宮野真生子・磯野真穂『急に具合が悪くなる』読書メモ

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かんた @0sak1_m1d0r1

今ある自分の人生とはまったく別の一生を思い浮かべてみる。私が旅に出る醍醐味はこれに尽きます。 (『急に具合が悪くなる』23)

2022-06-19 21:04:22
かんた @0sak1_m1d0r1

私が「いつ死んでも悔いがないように」という言葉に欺瞞を感じるのは、死という行き先が確実だからといって、その未来だけから今を照らすようなやり方は、そのつどに変化する可能性を見落とし、未来をまるっと見ることの大切を忘れてしまうためではないか、と思うからです。 『急に具合が悪くなる』31

2022-06-19 21:08:15
かんた @0sak1_m1d0r1

かれらのいう客観的なデータは、一人で歩いて患者の元にやってくるわけではありません。それはある具体的な文脈に埋め込まれ、医療者の口から具体的な言葉でお話として語られます。 (『急に具合が悪くなる』39)

2022-06-19 22:11:28
かんた @0sak1_m1d0r1

皮肉にというか、おもしろいことにというか、こういう合理性に基づく知性を持つからこそ、人間は、偶然性に気づくことができます。 (『急に具合が悪くなる』94)

2022-06-23 08:08:53
かんた @0sak1_m1d0r1

なんだかとても皮肉なことだけど、不運という理不尽を受け入れた先で自分の人生が固定されていくとき、不幸という物語が始まるような気がするのです。 (『急に具合が悪くなる』116)

2022-06-23 08:10:34
かんた @0sak1_m1d0r1

整った、遊びのない言葉たち。会話のはずなのに、書き言葉にどんどん近づいてゆくが病気についての語りです。 (『急に具合が悪くなる』136)

2022-06-23 08:12:28
かんた @0sak1_m1d0r1

変化って、そんな劇的なものではなく、もっとぬるっとしてきて気がついたら変わっているようなものなのかもしれません。自分という存在もそんな確かなものじゃなくて、相手との関係のなかでその時々に変わり、そのつど気づかされるような、もっと曖昧なものじゃないかな。 『急に具合が悪くなる』140

2022-06-23 08:14:32
かんた @0sak1_m1d0r1

約束とは、そうした死の可能性や無責任さを含んだうえで、本来取れるはずのない「決定的態度」を「それでも」取ろうとすることであり、こうした無謀な冒険、賭けを目の前の相手に対して、「今」表明することに意味があるのだろうと。 (『急に具合が悪くなる』163)

2022-06-23 08:16:35
かんた @0sak1_m1d0r1

人の心を震わせる研究とは、他者のニーズを満たすそれでは決してありません。人生をかけて集められた資料たちが、その研究者の人生の軌跡の中で奇妙な発火を起こし、他の人が考えたこともないような世界を展開する。 (『急に具合が悪くなる』169)

2022-06-23 08:20:02