なんでウルトラマンとエヴァンゲリオンその他は向かって右側に立って戦うの?

今回はツッコミポイント多めにしました。
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砂手紙 @sandletter1

1・舞台には上手(かみて。客席から見て右側)と下手(しもて。客席から見て左側)があります。そして、日本の伝統的舞台演出では「上手から役者が登場する」という技法はありません。たとえば歌舞伎の『勧進帳』だと、西洋の演劇なら弁慶・義経の一行が上手から出てきて下手に向かう演出だろうけど。

2022-04-25 20:03:56
砂手紙 @sandletter1

2・弁慶たちは下手から現れて上手の、関守の富樫左衛門が座っている方向へ向かい、花道を通って引き下がります。これは能の『安宅』が由来だからそうなるわな。でもって『仮名手本忠臣蔵』の、松の廊下に相当する場面も、別に廊下を右から左へ歩いていくわけじゃないのね。

2022-04-25 20:06:13
砂手紙 @sandletter1

3・みんなが知ってるほうの奴は『元禄忠臣蔵』(真山青果、1934~41年)だと思うよ。映画やテレビドラマの原作として使われてるから。古典芸能の「能」。あれ、どうして下手からしか役者が出てこないかというと、能の物語は、ワキ(座ってじっとしている人)が見ている夢・幻想だから。

2022-04-25 20:08:30
砂手紙 @sandletter1

4・つまり能は広義の幻想文学なんよね。ところで、あなたが人形遊びをする子供だったとしますね。で、ウルトラマン(強いほう)はだいたい、9割ぐらいが右手利きだから右手に持って、怪獣をぼかすか殴りますよね。つまり右手に強いほう・動くほうを持つ気がする。

2022-04-25 20:09:05
砂手紙 @sandletter1

5・舞台の上(ワキ)の視点だと、それは下手からウルトラマンが出てくるし、客席だと上手からになる。西洋の近代劇とか映画は、基本的に客席の視点なんだよね。怪獣だけだとまあ多分、右手に怪獣持ってビル壊すはず。で、庵野秀明のTV放映版『新世紀エヴァンゲリオン』は忠実にそれを模倣してるのね。

2022-04-25 20:10:02
砂手紙 @sandletter1

6・つまり、「右肩を手前にして、半分正面を向いたポーズ」のエヴァ初号機は、発進されると「画面の右」に代わって戦います。ウルトラマンはゼットンの例でもお分かりの通り、左側に立ってやられます。エヴァンゲリオンでも対ゼルエル戦ではアスカが頭おかしくなって左側でボロ負けします。

2022-04-25 20:11:05
砂手紙 @sandletter1

7・よくわからないのは、座頭市は画面の右側から出て戦うのに、眠狂四郎は左側に立って円月殺法見せるところなのね。どっちも三隅研次監督だったりするのに。

2022-04-25 20:11:30
砂手紙 @sandletter1

8・サイレント映画時代の作品だけど『つばさ』ってのが、第一次大戦の戦闘シーン、大迫力なのに「切り返し」がうまいこと定まってなくて、みててえらい混乱するんだよね。ドイツ兵が左から右に攻めたり、飛行機(戦闘機)がその逆だったり、ぐしゃぐしゃ。

2022-04-25 20:11:47