"妬み"はかつて公平社会であったサピエンスの部族社会における分け前獲得戦略

そして「うつ」は、妬みによる不平が通じない上位存在に対して、自身を”去勢”するためのいわば自己欺瞞の機能を持つ。
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

進化心理学で"妬み(envy)"という感情システムの機能をリバースエンジニアリングすると、「分け前をよこさせる」感情だとわかる。これは怒りに対する防衛反応としての意気消沈から進化した「罪悪感」(sense of guilt) につけ込むもので、自分が得てもおかしくなかった権利を暗に主張する。 twitter.com/endBooks/statu…

2019-09-09 13:47:17
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

サピエンスの部族社会は狂信的なほどの公平社会なので、仲間である証として"分け前をちょっとよこせ"という権利感覚が発達していた。その怒り(=妬み)に対してやだね、と拒絶すると「こいつは欲張りだ」と噂を流されてしまい、評判選択で不利になる。

2019-09-09 13:49:53
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

だが「分け前をちょっとよこせ」の妬み(=怒りの権利)の要求があまりに酷すぎても、それは要求者側が「ワガママ」となり、逆に不利になってしまう。 このように社会心理学が集めたデータを、進化心理学は生物学的な機能(function)の面から解析する

2019-09-09 13:53:29
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

この書籍では「自分と境遇が似ている相手」に対して妬みは発動しやすい、と結論しているらしいが、進化心理学のリバースエンジニアリングによる強力な予測によると、おそらく「IFの未来で相手ではなく自分が得ていてもおかしくないと客観的に周囲からみなされるラッキーな利益」に対し妬みは起動する。

2019-09-09 13:55:38
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

進化心理学(EvoPsy)と社会心理学(SoPsy)の最も大きな差異は、SoPsyが統計データを取るところから帰納的に始めるのに対し、EvoPsyは「進化」という自然の統計プロセスがすでに遺伝子の生存にとって最適な結果を出していると考え、そこから演繹して、システムの機能(function)をまず特定すること。

2019-09-09 14:00:49
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

進化心理学の創始者であるコスミデス&トゥービーの言う「進化は自然界のビッグデータを利用した統計プロセスである」、という考え方を理解せずに、EvoPsyのリバースエンジニアリングという手法の効力を疑問視している学者というのは意外に多い。 pic.twitter.com/izT8clusxk

2019-09-09 14:09:45
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

進化によるデザインは、遺伝子の淘汰に基づくので、ほぼかならずなにかの機能(function)を生み出している、ということをまず知っておくべきだ。たとえば性淘汰によるデザインも、モテるという生命体にとってこの上なく有用な機能を生み出している。

2019-09-09 14:27:04
佐藤 ゴウ|Sato Go @satougou1

@selfcomestomine 「進化は自然界のビッグデータを利用した統計プロセス」ってとても面白い考え方だと思いました。 生物の進化と生き残りは言うなれば「偶然(たまたまそのように進化した種が生き残っただけ)」で、 その膨大な偶然の繰り返しの中から最適な機能が編み出されていく ということなのですね。

2019-09-10 21:09:57
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

@satougou1 そうですね! ただ、進化は偶然ではなく、非偶然のプロセスです。進化生物学者R.ドーキンスは、自然選択理論のポイントはそれが「ノンランダムプロセス」であるということを理解することだと言っています。 ランダムな突然変異→ノンランダムな自然淘汰で進化が起きます! biola.edu/blogs/good-boo…

2019-09-10 21:17:13
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

@satougou1 つまり、生き残った者や子孫を残せた者だけでなく、死んだ者や異性を獲得できなかった者でも子孫(遺伝子)を残していけるのならこれは誰もに平等の、偶然やラッキーの理論と言えます。 しかし、進化はそうではなく、統計的に有利だったデザインが競争を経て変化しながら生き残っていくプロセスです!

