枇杷先生特別講義 第8弾『ケイツーシロップが赤ちゃんの脳内出血を防ぐ』
ヒトの身体には、出血を止める2つの大きなはたらきがあります。ひとつが血小板、ひとつがタンパク質で「凝固因子」といいます。両者はお互いに補完しあって、出血を素早く止め、生きるのに必要な血液が失われるのを防いだり、大事な臓器に出血が起こって命が失われるのを防いでいます。
2022-08-05 10:37:56凝固因子には番号のついたタンパク質が12種類あって、そのうち2,7,9,10番の因子は、ビタミンKがないと正常につくることができず、血を止めるはたらきができません。ビタミンKはヒトが普通に生きていく上でなくてはならないものです。
2022-08-05 10:45:03先天性に9番の因子がうまくつくられない病気が「血友病B」です。関節や筋肉のほか、重症の場合消化管(胃腸)や脳に出血し、命を落としたり後遺症になる場合があります。 ほかの因子でも、先天性につくられない場合、重い出血を起こすことがあります。
2022-08-05 12:04:01ヒトはビタミンKを自力で合成できません(だから「ビタミン」といいます)。ではどこから手に入れているかというと、ふつうは食事です。 納豆など一部の食品には特に多く含まれていて、ビタミンKを抑えるワーファリンという薬を飲んでいる人は食べてはいけないのは有名です。 otsuka.co.jp/college/nutrie…
2022-08-05 12:18:36またビタミンKは、腸内の細菌が合成してくれるので、特に意識して多い食品をとっていなくてもヒトはふつうに生きていくことができます。 病気などで食事がとれず、さらに感染症などで抗菌薬を使っている場合、大人でもビタミンK欠乏を起こすことがあります。
2022-08-05 12:21:18ビタミンKは、12種類のうち4つの凝固因子をつくるのに不可欠なので、欠乏すると止血がうまく働かなくなり、血友病やその他の凝固因子が足りない病気と同じ状態に陥ります。このとき、出血しないですむかどうか、脳などの大事な臓器に出血しないかは運次第です。
2022-08-05 12:25:56では、赤ちゃんにはなぜ、特別にビタミンKを与えないといけないのでしょうか。 やや専門的ですが、果物が語るより、専門家が歴史を振り返った文章がありますのでぜひお読みください。 乳児ビタミンK欠乏性出血症ゼロを目指して取り組んだ40余年 jstage.jst.go.jp/article/jjsth/…
2022-08-05 12:33:16まず前提として、ビタミンKは胎盤を通りにくいので、生まれる前に母からもらって十分に貯金しておくことができません。 新生児の腸内に細菌はほとんどおらず、母乳・ミルクを飲んでいる間はビタミンKをつくらないビフィズス菌が多くなります。
2022-08-05 12:38:44母乳に含まれるビタミンKの量はあまり多くなく、個人差が大きいです。赤ちゃんが飲む乳の量もばらつきがあります。さらに、ビタミンKの吸収にも個人差があり、吸収したビタミンKを利用する力も赤ちゃんでは低いことがわかっています。
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