日本学術会議・哲学委: “原発災害をめぐる科学者の社会的責任”公開シンポジウム
唐木英明氏「わたしたちは、日常生活において、受動喫煙を避けることができるか、できているか、というところある。避けられていないのではないか」
2011-09-19 05:12:32緊急の課題は“除染”: 唐木英明氏「空間的・時間的除染計画、早急な設定が必要。 阻害要因には、①除染が汚染物質の移動・集積に過ぎず、②汚染廃棄物をどこに集積するかという問題、③これらが解決しない限り除染は始まらない、④そしてNIMBY問題の解決には人文社会学者の援助が必須」
2011-09-19 05:16:19( NIMBY問題: Not In My BackYard、必要性はわかるけどジブンの庭にはヤダよ、という住民や、その想いを表わす。 ではどこに?、どうやって決着をつければよいか、合意形成をはかればいいかという問題が )
2011-09-19 05:19:41小林傳司氏
( 98年~00年にかけ、市民参加型テクノロジーアセスメントのコンセンサス会議に携わる。01年、科学技術社会論学会設立、初代会長。現代社会における科学技術の社会的、政治的意味についての検討、参加型テクノロジーアセスメントに関する理論的研究、70年代の日本の科学論の遺産研究など )
2011-09-19 05:24:36小林傳司「今回の福島原発の事故は、トランス・サイエンス的領域の拡大と社会的意思決定の仕組みを構築できないことを問題提起してきた自分にとって、懸念が現実化してしまった、防ぐことができなかったという意味で、自分にとって大変なショック」
2011-09-19 05:32:48小林傳司「高校の教科書作成の折、“科学とは何か”を分かりやすく伝えるため薬の効果の科学的検証実験を取り上げた。治験の折のプラセボとの対照実験を経ても尚、科学によって明らかにできないこと、まだわからないことがあり、その何が明らかで何がわからないかを明らかにすることもまた科学と記述」
2011-09-19 05:39:45小林傳司「続) すると、教科書検定でひっかかったのだが、何がひっかかったか分かるだろうか。“科学によって明らかにできないこともある”という箇所が、科学に本質的に限界があることを印象付けると問題にされ、“科学研究が更に進まなければ明らかにできないこともある”で合格に」、会場笑
2011-09-19 05:43:08小林傳司「現行教科書で、です。この検定時に、闘わず修正したことに後悔も今となってはある。 科学が常に100%でないこと、科学が答えられないこともあり得るということ、この出発点は大事」
2011-09-19 05:45:02なぜ“科学技術”に踏み込んだのか: 小林傳司「また、日本の現状、①西洋の科学哲学を読むことが研究ではないのではないか?という問題意識がある、既に日本は科学技術の先進国、②適切な抽象度でなく、衛星ひまわりで癌の診断をするような事態になってないか、③不易と流行、大学の知とは何か」
2011-09-19 05:48:29科学と科学知識の利用に関する世界宣言(世界科学会議1999): 小林傳司「ブタペストにて開かれた。科学の役割はとして以下整理された。 “知識のための科学;進歩のための科学”、“平和のための科学”、“開発のための科学”、“社会における科学、社会のための科学” 」
2011-09-19 05:53:20小林傳司「我が国の“科学技術基本計画”第2期(2001-05)には、“今後は社会のための科学技術、社会の中の科学技術”という観点に立った人文・社会科学的研究を推進、その成果を踏まえ媒介的活動が活発に行われるべき、との記述、いわば人文社会学へのラブレターだったがほとんど応えられず」
2011-09-19 06:01:46小林傳司「“科学技術基本計画”第3期(2006-10)で留意すべき点としては、3点、①科学技術が及ぼす倫理的・法的・社会的課題への責任ある取組み、②科学技術政策に関する説明責任と情報発信、③主体的な国民の科学技術への参加の促進。しかし、アウトリーチが僅かにできた程度では?」
2011-09-19 06:06:44小林傳司「“科学技術基本計画”第4期(2011-15)、既に今回の件に即し、テクノロジーアセスメントの必要性が謳われている。一昔前には日本では考えられなかった文言が入った、がしかし、一体誰がやるのか、やり得るのかというところが大いに問題」
2011-09-19 06:08:49小林傳司「震災後のいくつかの発言をとりあげてみると、例えば藤原帰一氏は5月に朝日新聞で、コンスピラシー・オブ・サイレンスについて言及、また自身、原発反対者が極端な議論を弄ぶ“変な人たち”という立場に追いやられていくのを前に何もしなかった、と記した」
2011-09-19 13:11:37小林傳司「J・ダワーは、突然の事故や災害で何が重要なことか気付く瞬間がある、全てを新しい方法、創造的方法で考え直すことができるスペースが生まれる、関東大震災・敗戦といった歴史的瞬間がそうであったようにと書いているが、その一方、私はいま、そのスペースが閉じられつつあると感じている」
2011-09-22 02:43:38トランス・サイエンス: 小林傳司「ワインバーグが70年代、科学に問うことはできるが、科学が答えることができない問題群を、“トランス・サイエンス的領域”と名付けた。科学が答えることはできないが意思決定しなければならない問題では、社会全体で討議しつつ決定する他はないと主張した」
2011-09-19 06:43:33小林傳司「ワインバーグは、アメリカの核物理学者で、日本の原子力工学者も当然知る存在であるが、彼にトランスサイエンスの著書があることを知る日本の原子力工学者に、私はこれまで会ったことがない。ミネルヴァ書房から出版されているのだが、そのこと一つとっても人文と科学の溝を垣間みるようだ」
2011-09-19 06:45:55小林傳司「今回で言えば、原発の過酷事故に関し、“想定外”“対応しない”と決めていた。斑目春樹氏は、“どこかで割り切らないと工学的なものは作れない、今回はそのわり切り方に失敗”と述べたが、このような多大でシリアスな影響をもたらすリスクを専門家だけで決めてしまっていいのかという問題」
2011-09-19 06:51:48小林傳司「科学と意思決定の関係における古典的図式は、科学が客観的事実を権力側に伝えるという一方向であり、権力側はそれをもとに価値判断を行うというもの」
2011-09-19 06:56:05