がん検診の検診間隔、機会平等についての議論。
city.nagoya.jp/kenkofukushi/p… 名古屋市の #がん検診 推進事業において #乳がん と #子宮がん は検診回数を「2年に1回」の隔年に制限されています。厚生労働省の委員会指針が根拠で職員の方と電話で話しましたが「毎年がダメな理由」が判然としない。 だれか説明できませんか? #塚本つよし #名古屋市中区
2022-07-29 17:12:44@1192mizuho こんにちは。直観的には隔年より毎年検診するほうが見落としが少なく、良さそうに思えますよね。しかし、実際には、直観に反して、毎年検診をしたからといって必ずしもがん死を減らせることはできるとは限りません。
2022-07-30 00:43:18@1192mizuho がん検診にはがん死の減少といった利益と同時に偽陽性や過剰診断といった害があります。検診間隔を密にしすぎると利益よりも害が大きくなります。毎年検診をすれば医療機関は儲かりますが、検診を受ける人たちのためには、できるだけ利益を大きく、害を小さくする最適な検診間隔が望ましいのです。
2022-07-30 00:44:15@1192mizuho 海外でもおおむね乳がん検診は隔年が推奨されています。子宮頸がん検診は、日本で主流の細胞診による検診は毎年でも隔年でもなく3年毎の推奨だったりします。まとめると、「毎年がダメな理由」は「検診による害が大きくなるわりに利益がないか小さいから」です。以上です。
2022-07-30 00:45:03@NATROM 「検診による害」って言葉に変えると何ですか?厚労省の職員さんとも話をして結局ここが分かりませんでした。毎年でも放射線の曝露は適正で、擬陽性も率が高まるわけではなく、毎年にすると何が「害」なのでしょうか?医療費ですか??利益=発見のチャンス、ですよね。そのために早期発見を謳ってる。
2022-07-30 11:56:01@1192mizuho リプライありがとうございます。検診の害はわかりにくく、一般の方に伝えるのが難しいです。医師でも理解していない人が多数います。こうして質問していただけるのはありがたいです。
2022-07-30 13:12:21@1192mizuho 検診に害があることは専門家の間では議論はありません。"All screening programmes do harm(すべての検診プログラムには害がある)"という有名な警句があるぐらいです。
2022-07-30 13:12:32@1192mizuho 検診の害は多岐にわたります。すべてを挙げることはできませんが、たとえば、偽陽性や過剰診断、検査にともなう合併症や心理的・身体的負担などです。放射線被ばくも害の一つですが、相対的には小さいです。子宮頸がん検診には放射線被ばくはありませんし。
2022-07-30 13:12:47@1192mizuho 「擬陽性も率が高まるわけではなく」というのは意味がよくわかりません。隔年だったがん検診を毎年やれば、偽陽性が生じる率がたとえ変わらなくても、偽陽性の数は二倍になります。それでも、その増えた害に見合うだけの利益があるなら検診をやる価値はありますが、必ずしもそうではないのです。
2022-07-30 13:13:06@1192mizuho よく誤解されるところですが、医療費の問題をまったく抜きにしても、言い換えれば医療費が無限にあったとしても、検診をやればやるほどよいわけではありません。医療費が無限にあっても、適正な検診間隔というものがあります。
2022-07-30 13:13:20@1192mizuho たとえば、USPSTF(米国予防医学専門委員会)は、推奨グレードの決定にあたって医療費を考慮していません[ uspreventiveservicestaskforce.org/uspstf/about-u…] 。
2022-07-30 13:13:33@1192mizuho USPSTFは医療費ではなく臨床的有効性の科学(the science of clinical effectiveness)に焦点を当てています。そのUSPSTFは細胞診に基づく子宮頸がん検診は3年毎を推奨しています[ uspreventiveservicestaskforce.org/uspstf/recomme… ]。
2022-07-30 13:13:54@1192mizuho つまり「検診を毎年やれば被験者の正味の利益はプラスになるけど、お金がかかりすぎるから推奨しない」のではなく「お金の問題を抜きにしても、検診を毎年やるのは被験者の利益にならない」と判断しています。3年毎が被験者の正味の利益が最大化されると判断されています。
2022-07-30 13:14:14@1192mizuho 「利益=発見のチャンス」というのもよくある誤解です。がん検診の利益は、一般的に、発見数ではなく、がん死の減少で評価されます。がんを発見できても、がん死を減少させなければ利益ではありません。このあたりも、医師でも誤解している人が多数いるところです。
2022-07-30 13:14:34@1192mizuho がん死の減少を伴わないがんの発見は、むしろ、利益よりも害が大きいことが多いです。生涯、症状を呈さないがんの発見(過剰診断)や、検診で発見してもがん死を回避できないがんの発見などがそうです。長くなりました。以上です。
2022-07-30 13:15:04@NATROM 『検診を毎年やるのは被験者の利益にならない」と判断しています』とのことですが、そうであれば、乳がんと子宮がん以外のがん検診も「2年に1回」もしくは「3年に1回」にすべきではないですか?? 乳がんと子宮がんだけ「2年に1回」になっている、その「違いの理由」を教えてもらえませんか?
