【ラッサン】福間健二 #k2fact334
ひとりの男の貧弱な秘密を転がして、それがぶつかるルールと緊張、どうでもいいわけはないが、お茶の時間。高いところで、遠い山が見える。終了したサービスがまだあると思っているみたいだ。単に不安定な座り方ではない。風と雲、浮かんだ名曲の途中から先がわからない。(ラッサン1)#k2fact334
2022-06-19 12:22:43ゆっくり行く。片隅で黙っているものに目でも触りすぎない。でも、消したり戻ったりはしない。肩があがらないように。断片の、とくに凝らない配置を、低い場所の草刈り機のブーンにわざと崩されて。他色に借りなしのむらさき、のぼってきた坂の不穏。詩人が百人ずつ縛り首。(ラッサン2)#k2fact334
2022-06-20 11:47:50生きのびた波が伝わる横断を見ていた。聴いておきたかった音を聴いていると思った。障害は二部形式の反復が灰色の木々をすべて年老いた母にすることからだとして、気温のあがる野を越えて、たどりついた街。まず、冷たい水。そしてエスプレッソか。降り方、なんでも大事だ。(ラッサン3)#k2fact334
2022-06-21 11:40:48夢のなかの点火。時間がたってから現実に火事が起きている。降りることができない階段の、血の気のない障害物と文字の列。だれかが蹴った。寓話がいやなのだ。解説がいやなのだ。箱を食べる火に言え。この間抜けな弟子は空っぽではなく、人を呼ぶために開いているんだよ。(ラッサン4)#k2fact334
2022-06-22 15:47:00彼には、おみやげをもって帰り、具のたくさん入った特別なうどんをはしゃぐ弟たちと食べるような故郷はない。音楽と絵画。二つの意味を考える。少年時代に作曲したさびしい旅。結局、そこから船には乗らなかった港の休憩所。雨あがり、スイカをごちそうになる。おいしかった。(ラッサン5)#k2fact334
2022-06-23 11:29:18難問がひとつ去り、赤い光の夕べの細道からのうねりを忘れて気の休まるとき。花よりも葉を愛し、テキサスのバーボンは切りあげてエキナセアのお茶。だれかの若さの秘密だという。そのだれかのファンだという人の生まれた場所の闇。アスファルトに名前のわからない虫がいる。(ラッサン6)#k2fact334
2022-06-24 10:27:07正しい通り道。おぼえていなくてはならない数字。旅人算をまちがえて追い越してしまった素朴さや純真さをふりかえるとき、うまく笑えるかどうか。名前を何度も変えた反抗的人間が水時計を見る。やることなくても包まれていたい作業用の空気。しばらく変身の必要がないように。(ラッサン7)#k2fact334
2022-06-25 16:46:38レッスンは延期して、なつかしい夜光の手首に触れようとするとやはりこの世での感情交換、自信を持ちすぎてはいけない。小さな台所、小さな庭、小声の「ぼくはきみを失ったのか」にも無邪気にぶらさがる小動物がいる。ふとったことが恥ずかしい。まだフリスカには入らない。(ラッサン8)#k2fact334
2022-06-26 17:36:08ラッサンとフリスカ。ゆっくりの哀愁から速度をあげて何をどうする踊りなのか。スタジアムの全体を視野に自分の好きなものはっきりさせて風を呼ぶ人のこれからすごく暑くなる日の午前十時七分に間に合う交錯のとにかくやるだけでいいとしたい勾配の痛みを旋律にするのです。(ラッサン9)#k2fact334
2022-06-27 10:40:28影絵の虫のいろんな動き。あるいは不自然を洗う手の指。「きみが好きだ」とだれに言っているのか。こっちはまだラッサンやっているのに早く来ちゃった夏の、光に追いつかれるしかない一本道の脱力論。頬、首、胸の順番だったよね。このぼくに秘密はない。地上に影を作るだけ。(ラッサン10)#k2fact334
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