自己欺瞞は相手を騙すために発達した …… フロイト的防衛機制の進化心理学的転回
進化心理クラスタ、2019AW注目の2冊を帰りに購入致しました。>『家畜化という進化(Domesticated: Evolution In A Man-Made World)』, >『文化がヒトを進化させた(The Secret Of Our Success: How Culture Is Driving Human Evolution...)』 pic.twitter.com/WIrXeezUuT
2019-09-11 22:59:45『文化がヒトを進化させた』、ハーバード大のヒト進化生物学者J.ヘンリックによる、部族社会の文化環境(=EEA)が、いかに現代のサピエンスの心や習慣をデザインしているかをテーマとする本だが、まさに大傑作だった。これはもう、現代社会に適応するのに苦しむ全ての人に向けた“攻略本”なのではないか? pic.twitter.com/bOZ8bDPz6i
2019-09-13 03:11:12すべての社会科学研究・サピエンス研究の土台となるナレッジが満載だった。ほんとうに文系の基礎とは歴史=進化史なのだな、と。 >「生物学、人類学、経済学、心理学の狭間から、人類社会の繁栄を説明する新しいアプローチが登場した。このパラダイムを俯瞰する出色の書」(ジェイムズ=ロビンソン)
2019-09-13 03:15:42この近日邦訳版が刊行される進化心理学者ウィリアム・フォン・ヒッペル先生の『われわれはなぜ嘘つきで自信過剰でお人好しなのか────進化心理学で読み解く、人類の驚くべき戦略』は、進化心理クラスタも大注目の書と思います。 vox.com/platform/amp/2…
2019-09-15 16:59:09>ヒッペル:“ 賢くなればなるほど人々の嘘を見抜く能力が増強され、真実を見つける力が増すと考えられる傾向がありますが、ヒトは社会的な動物として進化しており、自らの所属するグループが世界を特定の方法で認識すること(=バイアス)で利益を得るのなら、われわれはそうやって世界を見るでしょう”
2019-09-15 17:02:28“ うそをつくという行為はごく自然な現象である。生物の世界は虚偽に満ちている。だまし(Cheating)は人間以外の種にも広く行き渡っていて、まったく正常な、あるのがあたりまえのことなので、網羅して分類表を作ろうなどと試みても、結局のところ徒労に終わるだろう。” pic.twitter.com/mhkyvclB7y
2019-12-05 13:43:10“ 人間について考察する場合も、そこに違いがあるとは思わないほうがよい。だまそうとする性向を本質的特性として持っている点では人間もほかの生物と同じである。”
2019-12-05 13:46:33“ 何か違いがあるとしたら、私たちは脳が大きく、社交性に富み、柔軟な行動を取ることができるので、人間以外の種より、はるかに複雑で絞滑なだましの技を持っていると考えられることぐらいだろう。” pic.twitter.com/NxlsbV1dg3
2019-12-05 13:46:56“ 私たちの背景にこのような過去からの長い積み重ねがあることを考えれば、人間社会がペテンと偽装の織りなす壮大な織物であっても驚くにはあたらない。” pic.twitter.com/5S7ul5ALhV
2019-12-05 13:47:58“ … 人のだます能力や、(それと密接な関わりを持つ現象である)他人のだましを探知し、無意識のコミュニケーションを行う能力はそうとう手強いと考えてよさそうだ。”
2019-12-05 13:49:41“ 下等なウィルスからゴリラやチンパンジーのような大型類人猿に至るまで、生きているものは意味を伴うシグナルを交換している。語句や文ではないが、形や色、化学物質、行動、音などを用いた言語で会話を行なっている。”
2019-12-05 13:53:14“ 実は、私たちが家の戸口から一歩外へ踏み出せば、数知れないさまざまな言語で表現されたメッセージが雨あられと浴びせかけられているのだ。ただ、人間はその言葉が理解できず、そんなものがあることにさえ気付かない。” pic.twitter.com/OZsQxi464w
