沖縄のフリーダム艦これSS「うちなー鎮守府」第72話「帰還」

沖縄が舞台の実業系フリーダムな艦これSS「うちなー鎮守府(略称うち鎮)」 「帰還」。帰るべき場所とはどこなのか。 冬月を巡る、ちょっと変わった物語。 続きを読む
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まさや @Masaya_ok_jp

前回からだいぶ経ってるみたいなので、沖縄が舞台の実業系艦これSS #うちなー鎮守府 第72話やります。 ◆注意な◆ ○作者は非提督 ○環境設定など諸々フリーダム ○深海側の台詞の片仮名化めんどいから普通に表記

2022-04-24 03:15:46
まさや @Masaya_ok_jp

#うちなー鎮守府 前回作はこちら 「させぼ鎮守府との交信で振り返る2021年」 togetter.com/li/1820507

2022-04-24 03:17:54
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#うちなー鎮守府 第72話 2022年のある日、鎮守府に冬イベの通知が届いた。その日の秘書、涼月は通知を見て、作業の手が止まってしまった。肩、いや、全身が震えている。 「どうした?」 提督が涼月のいる席に駆け寄る

2022-04-24 03:23:30
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「お…お…おふ…」 涼月は言葉を絞り出すのに必死だった。提督が通知を見ると 冬月実装 「ついにこの時が来たか。涼月、今日はもう休みにしていいぞ。あとの仕事は自分と電でやるから」 提督はそう伝え、別室にいた秋月を呼んで涼月の付き添いを頼んだ。

2022-04-24 03:34:03
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時は過ぎ、冬イベ中。 最終海域に出向いていた艦隊の旗艦、榛名から鎮守府に連絡が来た。 「勝ちました。冬月が合流しました」 待機してた一同、歓喜の瞬間に湧き立つ。 提督が返信する。「おめでとう。道中注意して帰って来いよ」

2022-04-24 03:50:03
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部隊が戻る道中、五島列島の沖合いで空に暗雲が漂い、やがて激しい雨に見舞われた。 その時、一行の周囲に複数の水柱が立った。 榛名はすかさず戦闘指示を出すが、潮が伝えた緊急事態に愕然とする。 「冬月が…いません!」

2022-04-24 04:01:41
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艦隊とデータリンクを繋いでいた鎮守府でも、緊急事態を察知していた。 提督が指示を出す。「榛名、落ち着いて。矢矧を旗艦にした出迎えの艦隊をそちらに向かわせせているが、ただちに合流し捜索を命じる」 「わかりました、大丈夫です」。榛名は気丈に返した。

2022-04-24 04:09:43
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冬月の捜索が始まる。 「捜索というけどどうするんだ?」長門が榛名に問う。 「実は、もしもに備えて夕張が作った発信装置を用意して冬月に着けてたのよ。潮、位置はわかる?」 潮が端末を確認する。「大島の西から佐々方面に動いてるわ」

2022-04-24 04:21:26
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発信装置の情報は矢矧が率いる艦隊にも共有された。 「それなら私達は関門海峡経由で回り込むわ。囲うようにしましょう」。矢矧は榛名にそう伝え、一行は種子島の近くから日向灘に進路を取った。

2022-04-24 04:39:50
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矢矧が率いる艦隊のメンバーは霞、磯風、浜風、朝霜、涼月。加えて、榛名が率いる艦隊には初霜と雪風がいた。大和以外の“あの日”の面々が集まろうとしていた。

2022-04-24 04:48:12
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「佐々方面から平戸方面へ変針」「玄海町付近を東へ」潮が発信装置からの情報を伝え、ひたすら追う。 榛名は自問する。「冬月を誘拐したのは誰なのかしら。その目的は?」

2022-04-24 04:57:57
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冬月を誘拐したのは、空母ヲ級flag。単独の犯行だった。 「もうすぐ帰るからね」。背中に抱える気絶状態の冬月に語りかけ、玄海灘を東へ進む。

