利己的な遺伝子によってデザインされる親心

「身体は、遺伝子が別の体を作るための手段である」 → 遺伝子存続のため、身体には親子愛という心理システムが”デザイン”される
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エボサイ(EvoPsy) @selfcomestomine

進化生物学の基本である「利己的な遺伝子」という概念が理解できないという人に対し、マット=リドレーは「なぜ母親は子どもを愛するのか?」ということを考えてみよ、と提案している。リドレーは述べている:“身体は、遺伝子が別の身体を作るための手段なのだ ” と。 pic.twitter.com/f9lNoDPxT2

2019-12-27 13:40:09
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“ ドーキンスは言った。身体は、遺伝子を複製するために作られたかりそめの乗り物で、成長し、摂食し、栄えて死ぬように────だがとりわけ遺伝子の再生産(= reproduction, 生殖)に励むように────遺伝子によって見事にデザインされていると。”

2019-12-27 13:40:10
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“ 身体は、遺伝子が別の身体を作るための手段なのだ。このように生物を「遺伝子の視点」で眺めるのは、劇的とも言える思想的転回だった。” pic.twitter.com/fVvwYUq9nj

2019-12-27 13:40:12
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“ たとえばこの視点は、アリストテレスもデカルトも、またルソーやヒュームも、説明が必要だと気づいてすらいなかった問題を即座に説明してくれる。:なぜヒトはわが子を大事にするのか(あるいはルソーの場合、わが子に厳しいのか)という問題だ。"

2019-12-27 13:40:12
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" 一般にヒトは、わが子を、ほかの大人や子ども、さらには自分自身よりも大事にする。20世紀の人類学者にひとりふたり、純粋に利己的な観点で「人がわが子を大事にするのは、年をとってから子どもに大事にされたいからだ」と説明した人がいるが、それは説得力に欠けていた。"

2019-12-27 13:40:13
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" だがここに、ジョージ=ウィリアムズとウィリアム=ハミルトンによって、子育てから利他主義の要素を奪わない真の説明がなされた。ヒトがわが子を大事にするのは、自分の祖先が、代々わが子を大事にし、その結果、子がうまく生き延びて生殖できているからなのだ。" pic.twitter.com/7d6fm4M8tU

2019-12-27 13:40:15
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" ヒトには、大人になってから、ある環境で生殖や子育てへ導く行動を確実にもたらすように、身体を作り上げる遺伝子がある。だからこそ、人はわが子を大事にするようになった。えこひいきは、遺伝子に存在すると考えられるのだ。" pic.twitter.com/MZGrGcQULY

2019-12-27 13:40:17
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" ────こうして、遺伝の単位でも、代謝の単位でも、個体発生の単位でもなく、むしろ(自然)選択の単位として、遺伝子なる言葉の定義が登場した。その意味では、「遺伝子」が何でできているかは、ほとんど問われない。"

2019-12-27 13:40:18
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" 遺伝子が一個でなく、二個でもたくさんでもかまわない。一連の遺伝子が順番に働いていてもいい。遺伝子のネットワークが、多数のRNAによって制御されているというのもありだ。" pic.twitter.com/hIy7cF6cz8

2019-12-27 13:40:26
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" 重要なのは、とにかく確実にある種の影響をもたらすということである。だが、いったいどうやってその影響をもたらしているのか? DNAの言葉で「おまえの子どもを守れ!」などと言う遺伝子が、どうしたらあり得るのだろう? "

2019-12-27 13:40:27
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" また、かりにそんな遺伝子があるとしても、それでどうして自分自身を守れるのか?リチャード=ドーキンスの「利己的な遺伝子」という言葉でよく知られるこの概念は、多くの人にはほとんど信じがたいものに見えた。"

2019-12-27 13:40:28
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" 人々は目的論的に考えることに慣れすぎていたので、遺伝子自身に利己的な意図がないかぎり、遺伝子が利己的に振る舞うとは考えられなかったのだ。" pic.twitter.com/fAgSX08gAW

2019-12-27 13:40:30
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" ある批評家は、遺伝子はタンパク質のレシピにすぎないのだから、「利己的でも利他的でもあるはずがなく、それは原子が嫉妬深かったり、ゾウが抽象的だったり、ビスケットが目的論的だったりしないのと同じだ」と言った。────しかしそれは完全にドーキンスの主張から外れていた。" pic.twitter.com/DYOTuPynyy