2019-09-10 21:21:57
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

@satougou1 twitter.com/selfcomestomin…

2019-09-10 21:22:11
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

進化は、自然選択というアルゴリズムによって駆動しますが、このアルゴリズムはランダム性を“利用”して、統計的に「とりあえずの正解」を導きだし、機能的な生物をせっせと自動でデザインしていくものです。 このアルゴリズムは決して「ランダム」とか「偶然」とかとイコールのものではありません。 twitter.com/CAPRa_san/stat…

2019-09-09 19:32:06
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

「うつ」が幸福な現代社会でますます増加している理由とは?Prince et al.(1994) によると、ヒトの幸せとは進化戦略上、群れの他の個体との相対によって感じられるよう設計されていて、俺たちは日々、幸せな人のメディアイメージを絶えず浴びせられ、仮想的にうちのめされ、敗北感を感じているからだ。 pic.twitter.com/zN709jXReb

2019-10-15 04:20:34
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

「うつ」はディフェンシブアクションとして進化した。うつは動機付けを失わせ、食欲減退、異性獲得欲減退、野心の減退を伴う。「ある個体が自分より強い個体に社会的に打ちのめされた場合、その個体が立場をすぐに再び上げようと試みるのは余りに危険」なため、脅威とみなされないよう自らを貶めておく

2019-10-15 04:24:03
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

進化は人間の幸せに配慮して心をデザインしたわけではない。進化はただ、太古の部族社会(=EEA)において遺伝子の生存を高める感情だけを人間の心に植え付けている。「妬み」は、平等社会に暮らした我々のご先祖が利益を得る手法だった。 >「他人の得が許せない」人々が増加中 dot.asahi.com/aera/201910110…

2019-10-16 03:49:31
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

人間のあらゆる感情は、自然淘汰(=進化)の産物であり、そこには隠れた遺伝子生存戦略がある。人間という動物は複雑な社会ゲームの中で複雑な感情と感情の駆け引きのロジックを発達させている。妬みという感情システムの進化上の目的は↓ twitter.com/selfcomestomin…

2019-10-16 03:53:28
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

しかし、こういう記事を書くヒトたちは進化やヒト生物学の話なんて何も考えていないので、 「自分が不利益を受けるわけではなくても、他人の利益を不快に感じる。そんな人たちが少なからずいる。極端な不寛容さは一体どこから来るのか」 と問いを立てても、進化や生物学的戦略の話はまず出てこない。

2019-10-16 03:56:02
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

「妬み」はサピエンスにとくに特徴的に見られる感情だが、その起源はサルの社会にみつかる。サルには「不公平嫌悪感」が進化している(S.Brosnan & F. de Waal 2003)。自分もキュウリを貰って得してるはずが、隣の野郎がブドウを貰ってたらキュウリの幸せがなくなってしまう ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/13679…

2019-10-16 04:12:40
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

進化は人間の幸せに配慮して心をデザインしたわけでも、サルの幸せに配慮して心をデザインしたわけでもない。霊長類は木の上で果実を食べて暮らし、群れ集団みんながほぼ同じ食糧を確保できるような社会で生きる動物だ。だからこそ他人の利益に敏感なほうが、鈍感であるよりも進化上よかった。 pic.twitter.com/LNBeSHk3xL

2019-10-16 04:18:09
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

言うまでもなく、味覚は進化がデザインした。キュウリよりもブドウが美味しいのはブドウの方が栄養分(果糖)が豊富だからだ。だからこそブドウは美味しく、サルたちは水っぽいキュウリよりブドウを求めるように進化している。隣の奴が自分より美味いメシを食ってるのに腹を立てるのは進化戦略だ。 pic.twitter.com/tBfqzp3XYV

2019-10-16 04:28:50
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

aera元記事。>「技術の進歩が生んだ現代人特有の心情だとの指摘もある」:人間はすーぐにこういう話を「いま流行りの〜」「現代の病〜」という文脈に変換したがるが、心のデザインは進化によって長い時間をかけて設計され、いまの我々に備わっているのだということを思い出してほしい。それは本能だ。 pic.twitter.com/R7OpJOWy7X

