黒色中国の「厦門(アモイ)紀行」

2007年の夏…友人に誘われて福建省のアモイを旅した際の記録。この旅行の経験はその2年後に始まる「黒色中国」に大きな影響を与えました。「黒色中国」のネーミングの元ネタも出てきます。公開当時大変好評をいただきましたが、連投がところどころ切れていたため、こちらでまとめてみました。
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黒色中国 @bci_

今年の夏、フォロワーさんから厦門(アモイ)についてツイートのリクエストを頂いた。厦門は私が好きな町の1つでもある。ただ、数ヶ月考えてみても、厦門をどう書けば良いのかわからない。厦門は魅力的な町でもあるが、私がここを旅したのは、05年の反日デモ以後、黒色中国を始める前の微妙な時期だ pic.twitter.com/5tkqEgD3v1

2016-12-09 20:34:20
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黒色中国 @bci_

私は05年の反日デモ以後、とても中国を憎んでいた。怒っていた。大嫌いだった。ただ、自分がこれから何をしたら良いのか、どう生きたら良いのか、わからなかった。嫌いだけど、私の能力や経験は中国と密接な関係があり、自分の中国への怒りをどこに向けて、何をすればいいのか、全然わからなかった。 pic.twitter.com/aHdiopGPlN

2016-12-09 20:40:57
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黒色中国 @bci_

中国を恨んで、憎んで、怒って、嫌っているけれど、それらの感情を自分の人生の中でどのように扱えばいいのかわからない。そういう時に、友人が厦門への旅に誘ってくれた。先に結論を言うと、厦門は素晴らしい町で、私が厦門にもっと早く来ていれば、全く違う人生を送ることになっていたに違いなかった pic.twitter.com/9xuRLPtpqF

2016-12-09 20:47:53
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黒色中国 @bci_

私はたまたま運が悪くて、中国の悪いところばかり見て、05年の反日デモに遭遇することで、中国嫌いになっただけで、厦門のような、美しく、のんびりしたところにいたのなら、全然違う人生があったはずなのだ。いや、厦門に限らず、私は中国の表面的なところだけを見て、知ったつもりになっていたのだ pic.twitter.com/ESZn8sdKHE

2016-12-09 20:52:51
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黒色中国 @bci_

だから、この厦門の旅は、私にとって、癒やしの旅であったし、中国の見方を変えて、負の感情を押し留めて再考するキッカケになった。でも、結局この旅の後に、「黒色中国」を開始することになり7年が過ぎた。昔の厦門旅行について、今振り返るのは、ちょうど良い機会かも知れない…と思ったわけだ。 pic.twitter.com/6w1OWHFgeT

2016-12-09 21:05:52
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黒色中国 @bci_

だから、当時のことを思い出しなら、厦門について書くことになるけれど、たぶんこれをご覧の方の中には、「全然反中じゃねぇーぞ!やっぱテメェは中共工作員だろ!」とお怒りになる愛国心豊かな人が出てくると思う。これはあくまでも、「黒色中国」以前の旅行記になるので、何卒ご容赦戴きたい。 pic.twitter.com/auatrCCf5Z

2016-12-09 21:09:53
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黒色中国 @bci_

福建は、中国語を学び始めた頃から関心が高く、ずっと行きたく思っていた。歴史的に見れば、福建は北京や上海よりも、日本との交流が深い地域である。福建は海に面しており、沖縄が近く、今でも尖閣問題の報道で、福建はよく出て来る。福建を理解するのは、日中関係を理解するための基礎ではないか… pic.twitter.com/8M74AatMHL

2016-12-09 21:19:14
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黒色中国 @bci_

福建は中国の政治や経済の中心地ではないけど、日本と歴史的な関わりが深く、いま日本にいる中国人も福建出身者が多い。そして、台湾問題にも尖閣問題にも、福建が大きく関わってくる。福建は日中問題の中心地である。では、福建を理解する時に、日本人の私は福建省のどこから理解すれば良いのだろうか pic.twitter.com/YDq1LgUTtg

2016-12-09 21:26:19
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黒色中国 @bci_

厦門を旅行先に選んだのは、友人だったけれど、私はこれが非常に良かったと思う。厦門は中国の中でも早くから近代化した町であり、列強の租界があり、日本人も明治以後に移住していたし、魯迅も一時期住んでいた。厦門は中国の近代化と日本との接点が深い。それになにより行きやすいのが良い。 pic.twitter.com/xiQ3LpRWY5

2016-12-09 21:38:28
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黒色中国 @bci_

厦門行きの飛行機はたくさんあるだろうけど、私としてはやはり鉄道で行きたい。夜汽車で行きたい。上海あたりから出発してから日が暮れて、お弁当を食べて寝ている間に福建省に入って、目が覚めたら、窓外には福建の豊かな自然が広がっている…そういうのがやっぱり良い。中国の旅はそうでなくては。 pic.twitter.com/P6a7PX9Vdr

2016-12-09 21:44:22
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黒色中国 @bci_

ところが、中国の夜行列車は食の誘惑が多く、なかなか私を寝かしてくれない。お弁当を食べたら、次はフルーツを売りに来るし、寝ようと思ったら次はお汁粉を売りに来る。さすが中国人は商売が上手い。私はこういう車内販売を全部食べてみたくなる性分であるし、これが中国の鉄道旅の楽しみでもある。 pic.twitter.com/EwdQsDZRHa

2016-12-09 21:48:35
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黒色中国 @bci_

