アシッド・シグナル・トランザクション #5

ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

カラテの高まりを感じる……！

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【これまでのあらすじ】 ニンジャスレイヤーはセトの息のかかったエネアド社のヘッドオフィスに潜入した。エネアド社はネオサイタマを上から見た時、八角形になるようヘッドオフィスを配置していたんだ。つまり自身の建物を霊的アンカーにして魔術的力場を形成しカリュドーンに利用した事、もはや明白

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【これまでのあらすじ】 オフィスビルはリアルニンジャ所有の物件なだけあって不気味で魔術的なセキュリティで満たされていた。ニンジャスレイヤーとコトブキはそれらを事前の計画と機転で次々に打破。スフィンクス型UNIXメインフレームにまで到達した。だがその時、頭が黃金立方体のニンジャが……！

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咄嗟の防御で、アンブッシュのチョップが止まった。ニンジャスレイヤーの真後ろに突如出現したニンジャは折り目正しくスーツを着ており、その頭部は黃金の立方体であった。「ドーモ」ニンジャは黃金立方体の中からくぐもった声を発した。「ゴールデンドーンです」　0

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【アシッド・シグナル・トランザクション】#5 pic.twitter.com/ZWuJOp30xh

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「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは押し返し、アイサツした。「ドーモ、ゴールデンドーン＝サン。ニンジャスレイヤーです」「ニンジャスレイヤーだと？」ゴールデンドーンはエレガントなカラテを構えた。「ネオサイタマの始末屋が、宇宙的神秘の殿堂たる我が社のヘッドオフィスに何の用だ？」　1

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「知らんのか？それとも、しらばっくれているのか？あるいは知らされていないだけか」ニンジャスレイヤーは黃金立方体の頭を睨んだ。「何にせよ、おれ達はここで目的を果たす。そこで座って見ていろ。セトの犬め」「クフフ……面白い」ゴールデンドーンは両手をまっすぐに広げた。「我が主の名を！」 2

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「「イヤーッ！」」二者のカラテ・シャウトが重なった。ニンジャスレイヤーが踏み込むのと、ゴールデンドーンの頭の黃金立方体が光り輝き、虹色の円光が放たれるのは同時だった。ニンジャスレイヤーのチョップは空を切り、ゴールデンドーンは頭上の闇にアグラ姿勢で浮遊していた。「ジツは満ちたり」 3

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「ヌウッ……」ニンジャスレイヤーは警戒した。虹色の光を帯びた、ガラスめいて透明な何かが出現した。(((これはフドウ・ピラミッド・ジツ！警戒せよマスラダ！)))ナラク・ニンジャが警告した。(((力場を形成し圧殺するジツ！かような番犬ごときがほしいままにする力ではない)))（打開策を示せ） 4

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(((ジツ使いを殺せば万事解決！)))「イヤーッ！」ゴールデンドーンは空中アグラ姿勢のまま、伸ばした両手を奇怪に旋回させた。(((……だが敵が力場の外に身を置いておれば通常それはかなわぬ。力場はオヌシをめがけて集束し、密度を高める。密度が高まる前に力場をカラテで破るのだ)))「イヤーッ！」 5

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SMAAASH！ニンジャスレイヤーは透明の壁を殴りつけた。亀裂が生じる。確かにそれは密度を増して集束する三角錐の力場なのだ。「イヤーッ！」SMAAASH！二度目のカラテで力場は薄氷めいて砕け散り、きらめきながらパーティクルと化した。(((よいぞ。殺すべし！))) 頭上にはゴールデンドーン！　6

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「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは突進し、カラテを振るった。コトブキを圧殺せんとする四角柱状の集束力場をめがけ！KRAAASH！力場が破砕し、コトブキは怯んだ。(((おろか！千載一遇の反撃好機であった)))ナラクの叱責と共に、ニンジャスレイヤーの周囲に新たな円柱力場が出現した。　7

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「ニンジャスレイヤー＝サン！」コトブキが円柱力場に駆け寄り、ドンドンと叩いた。ニンジャスレイヤーは円柱力場を内側から殴りつけた。上から見下ろすゴールデンドーンは不気味な笑いを降らせた。「クフフフフ！成る程、初手にて力場を破るとは侮れぬカラテの持ち主！だが、もはやオーテ・ツミだ」 8

