『さよなら絵梨』で「優太が突然、絵梨のことを『さん』付けで呼ぶシーンには、どういう意味があるのか？」などについて考える

ヤネウラ @yanegann

『さよなら絵梨』を読んだ すごかった。初読の時は「なんじゃこりゃ」「これはひどい」と思ったけど、繰り返し読んでしまった 読むごとに、作品内の真実とフィクションの差異の描かれ方が気になって、そこに目を向けるとさらに面白くなった 以下のツリーはネタバレの感想。 shonenjumpplus.com/episode/326975…

ヤネウラ @yanegann

『さよなら絵梨』冒頭、4pまではブレているんだけど、5pから明らかにブレなくなる 母親の願いに対する主人公の物わかりの良さが変に良いので、このページの間に、描かれていない「嫌がる主人公とやらせる母親」の会話があったんじゃないだろうか。そう推測できる 会話した後、カメラを固定したのでは

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綺麗に撮れているシーンは準備して撮ったシーン、撮りなおしたシーン ブレているシーンは、一発撮りしたシーンと解釈し始めると、その差を調べたくなって、どんどん読み込んでしまう。

ヤネウラ @yanegann

特に面白いは105pからの海のシーンだ。 主人公はここで突然、「…褒めてくれるのは絵梨さんだけですよ」という。なんで突然、さん付け？ 丁寧に読まないと気がつかないが、ここからがすごいのだ。

ヤネウラ @yanegann

主人公のセリフは「一緒に映画見てくれるし　タダで映画にも出てくれるし　なんかお礼したいな」と続く あれ、そんな設定だっけ？ どっちかというと、絵梨主体で映画撮らされているんじゃないの？ さん付けしていて、会話の距離感も違うのが変だ もしかしたら、ここが2人の素の関係なのか？

ヤネウラ @yanegann

しかし、映画としては変だ 設定的に疑問が残る会話がなぜ残っているのか？ このあとすぐに絵梨が倒れる それが答えだろう つまり、この時、絵梨は本当に倒れた だから撮り直しできなかった。だから、この会話が残っているデータを映画に使うしかなかったのだと推測できるようになっている 細けぇ！

ヤネウラ @yanegann

海のシーンの初めのところでは、吸血鬼のことについて話している。たぶん、このシーンを撮りに海に来たのだろう そして、台本通りにシーンを進めていた。しかし途中で絵梨は台本にない「だから貴方が羨ましかった」と言う だから主人公は「え」といい、素に戻ってしまった。

ヤネウラ @yanegann

よく見ると、海のシーンは冒頭から手ブレしている。 ここは絵梨の見せ場だから、美しく撮らなければいけないはずだ。せっかく海まで来たんだし。 ここの一連の画像は、本番前のテストだったのかもしれない。しかし、絵梨が倒れてしまったので、本番の撮影はなかった。

ヤネウラ @yanegann

『さよなら絵梨』で、主人公が絵梨に対して「ですます調」でしゃべってるところは、どうも素のセリフっぽい。 絵梨が死ぬ前の（キスシーンを）「念の為もう一回撮っときません？」と聞くところも素なんだろうな…… 距離があるような無いようなところが切ない。

ヤネウラ @yanegann

あと、この漫画ですごくいいのは、主人公が絵梨と再会するところだ。 親しい人の死に打撃を受けた主人公は、周りの人がみんな先に死んでいく人生に絶望しないのかと質問する。 画力も相まって、質問の必死さが伝わってくる。 しかし、答えを聞いて「素敵なことだ…」と返すコマは小さく迫力もない。

ヤネウラ @yanegann

そして、そのまま別れてしまう。 え、なんで？と思う。 あの質問の時の迫力はどこにいったの？ なんで、答えを聞くと、もうどうでもいいって顔しているの？ 答えは、おそらく絵梨の答えにあるはずだ。

ヤネウラ @yanegann

絵梨の答えは「私にはこの映画があるから」「見る度に貴方に会える…　私が何度貴方を忘れても　何度でもまた思い出す」だ これは残酷すぎる答えだ 優太は絵梨を美化して撮った あの映画の中には、優太が「ですます」調で話していた絵梨は、映画の外の絵梨はまったくいない。最後のキスの記憶もない

ヤネウラ @yanegann

『さよなら絵梨』の大きなテーマは「作り手も傷つかないとフェアじゃないよね」だ 優太は最後の最後で、作ったものによって大きく傷つけられた。 ハードディスクの中には、美化してないデータもあったはずだ。 しかし、それを編集で切ってしまった。 絵梨は優太の中で、ついに決定的に死んだ。

ヤネウラ @yanegann

動画の編集をしていた時は、まだ優太の中で、絵梨は生きていた。 しかし再会して、質問の答えを聞いたことで、自分自身の選択で、もう二度と「あの時の絵梨」とは会えないことがわかった。 だから、この漫画のタイトルは『さよなら絵梨』なのだ。それ以外のタイトルであるわけもない。

ヤネウラ @yanegann

絵梨が吸血鬼かどうかはよくわからない しかし、説明がつかないコマが１つある。38pの優太が自殺しようと病院の屋上に行き、絵梨に声をかけられるシーンだ この吹き出し、空中からの発言になってない？ 柵の外にいるのか？ でも優太が姿に気が付かないのなんでだ？

ヤネウラ @yanegann

この次の頁の駅梨は、後日撮った可能性があるけど、屋上に出るシーンは手ブレもあるし、優太が実際に自殺しようとした時の映像のようなので、やはりおかしい。