- フィンランド語に関する小噺 その2- 音節に関して。

今回の小噺はフィンランド語における音節について触れます。 さっと文章化しているので、理解しにくいところがあるかもしれません。 それでも、フィンランド語の学習に役に立つことがあれば幸いです。
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フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

〇音節(tavu) ・音節とは大辞泉よると言語における音の単位。ひとまとまりの音として意識され、単語の構成要素となる。開音節と閉音節との別がある。 ・フィンランド語では8母音と13子音あります。理論上、音節は33000あることになりますが、実際には3000弱しかありません。

2022-05-13 05:58:07
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

・フィンランド語における音節の区分は以下の通りです(Kは子音(konsonantti)、Vは母音(vokaali))。 1. KV 2. KVK 3. KVV 4. KVVK 5.VK 6. V 7. VV 8. KVKK 9. VVK 10. VKK

2022-05-13 05:58:22
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次の音節タイプは通常のフィンランド語には見られず、外来語にみられるものである。 11. KKV 12. KKVK 13. KKVV 14. KKVVK 15. KKVKK 音節は開音節(フィンランド語では「avotavu」)と閉音節(フィンランドでは「umpitavu」)に分かれます。

2022-05-13 05:58:44
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開音節とは母音で終わる音節で、閉音節とは子音で終わる音節です。 上記の音節の区分では1,3,6,7,11,13が開音節、2,4,5,8,9,10,12,14,15が閉音節になります。

2022-05-13 05:59:12
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

開音節の例としてフィンランド語の「talo」での「ta」と「lo」の音節や「mukava」での「mu」,「ka」,「va」の音節です。 一方、閉音節の例として「matkustan」での「mat」,「kus」,「tan」の音節や「kallis」での「kal」と「lis」の音節です。

2022-05-13 05:59:18
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・単語の中には声門閉鎖音で終わる音節があります。その音節は閉音節に属します。

2022-05-13 06:00:55
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例として「pojalle mitään」での「lex(「x」は「e」の上に小さく表示)」の部分が閉音節になります。というのも発音上「lex(「x」は「e」の上に小さく表示)」は実際に[lem]と発音しているからです(統語的語尾重子音化)。

2022-05-13 06:00:59
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・一方、音節は短音節(lyhyt tavu)と長音節(pitkä tavu)に分かれます。 短音節の定義として、音節の最後が短母音で終わることで、長音節は短音節以外のすべての音節ということになっています。

2022-05-13 06:01:39
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

短音節の例としては「kana」の「ka」と「na」の両方、「poika」の「ka」です。 長音節の例としては「voi」、「viisas」の「vii」と「sas」の両方です。

2022-05-13 06:02:12
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

・フィンランド語の音節に関して次のような4つのルールがあります。 1.音節の境は「KV」の音節の後に必ず来ます。 例としては「matala」の「ma」、「ta」、「la」のすべて(「KV」の並びになって いる)の後に音節の境が来ています。

2022-05-13 06:02:16
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

2.二重母音でない「V₁V₂(V₁とV₂は同じ母音でないことを意味する)」の並びの「V₁V₂」の間に音節の境が来ます。 例としては「menestyä」の「yä」の間に音節の境が来ます。(単語の全体の音節分けは「me-nes-ty-ä」)

2022-05-13 06:02:33
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

3.最初の音節以外のすべての音節の中で「Vi」と並ぶものは、それが最初の音節以外のどの位置にあっても、「Vi」は二重母音である。 例としては「onnistuin」の「ui」は二重母音である。(単語の全体の音節分けは「on-nis-tuin」)

2022-05-13 06:02:49
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

4.フィンランド語において二重母音は「ai」, 「ei」, 「oi」, 「ui」, 「yi」, 「äi」, 「öi」, 「au」, 「eu」, 「iu」, 「ou」, 「äy」, 「öy」, 「ey」, 「iy」, 「uo」, 「yö」, 「ie」ですが、二重母音の間には音節の境は来ません。

2022-05-13 06:03:18
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

例として「tietää」の「ie」や「koira」の「oi」の間には音節の境は来ません。 ただ、二重母音以外で2つ以上の母音の組み合わせでは組み合わせの間のどこかに音節の境が入ります。 例として「vaikea」の「ea」の間には音節の境は入ります:「vai-ke-a」

2022-05-13 06:03:21
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

5.最初の音節以外のすべての音節の中で「VU(「U」は「u」または「y」を指す)」と並ぶものは、それが最初の音節以外のどの位置にあっても、「VU」は二重母音かつ母音連続である。つまり、「VU」の間には音節の境を入れてもいいし、入れなくてもいいです。

2022-05-13 06:03:39
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

例として「pakkaus」の「kaus」は「a」と「u」の間に音節の境を入れても入れなくてもどちらも可能です。音節分けをすると「pak-kaus」または「pak-ka-us」となります。

2022-05-13 06:03:42
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

◎なぜ音節について知っておく必要があるのか? ・音節分けをができるようになると、子音階程交替をより理解しやすくなります。 ・子音階程交替は単語内の最後の音節で最初の子音に起こることがあります。

2022-05-13 06:04:17
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

・子音階程交替が起こる音節が開音節の場合、弱階程となり、閉音節の場合、強階程になります。 例えば「äiti」の場合、最後の音節は「ti」です。この場合、最初の子音は弱階程です。

2022-05-13 06:06:10
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

「äiti」の属格は、「äidin」になるのですが、音節分けすると「äi」と「din」となります。「din」は閉音節なので、最初の子音は強階程になっています。

2022-05-13 06:06:45
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

また、「osoite」の場合、音節で分けると「o-soi-te」になります。属格は「osoitteen」となるのですが、一から属格を作るときに主格での最後の音節「te」に属格の「n」を単純に付けると「osoiten」になります。

2022-05-13 06:07:05
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

まず、「e」が一つ増えて「osoiteen」になるのですが。これは声門閉鎖音の影響です。「teen」は閉音節となり、最初の子音「t」は弱階程から強階程に変わるので、最終的には「tteen」と変化します。

2022-05-13 06:07:32
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

ただし、「osoite」の属格「osoitteen」を法則通りに音節分けすると「o-soit-teen」になってしまいます。つまり子音階程交替で発生した「tt」の子音の間に音節の境ができてしまうのです。

2022-05-13 06:07:54
フィンランド語とシリアラインの小部屋 @S_J_sanakirja

・語形成において、この音節分けが役に立ちます。 「etu」の形容詞の形は「edullinen」ですが、なぜか「t」が「d」に変化しています。「edullinen」を音節分けすると「e-dul-li-nen」となります。「dul」の部分が閉音節となり、「t:d」の階程交替が発生していたのです。

2022-05-13 06:07:58