『結界師』の解釈と『妖怪ハンター』について

先日サンデーでの連載を終え、単行本最終巻も発売された『結界師』をシステム面から眺めてみた感想と、それに絡めた『妖怪ハンター』についてのちょっとした語りです。正守は刃鳥副長とくっつけば私得だったんですが…(まとめの内容とこのカップリング語りは一切関係ありません)
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空気を読まないからオタクと言われる

へっぽこぴーすけ @hpsuke

私はバカなので、先日ノンケの友人に「『結界師』は少年漫画の個人英雄譚の反対側にある個人-社会-世界の確固とした構造をもち、かつ個人の無力の中の救いを描いているのではないか」みたいな語りを入れてドン引きさせたところですが、その視点で『妖怪ハンター』を見ると面白いなあ

2011-09-25 15:10:30
へっぽこぴーすけ @hpsuke

友人「結界師読んだよ!最後地味だけど面白かった!」 私「そっかーラストはねー確かにどう捉えるべきか迷うけど私が思うに…(以下前言参照)」 どんだけ語りたがりだよ私wwww

2011-09-25 15:13:21

『結界師』の個人-社会-世界構造について

へっぽこぴーすけ @hpsuke

昼間呟いた『結界師』と『妖怪ハンター』のことについてちょっと書いておきます。といっても整理がついてないので思ったこと垂れ流しみたいな感じで

2011-09-25 20:22:09
へっぽこぴーすけ @hpsuke

えっと、まず例の友人に語ってドン引きされた内容ですが(笑)、『結界師』は広い意味でのセカイ系(個人単位の精神が世界の行く末を左右する話)に対するアンチテーゼなんじゃないかな、と私は思っております

2011-09-25 20:24:11
へっぽこぴーすけ @hpsuke

セカイ系というと、世界級能力を持つ美少女をコントロールする凡人少年がうんたら~みたいなイメージがありますが、美少女じゃなくても個人が世界に影響を及ぼすと考えると、いわゆる少年漫画的・ドラクエ的な英雄譚は広い意味でセカイ系のエッセンスを持つんじゃないかと思いまして

2011-09-25 20:27:45
へっぽこぴーすけ @hpsuke

(もちろん悪い意味でもなんでもないですよ>セカイ系)

2011-09-25 20:28:21
へっぽこぴーすけ @hpsuke

具体的には、魔王的存在や世界滅亡級の災害に対して、個人から数人の単位で挑んでこれを収めてしまう話ですね。ダイ大やDBなんかを考えるとわかりますが、いわゆる少年漫画のフォーマットとセカイ系の考え方はすごく相性が良いというか、近いわけです

2011-09-25 20:31:52
へっぽこぴーすけ @hpsuke

これらは、本来個人が世界に対して影響を及ぼすために必要な「社会」というプロセスをすっ飛ばして、個人と世界がダイレクトに接続されているという言い方をするとしましょう。これがここでのセカイ系の定義です

2011-09-25 20:35:53
へっぽこぴーすけ @hpsuke

で、それに対しての『結界師』。この話は烏森の顛末を中心にした良守サイドと裏会の顛末を中心にした正守サイドに話を大まかに二分することができますが、それぞれ個人-社会-世界というラインが明確に出来上がっているのが最大の特徴です

2011-09-25 20:38:10
へっぽこぴーすけ @hpsuke

良守サイドは、良守(個人)-烏森の結界師システム(社会)-宙心丸の解除不能の呪い(世界)。正守サイドは、正守(個人)-裏会(社会)-運命や世界そのものの在り方(世界)、でしょうか。正守サイドの世界は、正守自身が漠然と感じていた運命や使命といったものも含みます

2011-09-25 20:42:05
へっぽこぴーすけ @hpsuke

これらの2系統は、それぞれ個人が世界に対して挑戦しようとする動きが描かれます。墨村の正統後継者になった良守(個人)は烏森の呪い(世界)を完全封印することを目論み、正守(個人)は烏森に選ばれなかったことをバネに、己の使命(世界)を掴むことに対して躍起になります

