molbio08先生と一緒に学ぼう

ワクチンの種類をわかりやすく説明しています。また、mRNAの問題点も。
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molbio08 @molbio08

専門分野は分子腫瘍学・分子生物学。抗体を活用した研究を行ってきました。腫瘍免疫は重要なテーマなので免疫学も守備範囲。大学で教えています。

molbio08 @molbio08

いろいろ質問がありましたので、ここでワクチンの種類について説明しておきます。最強のワクチンは生ワクチン。これは弱毒型の感染力を持つウイルスを増やして接種するものです。弱毒型ウイルスが先祖帰りをしてしまうことがあるため、開発は難しく成功すると開発者の名前がつきます。

2022-05-07 14:55:26
molbio08 @molbio08

次は不活化型ワクチンです。ウイルスを大量に増やして精製した後で変性処理を行います。この処理で感染力はなくなりますが、ウイルスタンパク質がある程度変性する、つまり形が変わってしまうため抗体は誘導できるもののできた抗体が元のウイルスの抗原を認識するかどうかが課題となります。

2022-05-07 14:59:25
molbio08 @molbio08

不活化型ワクチンではウイルス全体を使いますが、ウイルスの一部のタンパク質を遺伝子工学技術を使用して大量に製造し、アジュバントと一緒に接種するのがコンポーネント型ワクチンです。ノババックスのワクチンはコンポーネント型です。アジュバントの選択が難しくアジュバントが副反応をおこすことも

2022-05-07 15:03:54
molbio08 @molbio08

アジュバントとは免疫増強剤のことです。これを加えるのはタンパク質だけでは効率よく抗体ができないためです。ここまでのワクチンは従来型のもので、免疫のしくみも単純で生体からは異物として認識されて抗体ができたり細胞性免疫ができたりします。最後のカテゴリーは遺伝子型ワクチンです。

2022-05-07 15:08:11
molbio08 @molbio08

これには皆さんご存知のmRNA型アデノウイルスベクター型が含まれます。遺伝子型では、今回のものではスパイク遺伝子を細胞に導入します。接種された人の体内の細胞内で遺伝子が発現しスパイクタンパク質が細胞内で合成されて抗原になり抗体ができます。細胞内でスパイクを合成するのが問題です。

2022-05-07 15:11:14
molbio08 @molbio08

細胞には抗原提示という機能があって、その時々にどんなタンパク質を合成しているのかを免疫細胞に通知しています。具体的に言うと合成されたスパイクタンパク質を断片化してMHC分子という膜タンパク質の細胞外に突き出した突起の部分にくっつけて細胞外に提示します。

2022-05-07 15:14:52
molbio08 @molbio08

この機能はなぜ必要かというと人類の歴史はウイルスとの戦いの連続であったためウイルスが感染した細胞を早く見つけて殺してしまう必要があったからです。免疫システムの重要な機能はウイルス感染細胞を殺すことです。自然免疫や抗体でウイルスを不活化するのに失敗するとウイルスは細胞に感染します。

2022-05-07 15:18:20
molbio08 @molbio08

ウイルスが細胞に侵入してしまうとウイルスは大量に増殖し細胞を破壊して次々に感染拡大していきます。そうなる前に感染した細胞を殺してしまえば細胞も失われますが感染拡大を防げるわけです。スパイクタンパク質はコロナウイルス由来のタンパク質ですので、通常はこれを発現する細胞は除去される。

2022-05-07 15:21:45
molbio08 @molbio08

抗原提示の問題は細胞性免疫ができた後で問題になることですが、導入されたRNAを細胞が外来遺伝子だと認識するしくみは最初から問題になります。これを解決したのがシュードウリジンを用いて合成したRNAを使用することです。mRNA型ではどちらもシュードウリジンを使用することで問題を解決しています。

2022-05-07 15:30:20
molbio08 @molbio08

ここで一回目の接種から三回目の接種まででどのようなことがおきるか考えてみましょう。一回目の接種では既に感染したことのある人ではmRNAを発現する細胞は細胞性免疫によって徐々される現象がおきます。感染していない人ではこの現象はおきないでしょう。二回目接種では何がおきるのでしょうか。

2022-05-07 15:34:03
molbio08 @molbio08

細胞に抗体が結合したものはナチュラルキラー細胞というリンパ球の一種に攻撃されます。これが体内のあちこちでおきるわけです。もしも免疫抑制効果がないと大変なことになります。実際には免疫抑制効果があるため、免疫抑制が効かない人だけに重篤な副作用が生じているようです。

2022-05-07 15:39:40
molbio08 @molbio08

三回目では何がおきるのか?この段階では細胞性免疫ができていますので、キラーT細胞とナチュラルキラー細胞のダブルキャストでmRNAからスパイクタンパク質を合成している細胞は攻撃されます。二回目よりも免疫抑制のハードルは上がるわけです。つまり、mRNA型では免疫抑制が必須です。

2022-05-07 15:43:15
molbio08 @molbio08

これがまとめです。従来型のワクチンでは単に抗原を外から投与するだけなので通常の免疫反応がおきて終わりです。ところが遺伝子型ワクチンでは細胞内で抗原を作らせるため外来遺伝子が異物と認識されないようなしくみと免疫抑制のしくみの両方が必要になります。ここがポイントです。

2022-05-07 15:47:01
molbio08 @molbio08

mRNA型では誘導されたスパイクタンパク質の抗体がウイルスの変異によってウイルスを中和する効果がなくなっても免疫抑制の効果は残ることになります。免疫抑制がなぜ良いのか。それはCovid19の最終局面はサイトカインストーム、つまり免疫の暴走だからです。抗体が効かなくなっても免疫抑制だけが機能

2022-05-07 15:50:13
molbio08 @molbio08

免疫回避型のオミクロンに対するmRNA型生物製剤の効果は抗体によるウイルスの中和というよりは副産物である免疫抑制効果による重症化の抑制だと考えています。免疫抑制効果があればコロナでは死ににくなるものの、他の病気には弱くなるということが現実化しているのではないでしょうか。

2022-05-07 15:52:49
molbio08 @molbio08

打てば打つほど感染拡大しているのも免疫抑制効果のためでしょう。しかし、ブースター接種すると免疫抑制効果でコロナ感染時の免疫暴走が抑えられて死ににくくなる。感染しやすくなるもののコロナでは死ににくくなるというパラドックスがこれで説明できます。これでは、まるで中毒状態です。

2022-05-07 15:56:58
molbio08 @molbio08

ノババックスを接種しても武漢型スパイクの抗体が増強されるだけでmRNA型のような免疫抑制効果はない。したがって、あまり効果はないでしょう。効果があるとするとスパイクタンパク質のRBD以外の部分に対して形成された細胞性免疫を強めることだけ。

2022-05-07 15:59:29