エンターテインメントロイヤー 四宮隆史弁護士が語る 映画と法律 著作権その4

アメリカ在住のプロデューサー 伊地知氏の質問“Work for Hire”に該当するものは日本にあるのか? とそれに対する四宮弁護士の回答をまとめました。
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伊地知徹生 @IjichiTetsuki

@ebisukara5hun アメリカで言う Work for Hire、監督も含めて、雇用契約って現在の日本の映画界で採用されていますか?あるいは、別の内容でしょうか?

2010-05-06 01:03:12
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伊地知さんが質問された"Work for Hire"は日本ではなんと訳されているのでしょうか? RT @ebisukara5hun

2010-05-06 10:04:07
四宮隆史 @ebisukara5hun

@chimumu Work for Hireは、法律用語としては「法人著作(または職務著作)」に該当します。これが契約書のタイトルだとすれば「雇用契約」「(監督業務や脚本執筆業務の)業務委託契約」等と翻訳される場合が多いですね。

2010-05-06 10:08:41
四宮隆史 @ebisukara5hun

@IjichiTetsuki "Work for Hire"に該当する契約は存在します。また法律上もこれに該当する制度があります。特に映画の著作物の場合は、こう規定されています・・・

2010-05-06 09:49:31
四宮隆史 @ebisukara5hun

@IjichiTetsuki 「著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する」。著作者とは監督やプロデューサーを意味します。監督が「製作への参加の約束」をした場合は、著作権は「映画製作者」に帰属します。

2010-05-06 09:50:32
四宮隆史 @ebisukara5hun

@IjichiTetsuki どういう場合が「参加の約束」になるかは一概には言えませんが、「監督業務を請け負います、報酬をもらいます、追加報酬ももらいます」という内容の契約をすれば自然と「参加の約束」になり、著作権は映画製作者のものとなります。

2010-05-06 09:51:36
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そもそも著作権は監督やプロデューサーに属しているが、「参加の約束」(簡単に言うと雇用契約)によって製作者(実質的には出資者)に移動する、という理解でよろしいでしょうか? RT @ebisukara5hun

2010-05-06 10:01:02
四宮隆史 @ebisukara5hun

@chimumu そうですね。旧著作権法では監督に著作権がありましたし、監督やプロデューサーは「著作権者」ではないけど「著作者」ではありますから。でも監督やプロデューサーに著作権が分散すると著作物の利用が阻害される・・・だから映画製作者に一元化しよう、というのが法律の趣旨です。

2010-05-06 10:05:45
伊地知徹生 @IjichiTetsuki

@ebisukara5hun つまり「参加」するというのは映画製作者からの「雇用」に同意するということですね?

2010-05-07 00:01:12
四宮隆史 @ebisukara5hun

@IjichiTetsuki その通りです。ただ言葉の問題ですが「雇用」と「業務委託」は厳密には法律上別の扱いを受け、前者は「期間が長い労働状態」を推測させ、労働法の規制を受ける可能性があります。前者がemployで後者がengageかhireという感じでしょうか

2010-05-07 08:43:38
四宮隆史 @ebisukara5hun

@IjichiTetsuki 映画の契約は"engagement agreement"や"work for hire"といった一時的な契約が多いですよね。イメージとしては「雇用」より「業務委託」の方が近いかと。前後者の違いは労災が下りるか、等。日本にはギルドがないですからね。。

2010-05-07 08:50:23