低価値や営利目的、TPO。どれも表現の自由の問題です。平裕介弁護士が解説する、”月曜日のたわわ”広告と表現の自由。

””見たくない表現に触れない権利”は存在しない。すでに司法で否定されていた。平裕介弁護士の解説。”から続く、平裕介弁護士の表現の自由についての解説です。
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まとめ ”見たくない表現に触れない権利”は存在しない。すでに司法で否定されていた。平裕介弁護士の解説。 ”月曜日のたわわ”広告を批判するハフポストは、記事で”見たくない表現に触れない権利”を持ち出してますが、それはすでに司法によって明確に否定されていました。 51081 pv 1823 99 users 37

まとめ 【追記あり】”見たくない表現に触れない権利”なんてものを認めると、あっという間に差別につながる→JR恵比寿駅から「ロ.. ロシアと云う国、(ウクライナ侵攻に従事する)ロシア軍と云う軍隊、は批難に値しますが 個々のロシア人・ロシア語・ロシア文化などは【取り扱い要注意】です 9523 pv 95 6 users 10

まとめ 営利的表現・営業広告の自由も表現の自由が根拠です。平裕介弁護士の解説、その2。 平裕介弁護士”営利広告の自由・営利的表現は、広く規制されて良いみたいな主張は、営利広告も”表現の自由”として保障される現在の通説とは整合しません” 4989 pv 50 2 users

平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

記事では「見たくない表現に触れない権利」をメディアが守っていない点を問題視しているが、法的には、市営地下鉄の列車内における商業宣伝放送に違法性がないとした最高裁判例が想起される 「月曜日のたわわ」全面広告を日経新聞が掲載。専門家が指摘する3つの問題点とは? huffingtonpost.jp/entry/story_jp…

2022-04-09 12:13:01
リンク ハフポスト 「月曜日のたわわ」全面広告を日経新聞が掲載。専門家が指摘する3つの問題点とは? メディアが抱えるジェンダー問題に詳しい専門家は「性的な表現に触れたくない人の権利を守れていない上、成人男性による未成年の少女への性暴力を大手メディアが肯定する構図になっている」と指摘している 427 users 726
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

①低価値表現にすぎない、営利的広告にすぎない、②ゾーニング・TPOの話にすぎない、③自主規制にすぎない、④私人間効力の話にすぎない、⑤職場でのハラスメントと同じ、等の理由付けから、 日経の広告掲載・不掲載の問題は「表現の自由」の問題ではない、と主張するツイートが多く、正直驚いています

2022-04-11 22:30:33
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

まず、①低価値表現(性表現など)にすぎないという点ですが、以下のツイートのとおり、低価値表現であっても、表現の自由の問題になることは、現代の憲法学においてはほぼ明らかです twitter.com/YusukeTaira/st…

2022-04-11 22:34:08
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

ポルノ規制論に対する司法試験考査委員(②③)・元考査委員(①)である憲法学者の先生方の考え方です↓ ①曽我部真裕「表現の自由(2)ー性表現」法学教室490号(2021年)78頁 ②『憲法Ⅰ 基本権』(日本評論社、2016年)128頁〔宍戸常寿〕 ③市川正人『ケースメソッド憲法 第2版』(日本評論社、2009年)128頁 pic.twitter.com/gdxLi5JfU0

2021-12-18 19:57:05
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

ポルノ規制論に対する司法試験考査委員(②③)・元考査委員(①)である憲法学者の先生方の考え方です↓ ①曽我部真裕「表現の自由(2)ー性表現」法学教室490号(2021年)78頁 ②『憲法Ⅰ 基本権』(日本評論社、2016年)128頁〔宍戸常寿〕 ③市川正人『ケースメソッド憲法 第2版』(日本評論社、2009年)128頁 pic.twitter.com/gdxLi5JfU0

2021-12-18 19:57:05
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平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

次に①営利的表現(営業広告)にすぎないという点ですが、渡辺康行ほか『憲法Ⅰ 基本権』(日本評論社、2016)228頁〔宍戸常寿(司法試験考査委員)〕によると、営利広告・営利的表現の自由も「現在の学説は……国民の知る権利に奉仕するものとして、憲法21条によって保護されると解している」と解説されます

