増え続けるネットの誹謗中傷、もしものときの“法的撃退術”を久保弁護士に聞く

日経トレンディネットの記事 http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20071025/1003871/ から一部引用させていただきました。 Twitterも普及して、誹謗中傷のトラブルに会う方も増えてきたと思います。是非参考にしていただければ、「卑劣な行為」に憤りを覚えるひとりとして幸いです。 続きを読む
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「増え続けるネットの誹謗中傷、もしものときの“法的撃退術”を久保弁護士に聞く」
日経トレンディネットの記事
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20071025/1003871/

この記事で解説されている犯罪要件を成立させるタイプのアカウント=一連の「つるんで他者への攻撃を常態化するような卑劣な覆面アカウント」 @akinodh @ewa4618 が本まとめに「被告」に同調するメンタリティからしきりに反発してコメントしていますが、すべて削除しています。

'' ここ数年、インターネット上の誹謗中傷が増え続けている。掲示板やブログの普及で、書き込む先も増え、加害者は匿名だということに安心して、被害者に対するいわれない悪口を不特定多数の目にさらし、卑劣な手段で傷つけ続ける。
 こんな陰湿な行為の標的にされてしまったら、どうしたらいいのだろう。自分でなくても、家族や子供がそんな目にあったら? 心を痛め、生活に差し障ったり、生きていけるだろうか……。いや、心を強く持とう。悪質な相手を特定し、謝罪させ、慰謝料を請求し、二度とくりかえさないようにさせよう。卑怯な相手を野放しにしてはいけない。
 そのためにはなにを準備し、どのような流れで手続きすればいいのだろうか。2ちゃんねるをはじめとするネット訴訟関係の処理を数多く手がける久保健一郎弁護士にお話を伺った。''

「私が考える流れは、まず民事的に追跡して、発信者を特定し、それから、なおも処罰を求める意思があれば刑事告訴する。これが現実的だと思っているんです。刑法では、誹謗中傷という犯罪ではなく、誹謗中傷された被害者が、名誉毀損、侮辱、信用毀損、業務妨害、などの罪で処罰を求めるということになります。ただ、インターネット上で匿名で行われた誹謗中傷の場合、加害者を処罰してくださいと被害届を出しても、匿名によるサイバー犯罪の性質上、普通の犯罪とは捜査方法が異なりますから、簡単にはいかない。個人に対する一般的なネット上の名誉毀損、侮辱、信用棄損は、最終的に刑事告訴するとしても、まず、民事から追跡開始するのが早いと思います。

 なぜなら、民事上でも、1、書いた本人をつきとめるだけの資料の提供(情報開示請求)、2、該当の書き込みなどを消す(削除要求)、この2点は、比較的迅速に対処することができるからです。

 私の場合は、まずこれを目標に追跡して、浮上した加害者・発信者に対して、損害賠償請求や、謝罪広告を要求することになります。その上でなおも刑事処分を求める意思を有しておられる場合は、刑事告訴……たとえば、侮辱罪(刑法231条)や、名誉毀損罪(刑法第230条)などの処罰を求めていくことになります」

「ただし、賠償請求裁判で認められる金額となると、実際はそう高くないんです。俗に上限100万円なんて言われていますが、ほとんどは数十万円程度。お金を取るということよりは、名誉回復とか、二度と書かれないようにすることを考えたほうが、より現実的です」

 「実は、加害者・発信者というのは、そんなに大人数ではない場合が多いんです。1人でいくつもハンドルネームを使って書き込んでいたり、4~5人のグループであったりします。その場合、首謀者のような地位にある人が検挙されると、たいていは止まります。賠償金はそんなに高くとれないと言いましたが、それはしようがない。そのかわり、二度と悪いことをしないよう、示談の契約書に工夫をします。例えば、今回の件に関しては、賠償額はこれくらいにしますが、もしも、次にやった場合は、これだけの違約金をいただきます、という内容の。そこには、抑止効果を期待できるような高額の違約金を設定することが肝要です。それによって、抑止力とするわけです。」

「たいていの加害者は、匿名で追跡困難だろうと過信しているから卑劣なことを続けている小心者。個人が特定され、法的に契約を交わすと、かなり懲ります。私が担当した中では、一度法的に裁かれた人がもう一度と……いうのはまだないですね」

プロフィール 久保 健一郎(くぼ けんいちろう)氏

昭和44年、大阪府生まれ。京都大学法学部卒業、平成15年に、久保法律事務所開設。インターネット上の紛争解決に詳しい。
【執筆】
「名誉毀損、著作権等利益侵害者の特定から情報削除まで」(東京弁護士会会報「libra 2002年7月号」)、「加害者の特定が困難なネットワーク上の権利侵害」(東京弁護士会「法律実務研究第17号」)、「違法情報の削除と侵害者の特定」(東京弁護士会「法律実務研究第18号」)、「プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求」(東京弁護士会「法律実務研究第19号」)、「匿名加害者によるインターネット電子掲示板上での権利侵害問題と対応策」(東京弁護士会「平成15年度秋季弁護士研修講座」)、「プロバイダ責任制限法」(第二東京弁護士会「二弁フロンティア 2004年7月号」)、「インターネットの法的論点と実務対応」(東京弁護士会インターネット法律研究部)、「プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報の開示」(ぎょうせい)
【事件処理】
プロバイダ責任制限法に基づく身元開示請求訴訟において、開示を命じる請求認容判決を得て勝訴(平成15年9月17日東京地裁判決 判例タイムズ1152号276頁)、同請求訴訟控訴審においても、第1審判決を支持させ勝訴(平成16年1月29日東京高裁判決)、仮処分手続を通じた発信者情報の開示に成功(仮処分決定、これに対する保全異議が認容される(平成16年9月22日東京地裁決定、平成17年1月21日東京地裁決定 判例時報1894号35頁)

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