内科勤務医。 『医師が教える 最善の健康法』amazon.co.jp/dp/4862574718。 『新装版「ニセ医学」に騙されないために』amazon.co.jp/dp/4862574025。 メール:natrom@yahoo.co.jp
「過剰診断が生じるから決して検診するなとでもいうのでしょうか」という誤解も、がん検診の基本についてよくご存じない人が持つ疑問です。こうした疑問をおっしゃっていただけるのはありがたい限りです。 twitter.com/CtN9yGh6SofdIO…
2022-04-09 11:44:36overdiagnosis(仰るところの疫学的意味における)となるから、決して検出すべきでない、ゆめゆめスクリーニング検査など施行すべきではない、ということになるのでしょうか、過剰診断を危惧される方々は? 早期発見・早期治療にも合理性はあるのではないでしょうか?
2022-04-08 20:00:57「過剰診断が生じるから検診するな」は誤りです。推奨されているがん検診でも過剰診断は生じます。乳がん検診では検診発見がんの15~30%ぐらいが、子宮頸がん検診では検診で発見される要治療病変の50~80%ぐらいが過剰診断です。
2022-04-09 11:45:21過剰診断が生じるのになぜ検診が推奨されているのか?なぜならこれらのがん検診が、がん死亡を減らすという利益があるからです。過剰診断を含めた害に見合った大きな利益があるがゆえに、推奨されているのです。
2022-04-09 11:45:40では甲状腺がん検診は?甲状腺がん死を防ぐ効果は確認されていませんし、観察研究からはどうやら減らせないようですし、よしんば減らすとしてももともと甲状腺がん死は少ないので得られる利益は小さいです。甲状腺がん検診には害に見合った利益はありません。
2022-04-09 11:46:19甲状腺がん検診が甲状腺がん死を減らせないとして、反回神経麻痺や嗄声といった有害なアウトカムを減らすことができるのなら、これは検診から得られる利益です(害に見合ったものかどうかはとりあえず置いときましょう)。それで、検診は反回神経麻痺を減らすのですか?減らすとしてどれぐらい?
2022-04-09 11:46:34甲状腺がん検診を推奨したがる人たちは、反回神経麻痺といった有害アウトカムを減らせると無条件に仮定しているようですが、大きな誤りです。
2022-04-09 11:46:53卵巣がん検診や神経芽細胞腫マススクリーニングといった利益の乏しいがん検診が行われてきましたが、臨床的証拠なしに検診が有害アウトカムを減らせると無条件に仮定したことが原因の一つです。過去の教訓に学びましょう。
2022-04-09 11:47:16がん検診に限らず、よかれと思って行った医療介入が実は害のほうが大きかったという事例には事欠きません。なのできちんとした臨床的証拠(エビデンス)に基づいて医療を行いましょうとなってきました。ここ30年ぐらいの話。甲状腺がん検診推奨は根拠に基づいた医学(EBM)の考え方に反しています。
2022-04-09 11:47:53甲状腺がん検診なら、検診を行うと、行わない場合と比較して、どれぐらい反回神経麻痺が減るのか、といったことを考えなければなりません。そして甲状腺がん検診が反回神経麻痺を減らすという臨床的証拠は私の知る限りありません。ランダム化比較試験がないのはもちろん観察研究レベルでもありません。
2022-04-09 11:48:15甲状腺がん検診は反回神経麻痺は減らせないかもしれません。それどころ、かえって増やす可能性もあります。甲状腺がんの手術の合併症の一つに反回神経麻痺があるからです。
2022-04-09 11:48:49そうはいっても、被ばくによる不安が強く、検診を受けたい人がいる以上は検診をせざるを得ないという社会的事情はあります(これは東電や国の責任です。「東電に責任と賠償の要求ができるのは『被曝由来』の場合だけ」なんて発言もありましたが、東電を利するだけです)。
2022-04-09 11:49:36やむを得ず検診をするにしても、正確な情報提供と同意が必要です。つまりはインフォームド・コンセントです。検診で利益が得られるかどうかは不明であることを伝えるべきですが、検診を推奨したがる人たちは検診の利益を過大に宣伝します。これはよくありません。
2022-04-09 11:49:50また、検診を推奨したがる人たちは検診の害の過小評価もしたがります。「過剰診断を裏付けるような術後病理結果は出ていない」「基本的に過剰治療は起きていない」なんて典型的な検診の害の過小評価ですね。
2022-04-09 11:50:05腫瘍系1cm超でも、リンパ節転移があっても、過剰診断ではない例があることを山崎真也さんはすでにお認めになっておられますので、「過剰治療は起きていない」という主張が嘘であることはご理解できると思います。他の方々にも広く理解できるよう、情報発信を頑張ります。以上。
2022-04-09 11:50:30「腫瘍系1cm超でも、リンパ節転移があっても、過剰診断ではない例があることを山崎真也さんはすでにお認めになっておられますので、」 ↑ここちょっと上手く読めない (文脈で読まないといけないのかな)
2022-04-09 15:00:01✕「腫瘍系1cm超でも、リンパ節転移があっても、『過剰診断ではない例』があること」 ◯「腫瘍系1cm超でも、リンパ節転移があっても、『過剰診断になる例』があること」 ↑普通に考えれば「こう」なんだよね d(^^;)
2022-04-09 17:11:23「腫瘍系1cm超でも、リンパ節転移があっても、 (過剰診断になる例もあれば)過剰診断ではない例も(が) あることを山崎真也さんはすでにお認めになっておられますので、」 ↑これだったら分かり易いけどね d(^^;)
2022-04-09 17:18:37訂正です。ご指摘してくださった方、ありがとうございました。 訂正前「腫瘍系1cm超でも、リンパ節転移があっても、過剰診断ではない例があることを」。 訂正後「腫瘍系1cm超でも、リンパ節転移があっても、過剰診断例があることを」。
2022-04-10 07:52:03