DS一話文章化テスト

タイトルの通り。個人用のメモ書きです。
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日谷涼ちゃんは三十路畑の住人だからね。 @spindream0911

「では次の方、どうぞ前へ」  並んでいるオーディション参加者の中で、一際小さな女の娘が大きく一歩を踏み出した。 「はいっ! 12番日高愛です、よろしくお願いします!」  審査員と参加者に挟まれて、愛は大きく身体を動かし一所懸命に声を出す。

2011-09-23 20:53:58
日谷涼ちゃんは三十路畑の住人だからね。 @spindream0911

いくら才能がないって言われても、夢を叶えたい。あたしだって、いつかきっと。そんな想いを込めながら、ただひたすらに歌い続ける。

2011-09-23 20:54:23
日谷涼ちゃんは三十路畑の住人だからね。 @spindream0911

 青空の下、街路樹に挟まれて。愛は一枚の紙を取り出した。 「さて皆様、こちらをごらんください」  あたり一面には愛以外の人影もなく、誰に伝えるでもない言葉を洩らす。 「なんのヘンテツもないオーディション参加用紙がたちまちヒコーキに変身!」そう言いながら、愛は紙を折り始める。

2011-09-23 21:03:48
日谷涼ちゃんは三十路畑の住人だからね。 @spindream0911

そうして手の中に現れた紙飛行機を、そっと空へと飛ばした。「はたしてこの魔法のヒコーキはどこまで飛べるのでしょうか?」  空へと飛び出した紙飛行機は一メートルほど離れた所で安定性を失い、ゆらゆらと揺れながらアスファルトの地面へと墜落していった。

2011-09-23 21:06:35
日谷涼ちゃんは三十路畑の住人だからね。 @spindream0911

「残念、落ちてしまいましたー」言うが早いか落ちた紙飛行機を回収し、両手で頭を抱えた。 「……なーんて。まったく、何やってんのよあたしのばかばか! これで一次テスト落ちたの、何回目かなぁ?」  人気のない街路樹を抜け、歩行者も多いショッピングモールを歩きながら、指を折って確認する。

2011-09-23 21:14:52
日谷涼ちゃんは三十路畑の住人だからね。 @spindream0911

その数が増えるたびに、愛の瞳はじんわりと濡れていった。  そんな暗い気持ちを吹き飛ばすかのごとく、愛は大きく首を振り、両手を空に突き出した。 「今日はおなかがすいてただけだもん! 次こそは受かるもん!」つい、叫んでしまった。  周囲にいた歩行者が、何事かと愛に視線を集める。

2011-09-23 21:20:17