2022-04-24 05:05:44
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「そこのヲ級、待ちなさい」 呼子の近海。ヲ級が呼び止められた。そこにいたのは、大和だった。 「何で?何で貴様がここにいるの?」驚くヲ級に大和は続ける。 「その質問に答える義務はないわ。目的はひとつ。冬月を返して」

2022-04-24 05:16:07
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この日、大和は休暇で旅行中。うち鎮と友好関係にあるさせぼ鎮守府の艦娘と共に呼子にいた。その時、平戸沖から玄海灘に進む榛名の艦隊をさせぼ側で察知。情報を確認しさせぼ側が保有する装備を借りて参上したのだった。

2022-04-24 05:23:19
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呼子沖で睨み合う大和とヲ級。 「返すわけにはいかぬ。この子には帰るべき場所がある」。ヲ級は大和の要求を拒む。 「帰るべき場所?どこかしら」。大和が問い質す。

2022-04-24 05:27:28
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ヲ級は冬月を拐った目的を語った。 「この子は戦没しなかった。紆余曲折を経てあんな姿になったけど、安眠の地を得た。それを叩き起こすのは間違い。いるべき場所への帰還…」 その時、冬月の目が覚めた。「ここは…!」 すぐにヲ級の背中から離れた。

2022-04-24 05:33:58
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「冬月!」 大和の呼びかけに気付いた冬月が大和を見る。ヲ級は大和を遮るように冬月の前に立った。 「あいつはお前を拐おうとしてる。帰るべき場所に私が連れてくから無視して」 「帰るべき場所…」 冬月がつぶやき黙り込む。

2022-04-24 05:40:36
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「そう、帰るべき場所へ行く」。ヲ級は大和に渡すまいと説得する。 「帰るべき場所…それは冬月が1番わかっている」 「そう。その通り」。ヲ級がけしかけた直後、ヲ級の眉間に冬月の長10cm高角砲が突き付けられた。 「だから、帰り道の邪魔だ」。冬月が撃った。

2022-04-24 05:51:20
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零距離で眉間を撃たれては、さすがのヲ級ももたない。 「そうか。やるしかないわね」。大和が止めをさした。46cmではなく借り物の41cm砲だったが、至近距離なので葬るには十分だった。 「冬月、おかえり」 「帰還しました」

2022-04-24 05:58:06
まさや @Masaya_ok_jp

遅れて、榛名と矢矧の艦隊も合流した。 「お冬さん!」 「…涼か?」 「ずっと、ずっと、待ってました」 2人を見守るほかの艦娘。矢矧が大和に声をかける。 「大和さん、やっと揃いましたね」 「私達がどこにいるか聞いたら、驚くと思いますよ」。鬼気迫る表情だった大和に笑顔が戻った。

2022-04-24 06:05:46
まさや @Masaya_ok_jp

「榛名さんもきつかったと思いますが、お疲れ様でした」。大和は榛名への気遣いも忘れない。 「みなさんが揃う場面でこんなことに…申し訳ありません。でも、榛名は大丈夫です。貴方のような存在がこの鎮守府にいるから」

2022-04-24 06:13:44
まさや @Masaya_ok_jp

「早く帰らないと」。磯風や霞が急かす。 「涼、行くか」「はい」 一行は鎮守府へ進路をとった。 九州を離れ、東シナ海を南へ進む。何かがおかしいと察した冬月が大和に聞いた。「鎮守府に帰るのでは?」 大和はこう答えた。「私達の鎮守府は沖縄にあるのよ」

2022-04-24 06:26:03
まさや @Masaya_ok_jp

「沖縄…あの日辿り着けなかった島か」 「そう。みんな、冬月が帰ってくるのを待ってたのよ」 「仲間の元への帰還。その約束の地は沖縄…よかった」。そう思う冬月であった。 (第72話おわり)

2022-04-24 06:33:14

おまけ:坊ノ岬組集合イラスト(素晴らしい作品と絵師に感謝)