2019-12-27 13:40:32
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" 社会生物学者と呼ばれるようになったドーキンスらにとって、自然選択は、遺伝子をまさしく利己的な意図に導かれたかのように振る舞わせるものだった。"

2019-12-27 13:40:33
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" これはたとえではあったが、素晴らしく有用なたとえだった。わが子をどんなに間接的であれ大事にする────そんな性向をもたらす遺伝子をもつ人は、そうでない人よりも多くの子孫を残しているのである。" (M.Ridley 2003 『Nature via Nurture/邦題: やわらかな遺伝子』より) pic.twitter.com/UhkWEbpngr

2019-12-27 13:40:35
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それにしても、人間が有する種々の感情のはたらきなど、われわれが大切にしているもののすべてが “遺伝子の利己性” に還元されてしまうなんて────と酷くショックを受けている人がいるかもしれない。

2019-12-27 13:40:36
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母親が子供に注ぐ愛情が利他的/for someoneなものではなく利己的/selfishな根源に由来するとすれば、道徳的な議論を巻き起こすのは当然かもしれない。 "「母の無償の愛」は「エゴ」だったのか?" ────多くの人はそう問うだろう。 pic.twitter.com/IAvyBE3Pbt

2019-12-27 13:40:37
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しかし、そもそも愛とは何か?進化心理学者のスティーブン=ピンカーは、「利己的な遺伝子が愛情を生む」という話を(動揺するみなさんに向けて)語っている… ;“ 自然淘汰は利己的な複製者を選択すると先に述べた。もし生物個体が複製者であるなら、すべての生物個体は利己的であるべきだ。” pic.twitter.com/qIGAUkNEy0

2019-12-27 13:40:39
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“ しかし生物個体は複製をするのではない。あなたの両親はあなたをもうけたとき、複製をしたのではない。あなたは両親のどちらとも同一ではないからだ。”

2019-12-27 13:40:40
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“ あなたをつくった青写真 (あなたの遺伝子セット)は両親をつくった青写真と同じではない。両親の遺伝子はシャッフルされ、ランダムに抽出されて精子や卵子になり、それが受精の過程で結合して、両親とはちがう新しい遺伝子の組み合わせと新しい生物個体をつくりだした。” pic.twitter.com/RYAJf5Gfxs

2019-12-27 13:40:43
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“ 実際に複製されたのは、あなたに受け継がれた遺伝子や遺伝子の断片で、その一部があなたの子どもに受け継がれる。それどころか、たとえあなたがお母さんのクローンだったとしても、あなたは彼女自身の複製ではなく、彼女の遺伝子が複製されたものにすぎない。”

2019-12-27 13:40:44
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“ 彼女が生きていくなかで経験した変化───指を一本なくす。刺青をする、鼻にピアスの穴をあけるなど───があなたに受け継がれることはない。あなたに受け継がれる可能性のある変化は、あなたのもとになった卵子の遺伝子に起こった突然変異だけだ。複製されるのは遺伝子であって、体ではない。” pic.twitter.com/CvY8tDnXSG

2019-12-27 13:40:47
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“ もちろんDNAに感情はない。「利己的」とは「自分が複製される見込みを上げるようにふるまう」という意味である。────脳をもつ動物の遺伝子がそうするための方法は、その動物が感じる快楽や苦痛が、その遺伝子がより多く複製される行動につながるように、脳を配線することである。”

2019-12-27 13:40:48
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“ それはしばしば動物に、生存と生殖につながる状態を快楽と感じさせることを意味する。:腹がふくれると充足するのは、腹を満たすことが動物を生かして生殖行動に向かわせ、腹を満たすことを充足と感じる脳をつくるその遺伝子のコピーを増やすことにつながるからだ。” pic.twitter.com/AP1RG4jQ9e

2019-12-27 13:40:50
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“ 遺伝子は食べることを楽しいと感じる脳をつくることによって、動物の生殖腺にある自分の複製が広まるのを助ける。もちろん実際に脳をつくるのに働くDNAそのものが卵子や精子に受け継がれるわけではなく、受け継がれるのは生殖腺のなかにある遺伝子の複製である。” pic.twitter.com/meIhmAgUMG

2019-12-27 13:40:52
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