おはなしのもと・2

多くて参照し辛くなったので新規作成。 ネタ帳、その2。
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酔宵堂 @Swishwood

其は遍く時と空に充ちたり。見聞き識ること何人にも能わず、誰に知られることとてなかれど、其は我等が始原にして終焉。円環の要、運命の廻し手たるは理。我等の願い尽き果て闇に蝕まれど、貴石の獄より導く手二つあり。いざや撰べ乙女、魂もて円環に還るや、ただ人に還りて塵界に根づくや。

2011-09-02 23:31:23
酔宵堂 @Swishwood

「ときどき、夢を見る。あれは——娘だ。わたしが若い娘達をよく招くのは、ひょっとしたら代わりに会ってやってくれってことなのかも知れないね」

2011-08-28 04:12:08
酔宵堂 @Swishwood

「現状で判明したことを報告しておくよ。候補者は比較的因果収束の大きいほうから五名。うち三名がキミ達と同じ教育施設に在籍している」

2011-09-12 02:50:21
酔宵堂 @Swishwood

「暁美……?」「……あああの時の、確か14年前か。記録されている最新の繁殖措置例だね」「そうか、それでこの収束値……なのか? 因子から算出出来る係数はここまで大きくない」

2011-09-12 02:57:47
酔宵堂 @Swishwood

知さんwithタッくんとリボほむが夕方のスーパーで鉢合わせてちょっと話すだけの話、とか

2011-09-14 14:03:08
酔宵堂 @Swishwood

んで、あれだよ、惣菜コーナーの常連だったりすんだよ。知さん見るに見兼ねてパパッと拵えるから持って帰れとかしまいにゃウチで食ってけとか云う訳よ。

2011-09-15 03:58:24
酔宵堂 @Swishwood

でさ、休みの日なんかに一家で買いもんしに来た時なんかにも会う訳さ。そんなこんなで詢子さんの強権発動と相成る訳だね

2011-09-15 04:02:21
酔宵堂 @Swishwood

いきなり娘が出来た! とかでも動じそうにないのがあの人の魅力ではあるが、荷物が割に少ないのもあったにせよ、今日云って来週には引っ越させようと云うのに振り回されても付き合える時点でそうあるもんじゃないですよほむらさん。

2011-09-15 04:12:44
酔宵堂 @Swishwood

「この部屋、ですか……」「そ。なァんか使おうって気にならなかったんだけどね。暁美さん……んー何か他人行儀だよね、うん、ほむらちゃん、でいいよね? 使ってくれるならそれで良いかなー、とか思う訳さ。どうだい?」「……良いんですか」「水臭いこと云うなって。もう家族だろ、あたしら」

2011-09-15 04:20:58
酔宵堂 @Swishwood

隅々まで掃除の行き届いた部屋。ぴん、と張り詰めたベッド。堪えきれずに倒れ込んだ枕から、いつかかいだ覚えのある匂いがした、そんな気がした。あの夢で、だったろうか。激昂して、泣きついて。縋り付いたその時に顔を埋めた、あの髪の匂いだったろうか。「あなたの……部屋だったのね」

2011-09-15 04:35:05
酔宵堂 @Swishwood

私が彼女達の秘密を知ったと云うよりは、思い出したと云った方が正しい。どうしても思い出せなかった友人の記憶。あの頃確かに和子だけでは無く、もう一人居た筈だ。そう云う違和感をずっと懐き続けてきたけれど、それが本当の記憶であったと、彼女らの存在を通じて知ることが出来たのだ。

2011-09-14 04:33:38
酔宵堂 @Swishwood

どう書いても詢子ママンが漢前過ぎる件

2011-09-15 04:22:20
酔宵堂 @Swishwood

「ま、これでも社長だしねえ。その辺はオトナとしてありがた~く活用させてもらったけど」娘同然の彼女は「父はわたしを嫌っている訳では無いのだ」と云う。ただ、どんな顔をして会えば良いかわからない、と。同じことを彼も考えて居るだろうが、立場に縛られざるを得まい。そう云う、名だった。

2011-09-14 04:24:52
酔宵堂 @Swishwood

秋も深まる頃のある日。彼女は毎年決まってその日、小さなケーキを買ってくる。訳を訊いたことがあるけど、妻と示し合わせたように微笑んで「女同士の秘密です」と、教えてくれなかった。ただいつも、切り分ける数と洗いものが一つ多くなる、そんな日だ。それはとても、自然なことだった。10月3日。

