なぜ放射能安全論/慎重論に分かれるのか? 宗教学者・島薗進の考察

島薗進は、「なぜ専門家が集まって対処しても混乱が生じるのか?」と疑問を投げかける。低線量放射線の因果関係が特定されてない状況で「影響は無視できる」という安全派と、まだ特定されてなくても危険性が高いので専門家だけでなく市民も参加して対策をとるべきというのが慎重派だ、という。 さらに、こういう命の根幹に関わる問題、つまり倫理的な問題に文系の人間が参加せず、特定の専門家学者で固めていること自体を島薗は問題視している。島薗の問題意識は、学術の専門性では解決できないという限界を克服することに向かっている。 この問題について、9/18 13時から東大法学部でシンポジウムを行なうとのこと。
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「低線量は安全」派の意見を分析

島薗進 @Shimazono

低線量放射線の影響は因果関係が特定できず、科学外の領域が重要。特定できないのは「影響が小さいから」とするのが山下氏、唐木氏ら楽観派。実は科学の限界を認めていない。因果関係が特定できなくても可能性が高いので対策はとるべき、それは科学者専権ではない市民参加の領域というのが対策派。

2011-09-15 21:36:45
島薗進 @Shimazono

生物医学的な対処法はなくても、低線量内部被曝の影響がなければ問題ない。これは9/11-12国際専門家会議主催日本財団笹川陽平会長の立場。「情報の錯綜が福島県民だけでなく、国民や世界の人々をも混乱させ、風評被害を引き起こしている」。http://t.co/cDHZKCRH

2011-09-15 21:46:44
島薗進 @Shimazono

可能な対策をできるだけ行う立場に賛成。因果関係を確証(特定)しえないという意味で科学を超えた領域に、原則、安全を尊ぶ姿勢で臨むという倫理的スタンスと考えます@yasunobu_kino特定できておらず、可能性が小さい…でも、…対策を行い、さらに安全性を高めるべき。と考えます

2011-09-16 08:34:59
島薗進 @Shimazono

「広報よこはま」の問題は討議・熟考に値する。何ヶ月も「緊急時」が続くのを当然とする唐木氏。@irukatodouro @Nguyen_ducThuan @clalappy 質問用紙形式のイベント経験からいうと…議題にあがらない…パネラーが代弁してくださらないと市民の声が届かない

2011-09-17 08:24:55
島薗進 @Shimazono

9/11-12国際専門家会議のICRP側中心人物人、仏原子力防護評価研究所ジャック・ロシャール氏はややニュアンスが異なる。日本財団HPも「グッドニュースもバッドニュースも分かり易い言葉で公平に住民に伝えられる必要がある」といった指摘も、と。国際組織には異論もあることを匂わせる。

2011-09-15 21:47:08
島薗進 @Shimazono

「広報よこはま」唐木氏―ICRPの勧告などから「日本政府は緊急時の避難基準を年間20mSvに…食品の基準はさらに厳しく…年間5mSv」放射性物質の放出が長期にわたって止まらない事故は想定されていた?ICRPの「緊急時」を何ヶ月も維持するのは住民に過酷なリスクを負わせるものでは?

2011-09-17 08:25:28
島薗進 @Shimazono

説明します。「100mSv/y以下ではがんは増えるかどうか分からない」「リスクの上昇は観察されていない」@kimitakatajimiここは良く理解できない@Shimazono: 低線量放射線の影響は因果関係が特定できず、科学外の領域が重要。…「影響が小さいから」とするのが山下氏

2011-09-17 08:27:09
島薗進 @Shimazono

「100mSv以下ではがんは増えるかどうか分からない」「発がんリスクの上昇は観察されていない」(中川『放射線のひみつ』)という言い方は「見つけ出せないほど量的に少ないので放射線の影響は無視できる」という主張。実際は「症状の原因が放射線の影響かどうか特定できない」領域が広い。

2011-09-17 08:27:45

低線量被曝への対処法 「証拠がないから安全」ではなく、推測できる危険を避けるための方法

島薗進 @Shimazono

実際は「症状の原因が放射線の影響かどうか特定できない」領域が広い。特定のためには大規模疫学調査が必要だが、何年以上がかかるし精度にも疑問符。そういう意味で「分からない」のが科学の現段階。それを「量的に小さく微量なので分からない」と述べるのが「100mSv/y以下は安全」論者