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「イヤーッ！イヤーッ！イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは力場を繰り返し殴りつける。電話ボックスめいた形状の力場は殴られるたびに白化しながら、しかし壊れる事はない。そして徐々に縮小してゆく。「卑怯ですよ！降りてきなさい」「ではお前が私の相手をするかね？機械人形よ」「望むところ！」　9

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「フン……そうしてやるのは容易いが、誘っておるな。ジツの集中を減ぜしめんと？我が答えは否」ゴールデンドーンは誘いに乗らなかった。「まずは専らニンジャスレイヤーに集中し、安全に圧殺したうえでお相手しよう。イヤーッ！」力場縮小！ニンジャスレイヤーは内側から押し返す！「イヤーッ！」　10

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ゴールデンドーンはアグラ姿勢でジツに力を注ぎこんだ。「イヤーッ！イヤーッ！イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは繰り返し殴りつけた。ゴールデンドーンはジツで抗する。じわじわと障壁は縮小する。コトブキは髪留めを引きちぎるように外し、頭上のゴールデンドーンめがけ投擲した。「ハイヤーッ！」11

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ウキヨの力で投げれば髪留めとて凶器。だがゴールデンドーンはアグラ姿勢のまま空中を横にスライドし、髪留めを難なく躱した。万事休す？否！「イイイイヤアアーッ！」KRAAASH！その一瞬の交錯の隙をつき、ニンジャスレイヤーは障壁を破った！逆転！否！「イヤーッ！」新たな力場がすぐさま出現！　12

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「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーはスリケンを投げた。だがピラミッド状の力場は密度を増しながら縮小を開始、スリケンを受け止めながら迫ってきた。「オーテ・ダブル・ツミだ！」ゴールデンドーンはジツに力を注いだ。「まとめて圧殺してしんぜよう！セト神に栄光あれ！イヤーッ！」集束加速！　13

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ナムサン！もはや障壁外からゴールデンドーンを邪魔できる者なし！コトブキは身構え、ニンジャスレイヤーは赤黒の眼光を燃やした。「しゃがんでいろ」「しかし……」「スウーッ……フウーッ」ニンジャスレイヤーは深く呼吸する。コトブキは緊迫した表情でとにかく頷き、しゃがんだ。障壁は迫る！　14

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……その時、コトダマ空間では！『ナンシー＝サン！頼む……！』頭上で冷たく自転する黃金立方体の光を受けながら、タキは煮え立つ混沌の球体に向かって呼びかけるしかなかった。『私、ナンシーよ！そんな玉じゃないわ』子供ナンシーがタキを叱り、耳をつねった。『やめろ！』『フワア……』泣！　15

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『違う……違う。お前じゃねえんだ』タキはぐっと堪え、子供ナンシーを持ち上げて機嫌を取った。『大変なんだ。今。ヤバいんだよ。おじさん達も、お前もな……』顔の横の闇にはコトブキから共有されているノイズ混じりの視界が表示されている。ニューロン速度下、二人にゆっくりと迫る障壁が。　16

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『なあ、お前は凄いハッカーなんだ、ナンシー＝サン。出来るはずなんだよ』『なんでもできるよ！』『そうだよな？いいぞ。あとでキャンディやる。だからな、今、奴らはエネアド社のメインフレームにディスクを挿したから、ちょっくらそこからセトの……』『うん、できる！』タキは瞬きした。ダメだ。17

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『スゴイな』『うん、スゴイよ！』得意がる子供ナンシーを、タキは電子格子模様の地面に降ろした。（ダメに決まってら。オレのアホ）彼は自分のこめかみを殴った。そして混沌の球体に向き直った。煮え立つ闇。ナンシーの殆どが、セトと共に、この中に。いずれフラットラインし、そして死ぬだろう。　18

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（姉貴）奥歯を噛みしめるタキの表情が歪んだ。（そこは、どんなだ。ニューロンが焼ける時、寒かったか。それとも、寒さを感じる暇もなかったか。オレがスットロく寝てる間によ……）タキは鼻を啜った。黃金立方体は冷たく自転する。『……ニンジャスレイヤー＝サン』彼は震え声で呼びかけた。　19