほど。

2022-04-05 16:48:45
荒木優太 @arishima_takeo

「プロレタリア芸術の潮流において、印刷労働者を代理表象する物質的媒体として発見されたのが「活字」である」(大尾侑子『地下出版のメディア史』111)。だね。『死霊』の活字拾いエピもそういう文脈で読むべきなんだろうね。

2022-04-06 12:02:43
荒木優太 @arishima_takeo

斎藤昌三自身が趣味家集団のなかでも中心的な存在であり、とくに昌三が主幹となった無料の趣味雑誌『おいら』と『いもづる』は、「趣味に研究は必要である」という立場を強く表明した雑誌として知られる。by大尾侑子『地下出版のメディア史』142

2022-04-06 12:54:28
荒木優太 @arishima_takeo

「平凡寺一派の我楽他宗が「女性」や「外国人」を包摂しえたことは、裏を返せば「研究(による向上)」というハードルを設けず、各人の自由な裁量で趣味そのものを楽しみ、遊び、つながることに重きを置いたがゆえの賜物でもあった」(大尾侑子『地下出版のメディア史』148)。なるほど。

2022-04-06 13:10:55
荒木優太 @arishima_takeo

「そもそも平凡寺は自身の糞便を型取って作った棒に金彩を施した「黄金仏陀」なるモノを趣味仲間に配るなど」(大尾侑子『地下出版のメディア史』168)。笑う。

2022-04-06 14:37:49
荒木優太 @arishima_takeo

「焼糞出版」。バズワードきた。 pic.twitter.com/GuIpdSNOI1

2022-04-07 12:57:27
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荒木優太 @arishima_takeo

「戦前には「文献」(=客体/他者)であった「変態」が、『奇譚クラブ』においては当事者たる「マニア」として誌上で集い、かつ表象されたのである」(大尾侑子『地下出版のメディア史』343)。当事者性の時代じゃん。

2022-04-07 14:02:13
荒木優太 @arishima_takeo

埴谷雄高については、森秀人も『現代の逆臣』のなかで「アナーキスト時代の埴谷雄高は、梅北北明に心酔していたという」と書いている。by大尾侑子『地下出版のメディア史』352

2022-04-07 14:08:34
荒木優太 @arishima_takeo

大尾侑子『地下出版のメディア史』読了。もうこれが今年のベスト本でいいよ。素晴らしいお仕事でした。「生活に対する倦怠を爆発さしてくれる、一杯のカクテール」(酒井潔)にちゃんとなってるよ!

2022-04-07 14:42:59