2019-10-16 04:34:06
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

ぜんぶ進化の結果なんだよ。 >「授業に出てこないのにテストで良い点を取って、いい成績を取る子がいるんです。ずるくないですか?」 こういう欠席(したにも関わらず社会的に評価される事)を「ズル」と捉える感覚は、以下のような部族感覚から生じてる所があるだろう。 twitter.com/selfcomestomin…

2019-10-16 04:44:38
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

J.ヘンリック:“ ヤサワ島の村々ではいかにして規範が維持されているのだろうか。私たち研究チームが調査したところ、次のようなことが明らかになった。たとえば、村の祝宴や共同作業をたびたび欠席する人や、食のタブーや近親相姦のタブーを犯す人は、世間の評判ががた落ちになる。” pic.twitter.com/MciqYVV1Od

2019-10-09 13:51:36
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

>ルサンチマンとは「強者に対する弱者のねたみや恨み」という意味だ。…「多くのケースで、『弱者がすることは正しい』と思い込んでしまう傾向があります」 このルサンチマンも進化の結果として生じた心のデザインだ。それを訴えるのは、訴えた方が進化上有利だったからだ。 twitter.com/selfcomestomin…

2019-10-16 04:49:25
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

オレは強者だ!と叫ぶよりも、わたしは弱者だ!と叫ぶほうがサピエンスの進化的適応環境(=部族社会)では「強かった」という、これは進化人類学の最大の発見のひとつでもある。

2019-09-25 10:05:38
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

aera続き。>「慈善活動に熱心で気持ちの優しいアンジーなら、子どもに食いつくだろうと思ったんじゃないですか」 ああ、これはまさにサピエンスが進化させている脳のインテンショナルスタンス(志向的構え)をつかって目の前で起こっている事態を把握しようとしたものだ。 twitter.com/selfcomestomin…

2019-10-16 05:37:58
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

✔️志向的構え(intentional stance, Dennett 1971)──「心(のはたらき)」があることを他の人たちに自動的に見出すという、サピエンスが進化で備えた認知的スタンス。他のヒト個体だけではなく、動物やモノや世界の様々な事象にも、心の状態や働きを無意識に想定するように人間の心はできている。 pic.twitter.com/60s533vHV4

2019-10-16 05:14:28
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

サピエンスはつねに無意識に “他人の意図” を見抜こうとしている。われわれは互いに心を読みあう進化的軍拡競争によって脳を飛躍的に発達させた。進化によって備わっている脳のインテンショナル=スタンスは、他人の意図や狙い、目的を自動で探知し、俺たちに知らせてくれる。 twitter.com/selfcomestomin…

2019-10-16 05:42:05
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

俺たちヒトは何かの行為主体によって何かが引き起こされるのを見ると、脳の認知システムの仕様上、その行為の背後に何か目的があると自動的に想定する。つまり、それは「意図的だ」と考える。脳みそのシュミレータが隠れた変数として〈みえない意図〉を自動で補完し、他者の行動を目的志向的だと見る。 pic.twitter.com/oiuMtG5POt

2019-10-16 05:39:13
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

だが、ここで着目したいのは、この「他人の意図を検出する」というサピエンスのメンタライジング能力が、“ミラーニューロン” を介して行われていることだ。 twitter.com/selfcomestomin…

2019-10-16 05:47:41
エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

ミラーニューロンの働きによって、サピエンスは他者の動きをコピーし(通常は意識の閾下で)シミュレーションする。他のサピエンス個体がコップに手を伸ばすのをみると、その行動を脳内で自分のものに変換し、水を飲むという行動を「予期」し、それをシミュレートする。 twitter.com/selfcomestomin…

2019-08-23 18:54:36