北総地域と京成本線沿いの宮彫めぐり ~神社の装飾彫刻~
本日は茨城県・龍ヶ崎市と千葉県の北総地域に鎮座する、本殿に見事な彫り物が施された神社を巡ってきましたので順次紹介していきます。まずは南中島町の鹿島神社さん。住宅地の奥まった場所に本殿だけを覆った社殿がありまして、正面や側面の格子から覗いたら いきなり この密度ですよ!(興奮) pic.twitter.com/0sIiJ92rp1
2022-04-11 22:23:37胴羽目は足柄山で金太郎を見出す源頼光、そして山伏に扮して大江山に分け入る頼光一行、酒呑童子の前で宴に加わる頼光たちという、統一感のある構成となっています。また、脇障子部分の加藤清正の虎退治・素戔嗚尊の大蛇退治や腰羽目部分の彫り物も含め、社殿のサイズと比較して密度の高い作りでした。 pic.twitter.com/Gc8xLwddcW
2022-04-11 22:39:392箇所目は根町の愛宕神社さん。愛宕中学校の立つ高台に鎮座しています。同社は伊達政宗の嫡子・忠宗により寛永18年に創建されましたが、これは当地が仙台藩の飛び地であった事によるものです。現在の本殿は宝永5年の造営で、周囲は鉄柵で囲まれていますが隙間が広く見やすい造りとなっています。 pic.twitter.com/NJE4VWXnyo
2022-04-12 22:07:20胴羽目の彫り物は史記などの中国の古典に題材を採ったもので、掲載順に斉国の桓公に見出される寧戚、周の武王を殷の武将・方相の攻撃から守護する金龍、太公望による「覆水盆に返らず」の逸話(ただし元妻は彫られていない)で、全て「絵本写宝袋」(画:橘 守国)に原図があることが判明しています。 pic.twitter.com/xbBThxkPk4
2022-04-12 22:35:16上下の琵琶板には禽獣の姿が彫られています。1枚目は胴体の模様が無いので虎か豹かは判然としません。2枚目は親子猿、3枚目は唐獅子牡丹、4枚目は雁、或いは鵞鳥でしょうか。いずれにしましても300年以上前の作ということを考えると、保存状態はかなり良好と言えるのではないでしょうか。 pic.twitter.com/9lLLvExbTl
2022-04-12 22:47:083箇所目は上町の八坂神社さん(ryugasaki-yasakajinjya.or.jp)享保20年竣工の本殿には二十四孝を題材とした彫り物が施されていますが、御覧の様に胴羽目部分や下部には上屋の補強材が重なっており、加えて周囲の瑞垣と上屋の間が60cmほどあるので近寄って見るのも難しく、鑑賞の難度は少々高めです。 pic.twitter.com/dn8aVwUJjR
2022-04-13 12:21:52胴羽目は掲載順に、母に孝行を尽くし、妻や使用人が居ながらも母の汚物の処理を全て自身で行った黄庭堅、家族から虐待を受ける大舜の耕作を象や鳥が手伝い、皇帝・尭に見出される場面、鹿の皮を被り眼病に効く鹿の乳を得ようとする剡子。※手前にある資材置場のため撮影困難に付き解説板で代用します pic.twitter.com/HvXSU9gwsm
2022-04-13 13:05:424箇所目は印西市・大森地区の大森鳥見神社さん。創建は不詳ながら大同2年(807)には再建が行われたという古社です。樹齢500年余の榧と銀杏に挟まれた拝殿の後ろにはレンガ塀の瑞垣に囲まれた文久3年(1863)再建の本殿。なお、残念な事に脇障子部分は両側とも失われています。 pic.twitter.com/IB5Ayl6vl4
2022-04-13 21:37:38胴羽目は掲載順に勿来の関の八幡太郎義家、足柄山で自身の笙の師匠であった豊原時元の遺児・時秋に秘曲を伝授する新羅三郎義光、雪中の常盤御前と今若・乙若・牛若。そして見上げると妻飾り部分には力神さんが屋根を支えていました。…といったところで時間切れに付き今回の宮彫り探訪は終わりです。 pic.twitter.com/mDiQ6YSHxp
2022-04-13 21:52:43蝦蟇仙人と青蛙神(印西市・大森鳥見神社) pic.twitter.com/DVKfZGYqbl
2022-04-13 22:32:42昨日は千葉県内の京成本線の沿線沿いにある宮彫ガッツリ系の神社を巡拝してきましたので順次紹介していきます。1箇所目は佐倉市・先崎(まっさき)地区の鷲神社さん。本殿(市指定文化財)は天保15年(1844)の造営で、覆屋はありますが御覧のように屋根も高く鑑賞しやすい作りとなっています。 pic.twitter.com/XKuiG13CPf
2022-04-17 11:43:33胴羽目は全て源頼光と四天王・藤原保昌の酒呑童子討伐が題材ですが全て童子の館に入る前の場面で、掲載順に大江山に分け入る一行、石清水八幡・住吉明神・熊野権現が化身した老人たちから星兜と神便鬼毒酒を授かる一行、都から拐われた姫が血染めの衣を洗濯をするところに遭遇した一行となっています。 pic.twitter.com/IhXM2xaHU4
