進化心理学における子殺しと産後うつ

「子殺しは、リソースを今の子どもに使うか次の子どもに使うかの経済的選択の帰結」 「産後うつのリスクは、社会的支援がない女性、出産自体の不調、出生児の不健康、自身や夫の失業で、ホルモンバランスとの関係は緩い」 「軽度うつは、人間の将来の見通しをより正確化させる効果がある」 ⬆️このリンクが怖すぎる。。。
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EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

母親による、生まれたばかりの赤ん坊の「放棄」はなぜ起こるのか?進化心理学では、生物学的なロジックが以下のように説明される:“人類学者のライラ=ウィリアムソンによる各文化の調査から、子殺しは、あらゆる大陸のあらゆる種類の社会において行われてきたことがわかっている (Williamson 1978) 。” pic.twitter.com/DGYFT05qzm

2019-11-18 12:10:34
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EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

“ これは非国家の狩猟採集集団や村落…に限らず、先進的な文明社会でも起こってきたことだ。近年まで、世界中の赤ん坊の10%から15%は生後すぐに殺され、一部の社会ではその数字が50%にも達していた。”

2019-11-18 12:10:34
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“ 母親はすべての子を限りなく〔平等に〕貴重なものとして扱うはずだという直感は、自然選択説の帰結であるどころか、自然選択説とは相容れないものなのである。”

2019-11-18 12:16:49
EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

“ 自然選択は、生物が生涯のうちに生殖して残せる子孫の数を最大限にするように働くのであり、子孫の数を最大限にするためには、生物は新しく生まれた子に投資するか、それともすでに生まれている子やこれから生まれてくる子のために資源を蓄えておくかのトレードオフを検討しなくてはならない。”

2019-11-18 12:16:49
EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

*注釈を入れておくと、あらゆる生物は(魅力的な)異性と性交をしたいというふうに進化的に動機付けられており、子供は産もうと思って産むものではない。避妊具という人工物がある現代文明社会では、ここに進化的ミスマッチが生じる。性交自体の絶対数は先史時代からそれほど減少していないだろう。

2019-11-18 12:16:49
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“ 哺乳類は動物のなかでも並外れて多くの時間やエネルギや食料を子に投資しなくてはならないが、その哺乳類のなかでも人間は並外れてそれらの投資量が大きい。” pic.twitter.com/fhd7h4dS5j

2019-11-18 12:21:21
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“ 妊娠と出産は母親の投資人生の序章にすぎず、さらに哺乳類の母親は、子を懐胎しているときに消費するよりも多くのカロリーを、子が生まれてから乳離れするまでの授乳によって消費することになる。”

2019-11-18 12:21:22
EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

“ 自然は総じて「サンク・コスト」(回収の可能性がない過去のコスト) の欺瞞性を嫌うから、当然ながら母親は、生まれてきた子とそのまわりの環境を値踏みして、さらなる投資のために尽くすか、それとも現在いる子や未来に生まれる子のために自分のエネルギーを保存しておくかを決めるのである。” pic.twitter.com/GHCa0rHdo6

2019-11-18 12:23:08
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“ もし生まれたばかりの子が病弱だったり、周囲の環寛が該して子の生存が見込めないようだったら、母親は儲けの見込めないところにさらに “大金” を注ぎ込んだりせず… ”

2019-11-18 12:26:49
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“ …損失の少ないうちに手を引いて、最も健康なきょうだいに目をかけるか、あるいは状況が好転して次の機会に挑戦できるようになるまで待つことだろう(J.Maynard-Smith 1998/R. Dawkins & Brockmann 1980)。”

2019-11-18 12:26:50
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“ 生物学者から見ると、人間の子殺しは、このトリアージの一例である(Daly & Wilson 1988)。近年まで、女性は生まれた子に3年から4年のあいだ授乳をし、それからようやく完全な妊娠可能状態に戻った。子どもの多くは生き残れず、とくに、危険な生後1年のあいだに死ぬことが多かった。” pic.twitter.com/ltirBY6NII