2019-12-05 14:07:39“ 秋の木の葉の色、マネシツグミのさえずり、嗅ぐ者を陶然とさせる花の香りのカクテル、せわしげに歩道を横切っていくクロアリの行列がたどる化学物質の道────このようなものはどれも膨大な会話のほんの一部だ。” pic.twitter.com/gfPZDKgEEV
2019-12-05 14:07:42“その昔、生物学者も、動物や植物のコミュニケーションとは送り手から受け手へと真実の情報を伝える働きだと信じていた時代があった。いかにもと思える常識的な考えだがそれは間違っている。私達が自然を理想化し綿密な観察を怠り、人間の道徳に染まりすぎて先入観を排除できていない事がよくわかる。” pic.twitter.com/f7CwGvgHd3
2019-12-05 14:07:46“ 確かに、だまそうとする性向が自然に根ざしていると認めてしまえば、人類も生まれつきうそをつくものだと認めたも同然のところまで行ってしまう。そしてこの先…明らかになるように、いくつかの理由から、私たちにとってそれを率直に認めるのはたいていとても難しいことなのだ。”
2019-12-05 14:07:47“ 生物が繁栄するためには、まわりにある資源(resource)を有効に利用しなければならない。「資源」にはほかの生物も含まれる。力を行使してほかの生物から欲しいものを得ることができないときは策略を駆使して手に入れるしかない。”
2019-12-05 14:07:47“ 動物の中には直接ほかの生物の脳に細工し、自分の操り人形に変えてしまうという戦略を使うものがある。たとえば、寄生生物の吸虫ユーハプロルキスは、カリフォルニア州海岸部の沼沢地にすむメダカの仲間、バンデッド・キリフィッシュに寄生し、宿主が危険を察知する正常な感覚を失わせる。” pic.twitter.com/6L1oU6awKq
2019-12-05 14:22:42“ この小さなハイジャック犯は、えらから体内に侵入し、神経をたどってこの小さな魚の脳に入り込み、そこに工場を構えると、魚の神経系を破壊する化学物質の製造を始める。”
2019-12-05 14:22:45“ まもなく、寄生された魚は奇妙な行動を取るようになる。水面に近いところで横倒しになり、よく光る腹部に太陽の光を受けながら長い時間これ見よがしに体を揺すって泳ぐのだ。こんな無謀な行動を取ればランチを求めてうろついている海辺の鳥に「ここに魚がいますよ」と宣伝するようなものだ。” pic.twitter.com/wZ5ETHb6Ja
2019-12-05 14:22:46“ その結果、寄生されたキリフィッシュが腹を空かせた鳥にさらわれる確率は寄生されていない仲間の四倍に上る。────実は、これも吸虫の狡猾な策略の一部なのだ。"
2019-12-05 14:22:46“ 吸虫がライフサイクルの次の段階に進むためには鳥の胃の中に入る必要がある。キリフィッシュの遊泳行動を担う神経のメカニズムを狂わせるのもそれを狙ってのことだ。”
2019-12-05 14:22:47“ クラシフィアラ・ブルゴグロッサという寄生虫の場合もやり方は少し違うものの、やはり同じ目的を持っている。この寄生虫は哀れな魚が社交嫌いになるような神経外科手術を施す。寄生された魚は捕食者の鳥がいても仲間と群れなくなり、そのために群れを作っている場合よりもずっと捕食されやすい。” pic.twitter.com/zsJjcUxTqD
2019-12-05 14:22:51“…しかし、他者の行動を操作するのに、体の中に入り込んで組織を侵す例は全体から見るとそれほど多くない。もっとふつうに行われているのは、偽りのシグナルを送ることでお互いを利用する方法だ。”
2019-12-05 14:27:36“ シグナルを使って操ることと物理的な力で操ることには大きな違いがある。物理的な力で相手を操るには、操作する動物は、力が強いかスピードが速いかすればそれだけで欲しいものを手に入れることができる。”
2019-12-05 14:27:37“ 偽りのシグナルを使って他者を操るというデリケートな技を成り立たせるためには、相手が自分からこちらの望む方向へ動くようにしむけなければならない。”
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