2011-09-25 20:44:06
へっぽこぴーすけ @hpsuke

そして、この時点では先の「社会」に該当する結界師システムや裏会については、話の舞台ではあるものの、あくまで通過点であり、目標ではないという描かれ方をされています。あくまで良守・正守といった個人が、呪いや運命のような大きな世界に(社会に、ではなく)戦いを挑んでいるという構図です

2011-09-25 20:48:01
へっぽこぴーすけ @hpsuke

そしていきなり結末に飛びますが、二人ともこの戦いには敗北します。良守は個人の努力では呪いをどうすることもできず、正守は最後まで己の使命を見つけることができませんでした

2011-09-25 20:49:55
へっぽこぴーすけ @hpsuke

普通の少年漫画であれば、良守は犠牲を出さずに宙心丸を呪いから開放できたでしょうし、正守は裏会を統べるなりして、己のやるべきことに確信を持ったでしょう。しかしそうはならなかったのがこの漫画です(だから個人の英雄的活躍からくるカタルシスが得られず、ラストが地味なんですが)

2011-09-25 20:52:47
へっぽこぴーすけ @hpsuke

二人とも世界には手が届かず、なんとか成し遂げることができたのは、その前段階である社会の一部として機能することだけでした(しかも、そこですら主体になれなかった)。そして社会全体で挑んで、ようやく世界とは限定的な交渉をするに留まった。それくらいスケールが隔絶してるんですね

2011-09-25 20:57:02
へっぽこぴーすけ @hpsuke

良守にとっての社会とは、墨村・雪村に伝わる結界師の伝承であり、開祖が考案した宙心丸の完全封印の計画です。アダプタとして良守を、アレンジャとして守美子を、交渉役として時音を、進行管理・調整役として開祖自身を配し、宙心丸自身のもつパワーを利用して宙心丸を押さえ込むためだけの機構です

2011-09-25 21:06:30
へっぽこぴーすけ @hpsuke

良守にとっては、結界師の伝承やしきたりは「烏森を封印できたらそんなもん自然消滅するだろ」程度の存在であり、目線がここにはありませんでした。しかし、結局、彼ができたことといえば、その社会の役割を十全にこなすことだけ。個人として社会に貢献はしても、世界には遠い存在で終わりました

2011-09-25 21:09:08
へっぽこぴーすけ @hpsuke

一方で正守。彼にとっての社会とはもちろん裏会なんですが、彼にとってすら、裏会は「重要な舞台ではあるが重要な目的ではなかった」節があります。彼の行動動機は「俺を選ばなかった運命を見返してやる」であり、裏会総帥の座に就くとか、十二人会を統べるといったことには執着していません

2011-09-25 21:12:00
へっぽこぴーすけ @hpsuke

そして精緻に組み上がりつつがなく進行していった良守の社会とは裏腹に、こちらの社会はどんどん崩れていきます。神佑地狩り、十二人会の崩壊、総帥の反乱などなど。その中で正守は彼なりに奮闘しますが、やはり主導権は握れず、竜姫の指揮下で総帥の最期を見届ける、という役割だけが与えられます

2011-09-25 21:16:36
へっぽこぴーすけ @hpsuke

やっと与えられた総帥討伐という使命すら嘘だったとき、彼は自分の役割を「最後まで正気で立っていることだけ」と自嘲します。そして全てが終わったあとは「終わったのか…始まったのか…はたまた回っているのか…まるで分かりません…」です。彼は自分が納得できる運命を掴めませんでした

2011-09-25 21:20:32
へっぽこぴーすけ @hpsuke

だらだら考えながら書いてるから話が整理されてないぞう

2011-09-25 21:22:23
へっぽこぴーすけ @hpsuke

また、最後に出てくる「眺める者」。これは烏森や裏会の存在などはるかに超越し、その気になれば神佑地すら移動させられる文字通りの「世界」そのものの権化ですが、彼女(?)に対して交渉を行った時音や水月は、己の所属する社会自体を提示してやっと小さな望みをひとつ叶えられるに留まります

2011-09-25 21:35:21
へっぽこぴーすけ @hpsuke

ここでの時音や水月が完全に「巫女」扱いになっているということはさておくとして(だから女性が交渉役になったんでしょうけどね)

2011-09-25 21:36:38