2011-10-04 02:51:52
酔宵堂 @Swishwood

エリーちゃんは知的好奇心の塊みたいな側面があって、「全てのことを知りたい」とかそんな願いで契約してアカシックレコードにアクセスできるようになった、みたいな。対峙した問題に対し最適の解法となる知識を導く能力、とかそう云う。生身だと割と戦力外だけど、ネット上ではほぼ無敵、とかとか。

2011-08-31 03:15:50
酔宵堂 @Swishwood

「ま、あたしはこっちの専門だからねー。実戦じゃあからっきしだけど、最近ネットにもあのハゲ湧いて出るからねえ」「しかし、収束値はネットワーク経由で計測可能なものなのかい? ボクらのアーキテクチャすら逸脱している気がするんだが」「あたしはそう云うの知りたくて契約したようなモンだよ?」

2011-08-31 02:57:17
酔宵堂 @Swishwood

大人気、と云う程でもない。ただまあ固定客と云うか常連は居る。「気が向いたらアカシックレコードからでも調べてくるよ」と云うのも満更大口でもないな、と云うような”どこで調べてくるんだ”みたいな偏った知識の宝庫、そこはまあそう云うサイトだった。名を「エリーのきまぐれ実験室」と云う。

2011-08-31 01:48:55
酔宵堂 @Swishwood

伝染性の幻覚/暗示。媒体は施術対象の眼。眼を通じて送り込んだ認識を、眼を媒介に伝播する。回りくどい方法ではあるが、確実に知るもの全てに暗示を行き渡らせる為には必要な措置だった。とにかく、自分と云う人間は存在しなかったと、かつての自分を知る人間には思わせる必要がある。さもなくば。

2011-09-02 02:17:52
酔宵堂 @Swishwood

この街には居たくない、いや居られない。だからあたしは、ここを離れることにしたんだ。荷物なんて、ザックに一つ、それっきり。昼間はこっそり眠って、夕方から起きだして。目の前に立ち塞がる魔獣は狩り尽くして、夜を走り抜ける。そんなむちゃくちゃな、旅とも云えない放浪。そんな、ある晩のこと。

2011-09-02 03:58:56
酔宵堂 @Swishwood

流石にちょっと多過ぎたか、な。港に近い、倉庫街で。とびきり濃い瘴気溜まりがあったもんだから、つい飛び込んじまったけれど。ひいふうみい……見えるだけで20からは堅い。多分保つけど、ミスは許されそうにない——参ったな、これ案外ピンチじゃん。しゃアない、肚括ってかかるかァ?! ……と。

2011-09-02 04:23:27
酔宵堂 @Swishwood

そう云えばちょうど街境で何度か隣街の魔法少女と手を組んだ——いや、実際は教えてもらってばっかりだったか。先代が全国廻るって云い出したから、最近は忙しいって云ってたっけ。「マミ、さん」何だよあたし、これって走馬灯って奴かい。なんて思ってたら、遠くからその音は聞こえてきた。鉄の鼓動。

2011-09-02 04:43:20
酔宵堂 @Swishwood

「こーゆーのはやっぱ、カタチだよカタチ」愛騎のハンドルに手を掛け、そう云って笑う。そして、それは堂々と。まっすぐ突き出した左手を、握り締める。指先に灯る、銀の炎。空を切って、二度三度。両腕を複雑に交叉させ、最後に左手を腹に当てる。そうして、前だけを見据えて小さく口にする。「変身」

2011-09-09 05:02:57
酔宵堂 @Swishwood

銀光の渦が去って。そこに立つのは、魔法少女と呼ぶにはあまりに武骨な——要所要所を黒鉄色のプロテクターに鎧われた白銀のスーツと、そこに隙間無く繋がったヘルメット、そして腰のベルト。その愛騎すらも変貌し、今や獰悪な鉄馬の本性を覆い隠しもしない。そう、それはまさに「仮面……ライダー?」

2011-09-09 05:22:55
酔宵堂 @Swishwood

「では、わたくしも」緑の光が少女を包み、それは古の民のトーガのように。余程魔法少女らしい姿である。優雅なドレープと蔓を編んだようなベルト、金属の気配は胸元の聖符しかない。「ほら杏子、貴女も」促されて、真紅を纏う。「今んとこ十匹と湧いてない。さっさと片付けるよ」銀の騎兵が宣言する。

2011-09-09 05:34:06
酔宵堂 @Swishwood

プログラム。この日の為の。本来の「わたし」が持って居た力を、或いはもっと大事なそれを取り戻す為に。あらゆる死を撥ね退けて、ただ闘いの傍ら演算し続けた答え。因果律の微かな隙間を割り開く、私だけの銀の鍵——

2011-09-05 12:44:20