食べ過ぎてなかなか寝付けない。停車駅で降りて、数分間の散歩を楽しむ。外の空気はひんやりとして、草のニオイがする。山が近いようだけど、暗くて何も見えない。乗務員はホームを散歩する乗客を見て少しイライラしてる。まだ発車には早いけど、「さぁ乗って乗って」と羊飼いのように我々を急き立てる pic.twitter.com/7QYWy8e3M1

2016-12-09 21:53:34
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そんなことを繰り返して疲れて眠り、気がつくと外が明るい…窓の外を見ると、霧に包まれた山が見える。福建の山は霧深いので、そこで育つ茶は美味いのだ…と聞いていたけれど、目が覚めると、聞いた通りの光景が広がっている。時刻表や地図を確認するまでもない、私はいま福建にいる。 pic.twitter.com/bpMfTiO3ie

2016-12-09 21:58:22
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黒色中国 @bci_

島国出身者としては、満洲で地平線を見ると感動するけれど、あれはすぐに飽きる。福建は山がたくさんあって、青々と草木が茂っていて、僅かな平地を細かに耕していて、何となく日本みたいだ。そこに深い霧が立ち込めて、時刻によっては水墨画のように見えたり、晴れれば鮮やかな水彩画のようにも見える pic.twitter.com/nJBgh6pOV4

2016-12-09 22:04:40
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黒色中国 @bci_

前もって用意していた福建武夷山の「大紅袍」を取り出して、お茶を淹れる。黒い茶葉にお湯が染み込むと、器からとめどもなく香りが溢れ出して、車内に爽やかな空気が漂う。福建の自然の中を駆ける列車の中で、福建の茶を楽しむ…以前からこれがやってみたかったのですよ(^^) pic.twitter.com/YzfESU5hNB

2016-12-09 22:10:15
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黒色中国 @bci_

人の手が入っていない大自然も美しいけれど、私はこのように人の手が作り上げた田園風景を見るのが好きだ。中国で色んな田んぼや畑を見てきたけれど、耕し方にも地域ごとの特色があり、美意識があり、福建のそれは自然と調和し、丁寧な仕事ぶりが鮮やかで、ずっと見ていても飽きない。優れた芸術だ。 pic.twitter.com/fG5IKxEfIM

2016-12-09 22:15:38
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黒色中国 @bci_

朝食はマントウにゆで卵にお粥と漬物。マントウにお粥って、ダブルで炭水化物系だけど、この場合のお粥はスープみたいな扱いらしい。最初はちょっと変だな、と思うけど、慣れるとこれが身体に良いと思うようになる。お粥で胃腸を優しく温めて動かし、マントウとゆで卵を消化するわけだ。 pic.twitter.com/OkoolQdC36

2016-12-09 22:19:43
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黒色中国 @bci_

朝食を食べる間にも列車は走り続け、車窓の風景も刻一刻と変わる。中国で色んな鉄道に乗ったけれど、福建の路線は、変化に富んで美しい。「ここで降りたい!」というところが、際限なく現れる。鉄道に乗って窓の外を撮り続けるだけで、立派な写真集が出来そうだ。 pic.twitter.com/u5K3kKgHfc

2016-12-09 22:25:53
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黒色中国 @bci_

それに、この線路沿いには、色んな機関車がありまして、これも見ていて楽しい。たぶん山間に線路を引いて、狭い沿線の土地の中で鉄道関連施設を作っているから、走っている列車と他の停車している機関車の距離が近いんじゃないだろうか。 pic.twitter.com/Sg1pPDWgHy

2016-12-09 22:33:16
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黒色中国 @bci_

厦門行きの列車に乗っていると、窓の外を見ているだけで楽しくなってきて、もう厦門に着かなくていいから、ずっとこのまま列車に乗っていたいと思うようになる。もしくはゆっくり走ってくれと思うようになる。高速列車で、こういう鉄道旅は出来ない。 pic.twitter.com/8VN5HnJ0Jm

2016-12-09 22:41:00
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黒色中国 @bci_

途中から、線路と山の距離が近くなる。山深いところを走っているのか。両側の窓の外が全て緑色になって、緑色のトンネルを走り抜けるようだ。本当にこの列車は厦門に向かっているのか…という心配がよぎる。寝ている間に、違う列車に連結されていたりしないのだろうか。 pic.twitter.com/ZXu9SUiGsr

2016-12-09 22:46:37
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黒色中国 @bci_

…と心配になった頃、突如目の前に海が広がる… キタ━━(゚∀゚)━━!! やっぱりこの列車は厦門に向かっていたのか! この、山を抜けて海に出る…というドラマチックな展開が良いのです。厦門に行かれる人はぜひ鉄道で。夜行列車で行ってみて下さい。 pic.twitter.com/i0cgK0mcyr

2016-12-09 22:51:38
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黒色中国 @bci_

この時の鉄道旅はとても楽しかったので、厦門の駅に着いてからも列車から離れるのが惜しかった。他の駅だとホームに残っていると怒られるけど、ここでは駅員もうるさくなく、しばらく写真を撮っていた。こういう何でもない光景が、日本のどこかの田舎の駅みたい。厦門は初めて来てもちょっと懐かしい pic.twitter.com/nUvpG9ZAin

2016-12-09 22:57:11
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黒色中国 @bci_

厦門に着いたところのツイートで、11時になってしまいました。厦門の町の様子などは、また後日。数日にわけての連ツイになると思いますが、年内に終わらせたいつもりです。では皆さん再見(^_^)/~ pic.twitter.com/ooyAzbvqrf

2016-12-09 23:02:09
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