歴史系雑語り・南部晴継（他奥羽諸氏）の諱と将軍偏諱と家督相続に関する説への疑問

帆船ハッカ @kotosakikotoko

本当に無知な疑問なのだけれども、将軍から与えられた偏諱は次代に継承されない、みたいな話、例えば葛西氏は晴重と晴胤が一字を貰ってその後晴信が『晴』字を使っているように後代まで使われているし、和賀氏は『義』字が通字の一つとされていたりするしで、継承されない根拠ってなんやろ？

帆船ハッカ @kotosakikotoko

晴継という実名に関して『足利将軍家の偏諱を転用するのはおかしくない？』と言われるけど、じゃあ葛西家はどうなるねんってなるのでな。晴継成人の時には将軍家実質滅んでるし。 この議論見るたびに『将軍家の偏諱に使ってはならない』みたいな規則とかあるのん？　って思っちゃうんだけどあるの？

帆船ハッカ @kotosakikotoko

あ、晴継は南部晴継ね。陸奥南部氏第25代当主とされる。

帆船ハッカ @kotosakikotoko

晴継が生まれてすぐに室町幕府は崩壊しとるんですよ、その辺も将軍偏諱の使いまわしが発生した理由じゃねえかなぁとは思ってる。

帆船ハッカ @kotosakikotoko

『戦国の北奥羽南部氏』では、晴継の『晴』字は将軍家から偏諱された様子はなく、また幼くして没したとしながら元服後に名乗る実名を名乗っている事を指摘していて、晴継の家督継承の疑問点に繋げているけれども、素直に家督相続に従って元服し実名を名乗った、と解釈できない？　と思うねん。

帆船ハッカ @kotosakikotoko

晴“継“という名前が怪しい、という説に対しては『いや〇継なんて幾らでもおるやん……』って思っちゃうんだけどもしかしてそんなにおらんのかしら？ 晴継の名乗り、という方向から（熊谷先生の）南部晴継の実在性を疑う説にまで繋げるのはちょっと厳しいと思うのよね。

帆船ハッカ @kotosakikotoko

そういえば稗貫輝時さん、天文24年に上洛して義輝さんから偏諱されるんだけれども、前の名前が稗貫大和守義時って名前で、普通に『義』字を使っているのみると将軍の一字は勝手に名乗れない、っていう話も微妙なんでないか？　と思うんだけれどどうなんだろ。

帆船ハッカ @kotosakikotoko

稗貫輝時さんに関しては斯波氏の末流である高水寺斯波氏出身っていうのもあると思うけど、近隣の和賀氏も普通に義字を使っていた様子がある（ただこっちは一次史料で戦国期使っていたかは確認取れない）し、将軍一字の使用制限ってそんな厳密なものだったのかしら？　と思ったり。

帆船ハッカ @kotosakikotoko

戦国期の阿武隈湊と亘理家宿老涌沢氏 agulin.aoyama.ac.jp/repo/repositor… 本筋と関係ないけど、これも将軍偏諱である『稙』字を、伊達稙宗が孫にあたる亘理稙元（後重宗）に与えている。将軍偏諱の使い回し（言い方）の実例やん。

帆船ハッカ @kotosakikotoko

『将軍偏諱は後代には使われない』みたいな話、本当に実効性のある説なの？

帆船ハッカ @kotosakikotoko

南部晴継、南部信直の書状の記述から、信直が自分の先代を南部晴政と認識しており、系譜や近世史書上では信直の先代とされる南部晴継を先代とは認識していなかった、という事は、晴継が夭折して家督を継げなかったか、もしくは晴継自身が創作であった、という刺激的な説があるけど、個人的には疑問。

帆船ハッカ @kotosakikotoko

南部晴継の家督相続が無かったとしたら、何故近世初期に『晴継が家督相続した』とする歴史叙述をしたのか、って問題が出ると思うのだけれど、整合がつく説をどうも思いつけない。

帆船ハッカ @kotosakikotoko

南部信直の正統性を確立させるなら、晴継の存在を完全抹消して晴政ー信直とシームレスに繋げてしまったほうが簡単なのよね。 九戸との対立を叙述するにしても、晴継を抹消した上で叙述する方法はあったはず。

帆船ハッカ @kotosakikotoko

晴継という存在もしくは家督騒動の記憶が、近世初期まで抜きがたく南部領の人々に現存しており、完全否定出来なかったと考えることも可能だけど、それを証明するのは無理だしなぁ。

帆船ハッカ @kotosakikotoko

南部信直が『先代』と表現しているのが南部晴政であり、南部晴継ではない(つまり晴継を『先代』と見ていなかった)という話、信直の自らの『正統観』にも繋がる話だったのかしら？　書状の内容上、そこまで深い話じゃないと思うけど。