2019-11-18 12:30:37
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EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

“ 私たちの進化上の祖先が生きていた過酷な環境のなかで女性が祖母になるためには、厳しい選択をしていかなければならなかった。トリアージ理論の予測では、母親は新生児が大人になるまで生き残れる見込みが低ければ、その赤ん坊を死ぬに任せる。”

2019-11-18 12:31:37
EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

“ その予想の根拠は、子どもが奇形であるとか反応をあまり示さないとか、子どもの側の芳しくない兆候にもとづいていることもあれば… ”

2019-11-18 12:34:26
EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

“ …母親にすでに年長の子どもがいるとか、戦争や飢催に苦しめられているとか、親類や赤ん坊の父親から支援を期待できないなど、母親側の子育てできない兆候にもとづいていることもある。”

2019-11-18 12:34:26
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“ また、母親に次の機会を待てるだけの若さがあるかどうかにもかかっていただろう。”

2019-11-18 12:34:51
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“〔進化心理学者の〕マーティン=デイリーと マーゴ=ウィルソンは、このトリアージを検証するために、民族誌データベースから標本として無為に抽出した60の社会を調べている。子殺しはその大半で記録されており、そのうち112の事例では人類学者が理由を記していた。”

2019-11-18 12:38:20
EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

“ それらの理由の87パーセントはトリアージ理論に合致する(Daly & Wilson 1988)。”

2019-11-18 12:38:20
EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

“つまり、殺された子どもは父親が母親の夫ではなかったり、奇形や病弱であったり、あるいは双子であったとか、年の近い年長のきょうだいがいたとか、父親がいなかったとか、経済的に厳しい時期にいる家族の元に生まれたとか、そういった事情で大人になるまで生き残れるかどうかが危うかったのである。” pic.twitter.com/B5L0ioLDDc

2019-11-18 12:38:21
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EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

“ 子殺しが普遍的であり、進化的に理解可能でもあることからして、これはいかに非人道的な行為に見えようと、基本的には不当な殺人などでなく、特殊な性質の暴力に分類されるのだと考えられよう。”

2019-11-18 12:39:45
EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

“ これらの女性に(あるいは本人がその痛ましい経験をとても語れないような場合には、その親類に)面談した人類学者たちの記述を見ると、その多くは、母親がその子どもの死を不可避 の悲劇と見なし、深く悲しんでいたことを伝えている。”

2019-11-18 12:39:45
EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

“ 新生児を犠牲にするか生かしておくかの決定的な転換点は、内的な感情によっても文化的な規範によっても決まる。私たちがもっているような、生命を尊び、あらゆる手段を講じて赤ん坊を成長させようとする文化では、母親と新生児との微笑ましい幹はほとんど反射的なものだと考える傾向がある。” pic.twitter.com/LJ9xpWnTfk

2019-11-18 12:42:37
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EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

“ しかし実際のところ、それにはかなり大きな心理的障害〔=産後うつ〕を乗り越える必要がある。…「自然な愛情」は、まったくもって自動的なものではない。”

2019-11-18 12:46:00
EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

“ デイリーとウィルソンのほか、人類学者のエドワード=ヘイゲンも、この産後うつと、その軽い症状である「ベビーブルー」は、じつはホルモン不全によるものではなく、子どもを生かしておくかどうかを決断する時期の感情的なあらわれなのではないかと提言している(Daly & Wilson 1988/Hagen 1999)。” pic.twitter.com/WlXvvUSzhD

2019-11-18 12:48:18
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EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

“ へイゲンは産後うつについての精神医学文献を調べて、この症状況が新生児への投資の査定時期をあらわしているという説で予測される五つの項目を検証した。”

2019-11-18 12:50:52
EvoPsy(エボサイ) @selfcomestomine

“ 予測されていたとおり、まず産後うつにかかりやすいのは、社会的支援がない女性である(未婚である、離婚や別居をしている、満足な夫婦生活を送れていな無い、実家と疎遠になっているなど)。”

2019-11-18 12:50:52