最新の神話学/考古学により発見された「日本神話」の起源—出雲の国譲りはフィクションだったが、出雲人のDNAは縄文系だった―
出雲神話と八百比丘尼とホムチワケ皇子と甲賀三郎伝説は、全部「水中の火」神話に基づいて表現された弥生時代以前の神話から分岐したものです。
2022-03-14 04:10:08イザナキ・イザナミの「国産み」は、南方系神話と重ね合わせで表現されてるものだけど、矛で掻き混ぜる場面は、インドの「乳海攪拌」神話と同系で、ハオマ(ソーマ)の樹液と牛乳を混ぜられて生まれてくるゾロアスター(「水中の火」にあたる太陽=精液を水=牛乳=女性が受け止める)と同じものでした
2022-03-14 04:13:08※草原地帯で「牛」だったものが、牛が生息・飼育されていなかった弥生時代の神話では「鹿」になっています(銅鐸・土器に連続した構成で「物語」が表現された絵画による神話表現より)。日本列島における、牛の牧畜は古墳時代からです。
話のスケールが大きすぎて、説明するのが大変なんですが…しかし、こう考えないと話は合わなくて、渡来系弥生人の祖先集団だと見られる朝鮮半島の青銅器時代の文化の絵画(岩画)を分析すると、モンゴル高原の鹿石の絵が西遼河流域を経て伝播した絵画だという論文が最近出てます。西方からの伝播でした
2022-03-14 04:16:33現代日本人のDNAの起源については諸説があったが、篠田謙一『人類の起源――古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」』(中公新書、2022年出版)などに書かれているように、東北アジアの「遼寧地域」にいた初期青銅器時代の人たちが、現代日本人の92%のDNAの起源にあたり、渡来系弥生人の祖先でした(日本語は農耕によって人口が増えた外から来た人たちの言語だった。縄文人と混血して現在に至る)。
弥生土器の起源も遼寧地域の「偏堡文化」の土器で、これは畑作文化でしたが、山東半島の稲作/畑作文化の集団と合流しながら、朝鮮半島の稲作文化の無文土器を経て、弥生土器に変化しています。考古学者の宮本一夫(九州大学教授)の説です。
山東半島のDNAはまだ研究されて無いので、遼寧地域と日本列島の関係が先に浮かび上がってきた訳です。その遼寧地域や朝鮮半島の文化は、モンゴル高原の青銅器時代の文化の影響を受けてました。
当時の東北アジアはキラキラと光る「青銅器」が登場し、その交易が始まったことで、農耕・狩猟・牧畜などの生業の垣根を超えて人々が交流したので、精神文化や神話、言語の接触があったと見られてます。
日本語とツングース語、モンゴル語などに何かの接触関係があるように見えるのも、国家形成前の青銅器時代の交流関係に起源がありました。
モンゴル高原の牧畜文化は、西ユーラシアから伝来したことが確実視されてます。遺伝学的にも支持されました。ただし、西ユーラシアの青銅器時代以前の牧畜文化が「モンゴル高原の文化」に永続的な影響を与えた一方で、遺伝的影響は一部に留まったとされてます。DNAは世代を経て減って行った訳です。
2022-03-14 04:19:40インダス文明を見ても分かるように、青銅器時代の長距離交流ってのは想像を超えたものでして、国家形成以前もしくは形成されてても「弱い」のに、長距離交易をしないと青銅器文化に移行できない(錫などの希少鉱物が必要)ので、この時代に会話ツールとして共通の神話や組織作りの価値観が広がりました
2022-03-14 04:21:48出雲神話というと「国譲り」が注目されますが、国譲りに歴史上の事実関係がそのまま示されてるという見解は誤りで、遺伝学的にも縄文系の性格が色濃い「出雲人」の顔が違うことから、「国譲り神話」にふさわしい場所として6世紀以降に設定されたと考えられます。5世紀以前の出雲の神は太陽神でした。 twitter.com/fushunia/statu…
2022-02-24 13:21:47真っ赤に焼いた大石(猪)をぶつけられて、皮膚を失う大火傷をしたオオナムチは「脱皮神話」の主人公だとされ(神話学者吉田敦彦の説)、不死の儀礼である「ムケカエリ」ができなくなったオオナムチは死ぬ。しかし出産の母神カムムスヒが貝の姫に「母の乳汁」を塗らせたので、麗しい若い男に復活した。 twitter.com/amane_murakumo…
2022-02-24 04:48:47三浦佑之氏の『出雲神話論』では、出雲の海の母神として「カムムスヒ」の信仰を重視してて、「カムムスヒ」の子孫を称する葛城氏・紀氏・岡山県の吉備氏がいます。古市晃『倭国』(講談社現代新書)も、5世紀以前の葛城・紀伊・吉備の海人集団が出雲に進出したと指摘してて、同じ神話が共有されてました
2022-02-24 13:24:05本来の出雲神話に「太陽神」が出てくることは、こういう論文(研究ノート)にも書かれてます。 岡田高志「太陽の弓箭—『出雲國風土記』,「佐太の大神」伝承の基—」2016年 lit.osaka-cu.ac.jp/UCRC/wp-conten…
2022-02-24 13:34:14『リグ・ヴェーダ』に出てくる「水の孫」アパーム・ナパートの詩の現代日本語訳をキーボードで写してましたが、何これ…折口信夫の「水の女」そのままというか、「水の女」よりも「水の女」らしい内容で完璧としか言いようが無い。どうなってるんだ?