2022-07-30 15:04:09@1192mizuho ご質問ありがとうございます。それぞれのがん検診で推奨される検診間隔が異なる理由は、がん腫の種類や検査方法や被験者の背景がそれぞれ異なるからです。すでにリプライがあるように、どのようながん検診でも一律の検診間隔とするほうがおかしいです。
2022-07-30 18:17:41@1192mizuho 細部をご説明しはじめたらきりがありませんが、それぞれの検診の推奨には臨床的根拠があります。大雑把なイメージでよいなら、「便潜血による大腸がん検診は比較的害が小さく、また偽陰性もわりとあるので隔年よりも毎年がよい」という感じです。
2022-07-30 18:18:06@1192mizuho 胃がん検診は検査方法で推奨される受診間隔が変わります。現時点では、内視鏡なら2年に1回、従来の胃部エックス線検査なら年1回実施可とされています。内視鏡だと小さい胃がんも発見できるので2年に1回でよい、というイメージで考えればよろしかろうと思います。
2022-07-30 18:18:55@1192mizuho 海外の例では、HPV検査による子宮頸がん検診では5年毎、全大腸内視鏡による大腸がん検診なら10年毎といったぐあいです(どちらも結果が正常だった場合)。新しい臨床的根拠が出てきたら推奨もアップデートされます。日本の胃がん検診がそうであったように。
2022-07-30 18:19:32@1192mizuho 仮に「乳がん検診を毎年したほうが隔年よりも正味の利益が大きくなる」という新しい臨床的根拠が出てきたら、乳がん検診も毎年されるようになると思います。逆に言えば、臨床的根拠もないのに思い付きで毎年の乳がん検診を推奨してしまうと、多くの人が検診による害を受けます。以上です。
2022-07-30 18:20:23@NATROM 『がん死の減少を伴わないがんの発見は、むしろ、利益よりも害が大きいことが多いです。生涯、症状を呈さないがんの発見(過剰診断)や、検診で発見してもがん死を回避できないがんの発見などがそうです。』 これはがん検診のことを言っているのですか??がん検診自体を否定する文面に読めますが。
2022-07-30 18:33:16@1192mizuho ホントにいろいろですが、たとえば乳がん検診だと、検診間隔が異なるランダム化比較試験を総合すると検診間隔が短いからといってより大きな利益があったわけではないとか、検診間隔を年に1回から2年に1回に変更しても乳がん死亡率に差がなかった観察研究とかです。
2022-07-30 18:55:46@1192mizuho がん検診自体を否定しているわけではありません。がん検診は、がん死を減らすという利益があるけれども同時に害もあるという話をしています。推奨されているがん検診は害よりも利益が大きいです(だからこと推奨されている)。有効なワクチンでも、副作用(害)はあるでしょう。それと同じことです。
2022-07-30 18:58:46