昭和天皇の憲法観の背景について 東方昭和伝 第十五章「岡田内閣と天皇機関説問題(後編)」に関しての北条久奈さんからの補足

とりあえずまとめるだけまとめておく。 まとめタイトルと解説文誰かもっとわかりやすいやつに変えていただけるとありがたい。
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マルベリー公 @D_o_Mulberry

東方昭和伝 第十五章「岡田内閣と天皇機関説問題(後編)」(1/2) (25:18) #nicovideo #sm12666097 http://t.co/J4qMBDEk 観終わった。昭和天皇の憲法観の背景について若干コメで補足

2011-09-20 20:49:27
マルベリー公 @D_o_Mulberry

動画のコメで補足したことだが、もう少し詳しく。清水澄は学習院教授であり大正時代に東宮御学問所で当時皇太子であった裕仁親王に法制学を講義している。裕仁親王が東宮御学問所を御修了なさった後も、さらに昭和天皇として御即位された後も、清水は昭和天皇に御進講を続けている。

2011-09-20 21:26:12
マルベリー公 @D_o_Mulberry

清水は帝国憲法第三条の「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」について、天皇が主権を持つということは天皇が法の源泉であるので法の拘束を受けないという意味に解する。これは天皇機関説の天皇が法的に無答責であるとの解釈と変わるところはない。

2011-09-20 21:26:23
マルベリー公 @D_o_Mulberry

また、国務大臣の輔弼責任について、清水は、天皇が国務大臣の輔弼なしに権能を行使することを「帝国憲法の正条に照らして、畏れながら違法」であるとする。大臣の意見が天皇に採用されない際は、大臣が辞職するか天皇の意見に従うべきであるとしている。

2011-09-20 21:26:41
マルベリー公 @D_o_Mulberry

一方で、天皇機関説においては天皇の無答責性は常に国務に際し国務大臣の輔弼を受けるからこそ来るのであり、大臣の意見が天皇に採用されない場合、大臣は辞職するほかないが、天皇の意見が採用されるとは限らない。新たな大臣が天皇と意見を同じくするとは限らないからである。

2011-09-20 21:27:04
マルベリー公 @D_o_Mulberry

この点において、清水の天皇主権説と天皇機関説は違う。清水の天皇主権説の方が天皇の権能を大きく解釈していると言える。

2011-09-20 21:27:45
マルベリー公 @D_o_Mulberry

また、清水は議会について天皇は議会が否決したものを法律にすることはできないが、議会が可決したものについて不裁可とすることは法的には可能であるとする。しかし、慣例上そのような例はないとして、事実上不裁可もできないと論ずる。この点は天皇機関説とほぼ同じである。

2011-09-20 21:28:01
マルベリー公 @D_o_Mulberry

さらに、清水は陸海軍の編制常備兵額についても「国務大臣の輔弼」としており、やはり、この点も天皇機関説と同じである。ここから見るに、清水の天皇主権説は民本主義運動と矛盾するところはほぼなく、天皇機関説と同様に政党内閣に有利な学説である

2011-09-20 21:29:04
マルベリー公 @D_o_Mulberry

つまり、清水の学説は天皇主権説ではあるものの、内実は天皇機関説とほとんど変わりはなく、この清水の御進講により憲法学の素養を身につけた昭和天皇が、天皇機関説を擁護する発言をするのは当然であると言える。

2011-09-20 21:29:12
マルベリー公 @D_o_Mulberry

なお、動画コメでも言及した通り、清水は最後の枢密院議長として日本国憲法制定に携わり、新憲法の公布施行を見届けたのちに自殺している。一方、天皇機関説を唱えた美濃部は枢密顧問官として同じく新憲法制定に関ったが「占領軍に憲法改正の権限はない」として、枢密顧問官として唯一反対している。

2011-09-20 21:36:46