2021-10-04 04:55:39アパーム・ナパートは「水の中の火」、つまり西の海の中に沈んだ太陽の「太陽光」が神格化した存在なんですけど、これは日本神話のスクナヒコナ及びホムツワケに相当する神でして、スクナヒコナとホムツワケは話が2つに分かれただけで本来は同一の存在でした。日本古代の王権の始祖にあたる存在です。
2021-10-04 04:59:09弥生時代の日本列島で使われた青銅器は、カスピ海やアラル海の近くの大草原で生まれたもので、それが日本列島まで伝わってきたものです。そのとき日本神話の元になった話も入ってきたはずで、入ってきたのが「水の孫」アパーム・ナパートと「太陽神」ミトラの神話です。アパ(略)とミトラは双子です
2021-10-04 05:02:45スクナヒコナはオオナムチ(大国主)の対の存在として神話に出てきます。スクナヒコナはオオナムチとともに出雲国を共同経営で作るとすぐに西の海の彼方の常世国に去ってしまいます。オオナムチが嘆き悲しんでると、海を照らして蛇が出てきて私があなたの別人格だと言うので三輪山に祭った(大物主)。
2021-10-04 05:07:16折口信夫は「水の女」という論文の中で、ミズハという女神の話をしてます。ミズハは川岸に立つ葦のように、化け物のように思われてるがそれは大誤解で、次の天皇になる皇子を養育した叔母にあたる女性たち姉妹が神話化した存在で、皇子を水の中に誘い皇子の衣のヒモを解いて性交をする大事な存在だと。
2021-10-04 05:14:10天皇もしくは皇子は「日の御子」と呼ばれるように、太陽そのものの存在です。その太陽を水の中に誘う「水」(の女)がいて、衣の紐を解いて性交をして生命を作っていく訳ですが、その情景そのままの様子が『リグヴェーダ』の詩アパーム・ナパートに出てきました。乳を吸う場面まである…❗️❗️
2021-10-04 05:19:33あああ…凄すぎる…川で生まれた「水たちの孫」と呼ばれる太陽神アパーム・ナパートが、自分を育てた「水」(=女性)と水の中でセックスするんですが、これ完璧に折口信夫の「水の女」なんですよ。日没時に水没する太陽の水の中で光る太陽光を神格化した話だったなんて折口信夫は知らなかったはずなのに twitter.com/fushunia/statu…
2021-10-04 05:40:02折口信夫「水の女」青空文庫 「みづのをひもは、湯・河に入るためにつけ易えるものではなかった。湯水の中でも纏うたままはいる風が固定して、湯に入る時につけ易えることになった。そこに水の女が現れて己のみ知る結び目をときほぐして、長い物忌みから解放するのである」 aozora.gr.jp/cards/000933/f…
2021-10-04 05:46:25養育者の女性が皇子と水中で性交する 「もっとも古くは神の資格を得るための禁欲生活の間に、外からも侵されぬよう、自らも犯さぬために生命の元と考えた部分を結んでおいた」「さて神としての生活に入ると常人以上に欲望を満たした。みづのをひもを解いた女は、神秘に触れたのだから、神の嫁となる」
2021-10-04 05:51:03後藤敏文教授が作成された資料(PDF)より、インド最古の聖典『リグヴェーダ』(インドに南下した印欧語族が作った詩篇など)の現代日本語訳です。 資料 『リグヴェーダ』アパーム・ナパート 「水たちの孫」賛歌 www2.sal.tohoku.ac.jp/indology/apamn… twitter.com/fushunia/statu…
2021-10-04 05:56:27【5】 ここにいる揺るぎない彼のために、三人の女たちは食物を定め置こうと望む、神のために女神たちは。糸を紡ぐ[女たちに寄り添う]ように、彼は水たちの中で[女神たちに]広がり寄り添っているのだから。彼は初めて子を産む[女たち]の初乳を吸う。
2021-10-04 04:53:50ハーバード大学ヴィツェル教授の説 「仏教の日本への伝播以前の時期における遠方のインドと日本とのつながりを想定してこなかった ヴェーダ・記紀神話の結びつきがインド・ヨーロッパ神話やユーラシア神話間での結びつきよりもはるかに強いものであることが明らかとなるだろうci.nii.ac.jp/naid/120006781…
2021-10-04 13:41:16折口信夫は『古事記』のホムチワケ皇子の出生を解釈した「水の女」という有名な論文を残してますが、沖縄及び出雲の「水中から火を持ち帰った話」は文明人的な感覚で有り得ないからか、インドイラン神話と同系などとは想像もできなかったからか、火の部分が抜けてました。 twitter.com/fushunia/statu…
2022-02-14 13:33:36上のツイートの引用元ツイートの続きがこちらです。 twitter.com/fushunia/statu…
2022-02-14 13:35:40それで2010年代の最新の研究成果を調べていったらこの結果です。古代インド及びイランの最古の神話文献『リグ・ヴェーダ』/『アヴェスタ』に出てくる「水たちの孫」の神話を元の形に戻すと、記紀のホムチワケ皇子及び水の子スクナヒコナの神話と完全に一致していました。 twitter.com/fushunia/statu…
2021-10-20 04:08:02ホムチワケ皇子は、燃える火の中から出てきたという話がある皇子です。ただ、火や水がどんな風に関連してて、どういう風に神話的につながってるのか、最近の論文が出るまで神話学の方でも分かって無かったようです。なので折口の世代では全く分からないことなのに、話の流れは「水の女」に似てると。
2022-02-14 13:38:57