2011-09-17 08:28:37
島薗進 @Shimazono

では、「症状の原因が放射線の影響かどうか特定できない広い領域」にどう対処するか。これは放射線医学や放射線影響測定科学の専門領域を超える。公共政策や倫理にも関わる。弱い立場の市民にどれほどの過剰なリスクをかけることを是認するかどうか、リスク論がこうした公共哲学領域に及んでいく。

2011-09-17 08:40:10
島薗進 @Shimazono

またなぜ「症状の原因が放射線の影響かどうか特定できない広い領域」が存在するのか。これは広島・長崎の原爆被害やチェルノブイリ災害の健康影響、あるいは核関係作業者の被曝影響等が過去、どのように遇されてきたかの歴史の研究が不可欠。なぜ核開発関係情報は秘匿・隠蔽され続けてきたのか等

2011-09-17 08:41:20
島薗進 @Shimazono

トランスサイエンス(TS)」はワインバーグという核物理学者の提起した概念だが、「症状の原因が放射線の影響かどうか特定できない広い領域」が存在することはTSの好例。その領域は異なるタイプの科学を要請するだけでなく倫理や公共哲学にも関与。小林傳司『トランスサイエンスの時代』が参考書

2011-09-17 08:42:04
島薗進 @Shimazono

原爆データは問題があり被害の過小評価との疑いが濃い。だがそれは神学論争になってしまうので確かな科学成果に基づき今確実にできることをやろうのが児玉氏。@kimitakatajimi 広島データの外的妥当性の検討で、一般化できるとする山下氏とできないとする児玉氏の議論があるのでは?

2011-09-17 16:32:41
島薗進 @Shimazono

放射線被曝についは信頼できる疫学データがなく、科学によって確認できる確率論的言明は乏しい。そこで原爆データに過度に依存する楽観論と他の諸データに基づく判断との乖離が出ているのでは?@yukomimosahoop 疫学的な推計によると、放射線被爆者は…がんにより死亡する危険性が…

2011-09-17 22:10:10

9/18のシンポジウムについて

島薗進 @Shimazono

9/18日本学術会議哲学委シンポ「原発災害をめぐる科学者の社会的責任―科学と科学を超えるもの」http://t.co/S2bmOR2t専門家が混乱の元になった。そのわけは?行政が科学者を協同する仕方や、学術会議のあり方自身を問い返したい。会場のスペースにゆとりができました。

2011-09-17 22:21:30
島薗進 @Shimazono

9/18哲学委シンポ「原発災害をめぐる学者の社会的責任」日本学術会議HPに案内。http://t.co/S2bmOR2t 。挨拶、野家啓一(東北大副学長・哲学)、報告:唐木英明(学術会議副会長)、小林傳司(阪大・科学哲学)、押川正毅(東大・物理学)、鬼頭秀一(東大・環境倫理)他

2011-09-17 22:16:29
島薗進 @Shimazono

放射線の健康影響について安全論楽観論と慎重論万全対策論と極端に分岐するのはなぜか。どういう資料からどういうふうに結論を導くから大きな違いが出て来るのか。これを説明している議論は少なく貴重。この問題についてのトランスサイエンス(科学を超えるもの)の試みといえる。918シンポ予習

2011-09-17 22:58:43
島薗進 @Shimazono

楽観・悲観の違いが出て来る理由を明らかにする議論が道案内になる。楽観論の側からこの種の議論は少ない。副島隆彦氏推薦のウェード・アリソン『放射能と理性』7月刊は慎重論を冷戦期の恐怖心に帰そうとするが、第五福竜丸につき「ほとんどの被害者は30年後も生存していた」という程度の認識

2011-09-17 23:04:41
島薗進 @Shimazono

生命科学や医学の問題を論ずる生命倫理の委員会には文系の委員が入るのが当然と考えられている。では放射線の健康影響や食品安全についてはどうか。どちらもいのちの根幹に関わる問題だが。専門科学者で固める傾向。ムラ的体質の一つの原因では?多様な発想や異論とかみあう議論をする習慣がない?

2011-09-17 23:06:18