2022-04-17 12:05:32こちらは社殿下部の腰羽目ですが、いずれも唐子遊びが題材となっており、その上には麒麟と思われる瑞獣が配されています。そして階段下には滝に打たれる唐獅子と牡丹。 pic.twitter.com/qC1BxMuBqG
2022-04-17 12:33:362箇所目は佐倉市・上志津地区の上志津八幡神社さん。茅葺き屋根の社殿を覆う上屋がありますが、先述の鷲神社さんと同様の開放的な作りに加え、社殿自体があまり高い位置にないため彫り物を間近に鑑賞できます。向拝部分には神功皇后と誉田別命を抱く竹内宿禰。なお、脇障子には彫り物はありません。 pic.twitter.com/JCgYz4pMSZ
2022-04-17 13:51:23胴羽目は神武東征(八咫烏に先導される人物が神武天皇か道臣命のどちらかは判断できず)、天岩戸、仁徳天皇の「民の竈」。扉の彫り物は桜花があり、当初は勿来関の八幡太郎義家かと思いましたが左下の男性が波の向こうの陣を指しており藤戸合戦の佐々木盛綱とも思いましたが冬なので季節が合いません。 pic.twitter.com/gLg6o3R4lR
2022-04-17 14:15:173箇所目は八千代市・大和田の小板橋時平神社さん。住宅地の中の公園のような社地に鎮座されています。昭和16年に後述する大和田時平神社さんを分祀したもので、社殿は一間ほどで先述の八幡神社さんよりも更に小さい作りです。 pic.twitter.com/Uwm2pu7oul
2022-04-17 14:45:28こちらの彫り物は胴羽目・脇障子ともに全て能楽の「石橋」(しゃっきょう)に由来する唐獅子と牡丹で構成されています。また、上部の組物の間は全て鶴が配されています。 pic.twitter.com/Ef7lBmG4VV
2022-04-17 14:58:074箇所目は八千代市・大和田地区の大和田時平神社さん。社殿の規模は先程の小板橋時平神社さんをやや大きくした感じですが、彫り物のバラエティーはこちらの方が豊富で彫りも深いです。また、御覧の様に雨ざらし状態ではありますが保存状態は良好です。 pic.twitter.com/ZtXEAdyiPC
2022-04-17 17:33:35胴羽目は酒呑童子征伐で山伏の姿を身をやつして大江山に分け入る源頼光たち、鬼ヶ島に上陸した源為朝の強弓を島民が引こうとするも全く敵わない椿説弓張月の一節、三韓征伐の折、住吉明神の化身である龍神が神功皇后に干珠・満珠を与える場面となっています。なお、脇障子は鯉の滝登りです。 pic.twitter.com/5L5hW4E07p
2022-04-17 17:48:085箇所目は千葉市 花見川区 長作町の三嶋神社さん。真新しい覆屋に囲まれた本殿は規模の割には装飾も多く見応えがありますが、安置場所に合わせて板塀が高い位置まであるため踏台が無いと少々見辛く、また下部の彫り物も板同士の隙間が狭いため、これまた板に顔を密着させて覗き見る感じになります。 pic.twitter.com/bB8iCGRqbF
2022-04-17 19:15:50胴羽目は向かって右側面が盗難か破損で失われたのか既にありません。反対側は烏帽子に長袴の武家と花を手にした何がしか神と思われる老翁ですが題材が判然としません。背面は加藤清正の虎退治。脇障子は猩々、水を湛えた高価な大甕に落ちた友人を助けるため、躊躇なく打ち割った司馬温公の甕割の場面。 pic.twitter.com/DvhaUEv8TA
2022-04-17 19:31:41破風の下の彫り物も段ごとに変化を付け、また階(きざはし)の下や腰羽目にも区画ごとに異なる趣向の彫り物が配されており、かなり手の込んだ作りになっています。 pic.twitter.com/r9hEPqrZ6N
2022-04-17 19:45:376箇所目は習志野市・大久保地区に鎮座する譽田八幡神社さん。上屋部分は破風よりも下に作られている事に加え、目線の位置が縁ぐらいに来ており胴羽目の位置がやや高いことや、周囲の樹木のために光量が少ないため細部の鑑賞には少々難があります。 pic.twitter.com/AxXFAqVMn8
2022-04-17 21:13:10メインの彫り物は胴羽目と脇障子、腰羽目で掲載順に竜宮から干珠・満珠を竹内宿禰、足柄山の金太郎と動物たち、高砂の尉と姥、霊亀(簑亀)です。なお、写りが悪かったため脇障子の画像はありません。 pic.twitter.com/YZkwNZWDs5
2022-04-17 21:23:037箇所目は習志野市・谷津地区の丹生神社さん。承応4年(1654)に紀伊・丹生都比売神社から勧請。本殿には上屋は無く、また周囲の瑞垣も板同士の感覚が広めなので鑑賞はしやすいですが、胴羽目の位置が高いので踏み台があるとベターです。 pic.twitter.com/8KR9IYrCIi
2022-04-17 22:06:49