未完成の理想郷3話「黒い」

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未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

ここは砂漠エリア。現在地は不明。 今回砂漠エリアを二手に分かれて探索することとなった。そのうち、ミシュカトル、プティ、かがみ、まゆたろう、マルガリィタ、ヤマト、ネフェル、マーテルの組は広大な砂漠にて現在の方角が不明、つまり迷子になってしまっていた。

2022-05-31 21:32:00
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「うん、これ以上歩くのはきついね、さっきのオアシスまで戻って今日は野宿しよっか。」 「え、野宿!?私そんなの無理ですよぉ!身体が砂まみれになっちゃいます!」 「安心して、こんなこともあろうかと…じゃーん!簡易テントをいつか持ってきたんだ!今日は休んで明日どうにかがんばろうよ!」

2022-05-31 21:33:00
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「流石プティ君!」 「オアシスなら確かに少しは暑さを凌げるけど…それでも魔物は普通に生息していたわ…。」 「うん、だから見張りを二人ずつ貼り付けて時間を見て交代しよっか。」 「われが大半は引き受けよう。安心するがいい。」 「ありがとうございます、ミシュカトルさん。」

2022-05-31 21:34:00
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現状このメンバーでは、冒険の経験が豊富なプティが指揮をとっている。 流石というべきか、ハプニングへの対応も怠らなかったようで、最近みんなで作成した簡易テントを持参していた。 少し前に訪れたオアシスの場所はわかっていたため、そこまで戻り、野宿の準備を進めようとした一同だったが、

2022-05-31 21:35:00
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「……!総員警戒態勢!」 「え。」 遠方から轟音と共に現れたそれは一直線にこちらに向かってくる。 「あ、あれは……黄色い……波?雪崩??」 「いや、スナミーの群れだ!」 一同の目に映るのは数十頭もいるだろうスナミーの群れだった。

2022-05-31 21:36:00
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「思いっきりこっちにきてるよね…。」 「でも、なんか様子がおかしくないか?」 「!後ろにもなんかいるよ!追いかけられてる?もしかして、あれは…。」 「ボーンシュリピオン!?スナミーはこいつに追いかけられているのか!」 「この数の魔物は…無理!撤退撤退てったああああい!」

2022-05-31 21:37:00
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「「わああああああああああ!!」」 魔物の数を見てすぐさま撤退の指示を出すプティ。 こうして、正確な数もわからない程の大量の魔物に追いかけられ一同は全力を尽くしてその場を後にした。 pic.twitter.com/RMenFyzNe5

2022-05-31 21:38:00
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「はあ、はあ、み、みんなあ、無事……?」 「な、なんとかあ……」 「で、でもここどこなんだろ…オアシスの位置ももうわかんないよね…。」 息も絶え絶えになりながら、魔物の群れから逃げ切った一同は唯一場所を覚えていたオアシスの位置でさえわからなくなってしまった。

2022-05-31 21:40:00
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「…ミシュカトル、ママ、いない。」 「え?ほんと!?おーい、ミシュカトルさーん!ママさーん!」 「ぇ、お師様?まま?どこー?ふぇーん!」 「あわわ、まゆたろうさん落ち着いて、みんなで探せばすぐ見つかるよ!」

2022-05-31 21:41:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

迷った挙句、仲間も二人欠いてしまったことで、まゆたろうの不安が爆発してしまいとうとう泣き出してしまった。 「……とりあえず、カガミがいて良かったのう、まだ希望はある。」 「うーん、でも僕の千里眼でも砂漠以外は未だに見えないよ…どれだけ広いのさ、この場所。二人の姿も見えないし。」

2022-05-31 21:42:00
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「もう嫌です、こんなのぉお!ふぇーん!」 「ちょ、マルガリィタさんまで泣かないでよ!……!ちょっと待って、マルガリィタさんならコンパス作れるんじゃない?」 マルガリィタが泣き出したことで、プティは可能性を見出すことができたようだ。

2022-05-31 21:43:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

コンパスを利用すれば少なくとも方角を知ることができる。 砂漠エリアは森林エリアの北にある、つまり南に行けば草原エリアに戻ることができる。 こんな単純なことに今更気づくなんて、と反省しつつプティはマルガリィタに問う。 「こんぱすぅ?ぐすん。」

2022-05-31 21:44:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「ほら、最悪二人はミューさんと★兎さんがいれば必ず見つかると思うし、合流すればなんとでもなるよ!魔法の設計図とマルガリィタさんの能力でできないかな?」 「わ、わかりましたぁ、や、やってみますけど期待しないでくださいぃ。期待が重いぃ。」 「ゆっくりでいいよ、大丈夫。」

2022-05-31 21:45:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「じゃあ、少し休みながらマルガリィタの仕事を待つとするかの、丁度あそこに岩で影ができておるしのう。」 「賛成!」

2022-05-31 21:46:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

本人は自信がないようだが、これまでマルガリィタには様々な物質を作成してもらった実績がある。今回もしっかり仕事を熟してくれるくれることだろう、とマルガリィタ本人以外は彼女のことを信頼していた。 希望が見えたことにより、一同も少しではあるが活気を取り戻す。

2022-05-31 21:47:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

しかし、現実はそう甘くはなかった。最悪な一日は、とことん最後まで最悪な一日なのだ。この場にいる全員は思い知ることになる。 「…!!誰!?」

2022-05-31 21:48:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「本日ハ晴天?トテモ良イ天気。初メマシテ。コンバンワ。ゴキゲンヨウ。妹?安全、誰?怖イ。ソレトモ?母、言ッテタ。君ガソウ?多分?自分?名前、プロトタイプ。ラシイ?君ラガ言ウ。ボス…ダヨ?」

2022-05-31 21:49:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「……引き返しましょう。」 「どうしたんだい?★兎君、まだぜんぜん進んでいないよ。」 一方★兎が率いるチームは順調に探索を進めていた。 しかし、★兎が突然探索にストップをかける。

2022-05-31 21:51:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「もう一つのチームから死相が出ています。」 「!それは本当かい?」 「はい、ですがまだ間に合います。急いで合流しましょう。みなさんもよろしいでしょうか?」 「ええ、問題ないわ。早く合流しましょう。」

2022-05-31 21:52:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

仲間のピンチに誰も迷わず即答する。 こうして★兎率いるチームは合流を目指して来た道を引き返すのであった。

2022-05-31 21:53:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

(やばいやばいやばいやばい) 見ただけでわかる、今まで相対してきた中で一番危険な魔物であると。 自らをボスと名乗るこの魔物は、人型をしていた。

2022-05-31 21:55:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

だが、人間とは全く違うその姿に全身が拒絶反応を起こすかのように震える。全身が真っ黒であり、身体のところどころが溶けているようで黒い液体をこぼしている。胸元には大きな穴があり、そして一番目を引くのは目が一つだというところだろう。 ぎょろりとした目玉がこちらを見るたび背筋が凍る。

2022-05-31 21:56:00