2022-04-11 22:39:54
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

②ゾーニング・TPOの話にすぎないという点が個人的には一番驚いたのですが、ゾーニングというのは表現の自由の制限の一手段・規制方法の話なので、表現の自由の話にならないという理由には、勿論なりません 以上のことに関し、例えば松井茂記『アメリカ憲法入門[第8版]』(有斐閣、2018年)257頁参照 pic.twitter.com/WV3aFnODq6

2022-04-11 22:46:38
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平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

②の点の補足ですが、内容中立規制(表現内容に中立的な規制、時・所(場所)・方法の規制)も、表現の自由の規制に当たるという点では内容規制と同じです。規制の強度が違うというだけです。司法試験でも昔から繰り返しよく出ている話です(以下のツイートもご確認ください) twitter.com/YusukeTaira/st…

2022-04-11 22:51:49
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

司法試験受験生からの表現内容規制と表現内容中立規制に関するご質問は本当に多いです 内容規制を厳しく審査する根拠は①思想の自由市場の歪曲、②不適切な動機、③伝達的効果です(芦部『憲法学Ⅲ』404頁) 平成3年度旧司論文憲法第1問(超良問!)について具体例に考えておくと、かなり応用できます pic.twitter.com/Rink05PBWZ

2020-10-29 00:21:48
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

司法試験受験生からの表現内容規制と表現内容中立規制に関するご質問は本当に多いです 内容規制を厳しく審査する根拠は①思想の自由市場の歪曲、②不適切な動機、③伝達的効果です(芦部『憲法学Ⅲ』404頁) 平成3年度旧司論文憲法第1問(超良問!)について具体例に考えておくと、かなり応用できます pic.twitter.com/Rink05PBWZ

2020-10-29 00:21:48
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平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

③自主規制にすぎないから表現の自由は問題にならないという主張も、憲法学では受け入れられない話でしょう。例えば、以下のツイートの松井茂記教授の解説をご一読ください。表現の自由の話であることが分かります twitter.com/YusukeTaira/st…

2022-04-11 22:55:28
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

松井茂記『マス・メディア法入門〔第5版〕』(日本評論社、2013年)359頁も、同様に、マスメディアの「自主規制」の問題点について分かりやすく解説しています。松井教授は憲法の専門家です 自主規制は、憲法で保障された表現の自由を事実上無意味なものにし、表現者が萎縮する社会作りを進めるものです pic.twitter.com/vQXDR7qhfY

2022-04-10 22:59:09
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

松井茂記『マス・メディア法入門〔第5版〕』(日本評論社、2013年)359頁も、同様に、マスメディアの「自主規制」の問題点について分かりやすく解説しています。松井教授は憲法の専門家です 自主規制は、憲法で保障された表現の自由を事実上無意味なものにし、表現者が萎縮する社会作りを進めるものです pic.twitter.com/vQXDR7qhfY

2022-04-10 22:59:09
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平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

③自主規制(自己規制とも言われることがあります)が表現の自由と関係のある問題であることについて、以下のツイートの阪口正二郎教授の解説も、分かりやすく、参考になります twitter.com/YusukeTaira/st…

2022-04-11 22:58:20
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

表現の自由(憲法21条1項)を「脅かして」いるのは、政府だけではなく、「不寛容な社会」です(阪口正二郎「表現の不自由と日本〈社会〉」奥平康弘=樋口陽一『危機の憲法学』(弘文堂、2013年)287頁参照) 政府は、「不寛容な社会」が「自主規制」の「空気」を生成し強化することを心から望んでいます pic.twitter.com/X3z20KGYDT

2022-04-07 23:52:12
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

表現の自由(憲法21条1項)を「脅かして」いるのは、政府だけではなく、「不寛容な社会」です(阪口正二郎「表現の不自由と日本〈社会〉」奥平康弘=樋口陽一『危機の憲法学』(弘文堂、2013年)287頁参照) 政府は、「不寛容な社会」が「自主規制」の「空気」を生成し強化することを心から望んでいます pic.twitter.com/X3z20KGYDT

2022-04-07 23:52:12
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平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

③念のためさらに「自主規制」が「表現の自由」と関係のある問題であることについて、以下のツイートの美術手帖の解説も参考になります。広く読まれるべき文献だと考えます。 twitter.com/YusukeTaira/st…

2022-04-11 23:02:09
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

さらにいうと、法的強制ではなく、自主規制(憲法の規定は直接適用されず)については、憲法は関係ないという主張も実は危険な考え方です この点、美術手帖2020年4月号84頁の指摘が重要です(荻野幸太郎うぐいすリボン代表+志田陽子教授の解説。検閲の意味は判例の定義より広い意味で使われています) pic.twitter.com/yyVNTHqAgq

2022-04-06 19:45:12
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

さらにいうと、法的強制ではなく、自主規制(憲法の規定は直接適用されず)については、憲法は関係ないという主張も実は危険な考え方です この点、美術手帖2020年4月号84頁の指摘が重要です(荻野幸太郎うぐいすリボン代表+志田陽子教授の解説。検閲の意味は判例の定義より広い意味で使われています) pic.twitter.com/yyVNTHqAgq

2022-04-06 19:45:12
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平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

④の点ですが、私人間(私人間効力)の問題であることは、憲法の人権規定を無視して良い理由にはなりません 憲法学における間接効力説(間接適用説)によれば、民事法の規定の解釈適用に際して、憲法の趣旨や価値を反映させることで私人間の人権保障の実現を図るべきと考えています(最高裁判例の立場です)

2022-04-11 23:08:10
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

(④の続き)そのため、私人間の話であるからといって、憲法21条1項の表現の自由が当然に関係なくなるという見解は、憲法学では一般的な考え方ではありませんので、そういった見解は問題です ちなみに、以前も、間接効力説(間接適用説)の考え方に関してツイートしています↓ twitter.com/YusukeTaira/st…

2022-04-11 23:12:32
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

しかし、憲法学における間接適用説によれば、オープンレターのケース(上記②についての呼びかけ人側の事後対応)も、特定の民法の規定の解釈適用に際して、憲法の趣旨や価値を反映させることで私人間の人権保障の実現を図るべき事案という余地はあろう。消極的表現の自由の私人間効力論も問題だと感じる

2022-01-20 10:40:28
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

しかし、憲法学における間接適用説によれば、オープンレターのケース(上記②についての呼びかけ人側の事後対応)も、特定の民法の規定の解釈適用に際して、憲法の趣旨や価値を反映させることで私人間の人権保障の実現を図るべき事案という余地はあろう。消極的表現の自由の私人間効力論も問題だと感じる

2022-01-20 10:40:28
平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

最後に、⑤新聞の広告と、職場での「ハラスメント」が同じであるという趣旨のコメントもネットで見ましたが、紙谷雅子教授は、いわゆる囚われの聴衆の事案と職場でのハラスメントとを区別する立場を採っており(長谷部恭男ほか編『憲法判例百選第7版』(有斐閣、2019年)45頁↓)、妥当な立場といえます pic.twitter.com/yh4i06o9mG

2022-04-11 23:21:41
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平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

(⑤の続き)今回話題となった日経新聞の広告は、最高裁第三小法廷昭和63年12月20日判決(いわゆる「囚われの聴衆」事件判決)の事案よりも「囚われ」の度合いが弱いですし、あるいは「囚われ」の状態があると認定できるのかも議論がありうるでしょう。よって環境型セクハラと同じ事案と捉えるのは問題です

2022-04-11 23:27:19

厚生労働省による”環境型セクハラ”の定義。

環境型セクシュアルハラスメント(厚生労働省 あかるい職場応援団)
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/pawahara-six-types/type9
労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなり、労働者の能力発揮に重大な悪影響が生じるなど、その労働者が就業する上で見過ごせない程度の支障が生じることをいいます。

このように環境型セクハラとは、労働環境限定であり、さらに労働者の業務に支障が発生して、初めて”環境型セクハラ”といえるのです。

平 裕介 Yusuke TAIRA @YusukeTaira

ちなみに、上記の「囚われの聴衆」事件判決(最高裁判所第三小法廷昭和63年12月20日判決集民155号377頁・商業宣伝放送差止等請求事件)の伊藤正己裁判官の補足意見がとても参考になるので、同補足意見に関する以下のツイート・ツリーも、ぜひご一読いただけますと幸いです。 twitter.com/YusukeTaira/st…

2022-04-11 23:31:26
まとめ ”見たくない表現に触れない権利”は存在しない。すでに司法で否定されていた。平裕介弁護士の解説。 ”月曜日のたわわ”広告を批判するハフポストは、記事で”見たくない表現に触れない権利”を持ち出してますが、それはすでに司法によって明確に否定されていました。 51081 pv 1823 99 users 37